表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
研ぎ師と魔剣の物語  作者: 稲村某(@inamurabow)
第一章ロイ篇・荒砥石で刃を付けよう
1/153

「風切りのレン」その1

やっと着いた飲み屋、座って注文したら隣は女二人。で、始まり。


  あんた、半信半疑だな。


 そりゃ、そうだな。俺みたいな薄汚れた、むさいおっさんがウダウダ言ってるって思えば、誰だってな。


だがな、俺の目ん玉よーく見てみなよ。



そう、ビビっただろ?緑の瞳の真ん中に六芒星だ。一回見りゃ忘れないな。


コイツがあれば、俺の人生はいつだって……ま、そりゃいいか。



さて、取り敢えず、



あんたの得物、早速見せてみろよ?





✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「あーもームカつく!あたまっくる!ぜーったい!ぶっつぶす!!!」


「もう判ったから……でも、なんでだったんだろ……」



よくある光景ちゃ、そうだな。


一人が怒り狂い、一人が取り成す。



片脇は所謂、壁役の職業だろう。頑強な鎧と、バランスの取れた穂先の優美な武器。


あー、何て言ったか、ポールアックス、いや、何だか……、



でもあれは、いやあれじゃあ、ねぇ……



「……あんた、ねぇあんただよ!さっきから何ジロジロ見てんだよ!」


あ、目と目が合ったら始まるのが喧嘩ミラクルか?いやそんな出会いはお断りだが。



「やめなって!もー、ジルチ、あんた変だよ!ずーっとイライラして……」


取り成す彼女は補佐役か、控え目なのに自己主張はハッキリ……と。



「あー、悪かった。だけど俺は美人は好きだが、見てたのはアンタの武器。」


ま、リップサービスは大切に、と。


「び、美人は……ま、そうね……って武器?」


「そー、そっちの武器って、ハルバードってんか?確か。」


言われてジルチ、と呼ばれる彼女は、脇に立て掛けたそれを手に取る。




「コイツは確かにハルバード、だけどね……ホントは、もっと凄いんだよ。」


愛おしげにそっと掴み、布を掛けた穂先はそのままに。



「それはいいけど、あなた、何でジルチのコレがそんなに気になったの?」


補佐役の娘が問い掛ける。ま、それも道理だ。


「俺はそのハルバード、いや……【風切りのレン】の声が聞こえたから……」


「……ッ!!」


俺がそう言うと、ジルチはこちらから目を離さずに、穂先の布を取り払う。


「あんた……返答次第によっちゃ、首が飛ぶよ……?」


「ジルチ……!」


「ジーニアス!あんたは座ってな!!」



おー、怖い怖い……。あ、そっちはジーニアスってんだ。


「【風切りのレン】の名前、知ってるのはあたしとジーニアス、あと母さんと……あのクズだけなんだぜ?どう見ても……母さんとジーニアスの二人と知り合いには見えない。……とすれば……、」


「すまん。君ら誰とも知り合っていない。つーか、知らない。」


「……あ?」


正直に言えばこうなるのは判り切ってる。だが、言わなきゃもっと面倒なことになるがな。


「もっと言えば、判るんだよ俺。……聞こえるからな、レンの声が。」


ギョッ、として、二人が揃って俺と、レンを見る。


「「はぁーーーあ!?」」


あはは、面白いなぁ、みんなこーなるから。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳


簡略な説明。



ジルチ、レン振るレン振るジルチ、レン切れなくて焦る。


今まで何でも切れたレン、ジルチ切れなくて何にも出来ない。


ジーニアス驚く。仕事無くなるジーニアス困る。



そんなのが三日前から。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「……信じられないけど、信じるしかない……か。」


ジルチは手にした【風切りのレン】を弄びながら。


ジーニアスは手にした書物を捲りながら。




「あぁ、絶賛信じていいキャンペーンだ。安くしとくぜ?」


俺は胸を張ってそう言い切る。



「あんたの【風切りのレン】は、お肌の曲がり角……だ。」


(やっぱ、信じらんない……絶対、信じらんない)

 



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳







研げば判るんだよ、研げば。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ