大賢者三羽
「その目、役たたずのヘタレだって言っているだろ!?」
初代大賢者が興味をひきそうな事を並び立ててみたものの
どの部分が興味をひいたのか初代大賢者は、
その場に腰を下ろしてほとんど全ての話を聞いてくれた。
はっきり言ってほぼ母親の命と引き換えに生まれて来た上に
母親似でない健一を初代大賢者が、
好いてはいないことを健一自身は自覚していた。
黙って健一を見ている初代大賢者に、何か返事をしてくれ、と
願うもののダメだこいつと言いたげに
首を左右に振ると何も言わずに目を逸らされた。
(何だよ!?・・・・・喋れない訳じゃ無いだろうに・・・
って・・・喋れる・・よな・・?)
健一は、途端に自信がなくなった。
「・・・・・魔鳥の・・・・夢の・・・世界・・・」
「・・・・は!?・・・・・・何?」
喋れるじゃないか・・と健一が思った次の瞬間、
健一は、初代大賢者に頭を鷲掴みにされて
無言で愛恵の方へと
押し付けられた、
(何するんだ!)
突然の事に驚いて初代大賢者の方に視線を送るが、
ズムズムと柔らかい感触が健一の身を包んだ後、
健一は、まるでゼリーのような綿のような何かに入り込んだ。
(説明!!・・・・・頼むからとにかく
説明をしてくれ~~~)
健一は、自分ではない誰かの意識に取り込まれ、
薄れゆく意識の中
心の中で絶叫していた。




