全ての始まり一羽
紫の瞳から涙を零す珍しい鳥が
フラフラと飛んでいた。
艶々光る漆黒の羽を持ったその小さな鳥の雛は、
宙に浮いては地面に落ちることを繰り返していた。
所々血が滲んだ体で、でも、飛ぶ事をやめようとしない。
ピピ・・・
何度目かの墜落を誰かが受け止めた。
羽毛を震えさせながら見上げたその先に居たのは、
漆黒の美しい魔族だった。
「・・・・お前、何故飛ぼうとしている?
まだ、漆黒の羽毛も産毛の雛だというのに?」
傷ついた雛鳥の姿を見ながらも
欠片の哀れみを見せずに、
その表情に微笑みさえ浮かべながら
魔族はそう言った。
ぴ・・・ピィ・・・
「お前の言葉は、幼な過ぎて分からぬ・・・。
魔鳥か?・・・このままだと死ぬだろうな・・
死にたくなければ助けてやっても良いが?」
お前と私は、どう言う訳か派長が合うようだしな・・
元々、変わり者だったその漆黒の魔族は、
同じく漆黒の雛鳥を気まぐれで助けてやる事にした。
「・・・・我のモノになるが良い、漆黒の魔鳥の雛よ。
我が名は、『ザラド』。
深紅の魔王陛下の居城を預かるもの、
魔王子『ルイド』様の従者、
黒の伯爵『ザラド』だ。」
漆黒の魔族、
黒の伯爵『ザラド』は、
気まぐれで拾った
魔鳥の雛に人の姿を与えてやった。
「・・・・じゃ・・・じゃら・・ど?(ザラド?)・・・
あんえ(あのね)・・・フーは・・
『フフ・ア(ヤ)カ(ガ)ーン』」
漆黒の髪を持ち、紫の瞳を持った
幼い人の子の姿になったフフ・ヤガーンは、
慣れない口調でそう言った。
顔を上げたフフ・ヤガーンの顔を見て、
ザラドは、ひどく驚いた。
「フーの・・・せ・・で、(所為で)
街・・・いれない・・・フー・・
ごめんね・・・で・・・・・・出てきた・・」
シクシク泣き出した二、三歳位の
人の子の姿をしたフフ・ヤガーンを抱き上げて
『ザラド』は、
「我が、お前の父になってやろう・・・
今日からは、お前は、我のモノだ・・」
そう言った。