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プロローグ 1

 良いニュースと悪いニュース、それに今まさに口を開けた地獄がある。

 良いニュースは、うだつの上がらない底辺非正規労働者の俺も、とうとう荒ぶるトラックの突撃を受けて転生した。

 しかも転生先はあれほど憧れた上級国民。

 ボーナスステージの到来だ。


 悪いニュースの方は少し込み入っているから説明させて欲しい。

 俺の二度目の人生は王子様だ。

 名前はレオン。

 聖ベルナンド王国の第一王子。

 現在10歳だ。

 この世界には魔王はいないので銅の剣片手に『魔王倒してこい』とかの無茶ぶりはされないだろう。

 黙っていれば王の座が転がり込むというわけだ。

 うわーおステキー!

 しかも顔の造形も素晴らしい。

 栗毛に中性的な女顔、整った顔でよかった。

 世の中には美形以外はゴミだと思ってるヤツは多いからな。


 父親は国王ジョン三世。

 43歳。

 金髪で筋骨隆々とした男らしい姿だ。

 だが中身は王族にありがちな冷たい男だ。

 なにを考えているかわからない。

 会話も少し成立しづらい。

 と、いうか……意思疎通が難しい。

 なにせ会話をする機会が少ないからな。

 王族ってのは難しいものだ。

 まあ、あまり話さないので家族という実感はあまりないが、苦手ではあるが嫌いではない。


 次に母親、シェリル。

 母親の正妃が俺を産んだのは15歳のとき。

 今は俺が10歳だから25歳だ。

 親父33歳、母親15歳。

 日本だったら父親は逮捕されていることだろう。

 銀髪で理知的。

 学級委員長タイプの美女だ。

 だらしないのが大っ嫌いで、お小言が多いが俺のためを思っているのだろう。

 前世で大人の世界を知っている俺にはありがたく感じる。

 正直、母親は好きだ。

 ま、マザコンちゃうわ!


 その次に弟、ランスロット。

 0歳。

 つい最近生まれた新しい家族だ。

 俺は前世で子どもも兄弟がいなかったせいか、彼を一言で言い表すのは難しい。

 俺は手足をじたばたさせるこの奇妙な生き物に複雑な庇護心がわいてくる自分自身に戸惑っている。

 同時に『お兄ちゃん』という自身の立ち位置を計りかねているというのが本音だ。

 彼の出生で今回の事態が起こったわけだ。


 そしてもう一人の登場人物がいる。

 寵姫メリル。

 27歳。

 父親の国家公認の愛人だ。

 栗毛の明るい美人。

 出るところが出て引っ込むところが引っ込んでいる。

 真面目な王と妃とは違い、性格は豪快かつテキトー。

 どことなく元ヤンっぽい印象だ。

 嫁は堅実で真面目な女性、遊ぶときは明るいギャル系の姉ちゃん。

 親父の女の趣味の良さには脱帽である。

 俺はそこまで欲望に忠実になる自信はない。

 しかもメリルは性格がいい。

 普通だったら父親の愛人とは微妙な距離になるだろう。

 だがメリルは優しい女性だ。

 俺はメリルと会えばくだらないバカ話をする仲だ。

 俺はこの人と妙にウマが合う。

 彼女には子どもがいないせいか俺を子どものように思ってくれているのかもしれない。


 俺はそれを全く疑問に思っていなかったわけだ。

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