序章
これは不定期連載中の『黒の王国の住人』と同じ世界観になります。時代はそれより30年くらい前です。
帝暦1803年秋。黄の皇国斉の第17代皇帝が亡くなった。この後を襲ったのは17代皇帝・李賢周の第1公子・李宇国である。当時25歳。17代皇帝の寵姫ウー貴妃の息子である。彼は玉座に着くと、まず、異母妹であるシュ皇后の娘である第2公主・李雪蘭が軟禁されている京師郊外の屋敷を襲撃した。
シェランには様々な噂があった。『虐殺姫』、『血まみれ公主』と言う通り名を聞けば分かるだろう。いい噂ではない。寄れば斬られる狂人だと言われていた。これは、第18代皇帝となったユーゴの母ウー貴妃を斬り殺したことに起因する、彼が流した噂であった。
第1公主、第2公子が亡くなり、ユーゴの地位を脅かす相手としては第3公子・李稜雲、そして、皇后シュ氏の娘たるシェランがあげられた。リンユンはシェランを崇拝しており、彼が関わるならシェランが対抗馬となる可能性が高かった。そのため、ユーゴはまずシェランを始末することから始めた。『虐殺姫』とのうわさがあるシェランだ。冤罪をでっちあげるのは簡単だった。
しかし、ユーゴの軍が屋敷に行くと、すでにそこはもぬけの殻だった。
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