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 不等価時間と、等価な時間軸

だいぶ書き足しあります?

「自爆? ウソでしょう! 私たちって、悪役怪人扱いなの?」


 スクーリンの中の少女は『自爆』という言葉に、わたわたしていた。

 特撮マニアか? いったいどんなキャラ付けしていたんだろう、チヅルって……。

 中のヒトの記憶を(あさ)っても、該当するものがない……。

 全くもって、頭痛が痛いとは……こういうことかも。

 スクリーンの向こうでは、セトラという少年の百面相がそれを静かに物語っていた。

 チヅルは体内に吹き荒れる妙な感覚に抗いつつ、ある意味冷静に観察していた。


 スクリーンの向こうから声が掛かる。

「ひらけ! ゴーレム!」


 しょうがないかと、あちらから起動の言葉(オープン・セサミ)を告げたようだった。

 こちらのティアの痴態は、スクリーンの向こうのヒト族にとっては目の毒というか、(彼女)たちにとっても自分たちがその時どうだったのかの状態を思い出させるようで、赤面しきりみたい。


 モヂモヂしている(彼女)たちを尻目に、スクーリンの向こう側に見慣れたゴーレムハウス、もといゴーレム倉庫がサイコロ展開してくれた。

 屋根が出来ると同時にわたしたち(・・)の、ンンンな音声がシャットアウトできたみたいで、正直なところ助かったわというのがチヅルの本音。



 閉じる瞬間にティアに縋り付かれたチヅルが発した、あーーな音声もありました。

「あっ、んんぅ…。手?、ティア……、ダメっ! あぅ! ……。」

 向こうに聞こえると思うと、あちらの妄想をかき立てているというのはこちらにとっても小さくないダメージになってて。

 本当に、(身体)に毒です。心にも毒です。


 落ち着くまでは密閉状態を維持。男性陣が帰ってきてもしばらくは、引きこもっています。宇宙空間での使用は考えてないようだけど、閉じ込められてもNスーツの生命維持装置類は作動しないということは、そういうことなのだと思う。

 だから、たとえ密閉状態になっても物理的に死ぬようなことはないかと。

 精神的にアレな状態だとしてもね。


 あとは、飢餓渇水状態にならないようにと、飲む点滴(甘酒)と、こちらにいるドラゴンのドラゴン丼を常備しているようで、正直助かったと思いました。だって、食事はワタルしか作っていなかったもの。こんな醜態は見せたくない。


 ドラゴン丼は、今回の竜宮の島でのパンデミック(爆発的拡大感染)で発覚した最強の料理だったりする。ゴーレム倉庫には圧縮加工して詰めてあると、黒板にチョークでカラフルに書かれていた。描かれていた?


 飲む点滴に関してはグレードの高いものを用意しているらしいので、間接的な感染だとしても成長の止まった段階からのそれなのだけど、それなりに期待できそうと。

 彼の嫁たちに関しては、成長期の途中らしいので……、くぅ……。




 ほかにも、むこうに転移したシャイナーとヒリュキの中のヒトからの情報では、鬼人族に付きものの角の問題。服を調達するための対価として、この角の問題を解決しようとしたらしい。確かに、清楚な顔立ちにゴッツい角が生えている様子はなかなかに迫力ある光景で、私たちも見ていて引くことも多かったから、良い取引のツールになりそう。


 すでにパレットリアで生産されているらしく、あちらの大陸中に広がりつつあるものを利用できないかという流れになったようだ。


 こちらから向こうへ渡った首長の言は重く、

「俺の家族の中でも一本角から四本角まで多々居るのだが、清楚の少女に限って超立派な角を持っていたりするから、俺たちの種族の悩みの種なんだよ。」

 という形で相談を持ちかけられ、今回のゴーレム倉庫にサンプルとして、彼の残してきた家族用に用意してあるとあった。


 それは、「イヌミミは≠ネコミミ?カチューシャ」である。


 名指しで、それぞれ個人別に包み使用法を書いてある。

 コレにチヅルが食いつくかは、彼女の『地平線(ホライゾン)女神の(オーナーズ)希望(ホープ)』の症状が緩和次第連絡が入るものと思う。


 コヨミがチヅルに、アトリがティアに送ったものがある。

 試しに付けてみたが、ネコミミと同時に胸部装甲の隠蔽も行ってくれた。そこだけボヤけているような感じで見えてしまうので視覚的にはアウトであったが。



「チヅぅ、コレって胸だけにした方が良いんじゃ……?」

 微妙な効果に、突っ込んだティアは悪くないと思う。チヅルも同意見だったからだ。




 これが、主な貿易の商品として、地球からの主力商品となることになるとは、その時には思っていなかった。地球では、鬼人族のファッションアイテムとして蔓延することになる。その名も「……≠ネコミミ?カチューシャ《角隠しver》」として。








 結果として、二カップほど急成長した彼女たちの胸部装甲は、Nスーツのデータ更新が必要になった。というか、弾けてしまったのだ。

 あちらのシュガーたちと同じように。

 こちらのシュガーたちには、今のところ影響は見られない。

 あちらで感染するまでは、

 Nスーツのその(・・)部分に必要な強度を求めるために、ゴーレム倉庫から探し出した有り合わせの魔テリアルを使用し改良した。

 彼女たちの改良Nスーツの立ち姿は自信に溢れるものであったことを追記しておこう。


 ちなみに追加した魔テリアルは、ゴーレム倉庫の内壁の一部と、カチューシャの中にいたスライムの核であった。周辺の魔素を吸収していたカチューシャの中には、超小型のスライムが異常増殖していたらしい。


 そのデータは、彼女たちの所属先のゾーディアクにも届けられている。

 異常な感染力を持つ風土病感染の結果、必要なNスーツの改良データとして、データベースに載せられている。

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