47, 箱のモノ…がたり -③-
少々、短いですが……。
「でも、この箱のおかげでアイテムボックスは完成できるわ。」
と、こともなげな雰囲気を醸したチヅルが漏らす。
「どういうこと?」
ティアにはいまいち、その原理が理解できない。何をどうするというのかさえ分かっていないからだった。
「同一の時間上に有る惑星から届いているのよ、このプリンって。私たちのボックスもヒモ付けすればいいのよ、あのボックスと同じ時間帯の存在と。簡単だわ。」
チヅルが嬉しそうに話していることがその場のメンバーには筒抜けなのだが、なぜそんなに嬉しそうなのかが良く分からない。
「な、何でそんなに嬉しそうなの? チヅル、説明してくれる?」
チヅルの喜びように面食らった挙げ句、理解不能な事柄の解決のためにティアがメンバーたちを代表して問い掛けたのである。
常日頃から、当たり前の光景では……あるが。
「だって、私たちのボックスもあのボックスと同じようにできる資材が届いたのよ。プリンが入っていたブツよ。濃厚な魔力を内包した貴重な資源だわ……。」
そう呟いて、うっとりとするチヅルに、その場の全員がやや引き気味では……ある。
「確かに送られてきた時点で私たちの資源…か、それは有効活用するべきね。」
現在足りなかった性能を加えていくには必要なモノだった。プリンを送ってきた彼も、しょうがないって思ってくれるでしょうね。
六面体に八十一個もの器とスプーン。デザインはチヅル任せだけど。彼女のスキルが炸裂するはずよ……、バシンって、ね。
そう思っていたティアに、とんでもない提案を立ち上げたのはリュウだった。
「だったら……、あの箱もそうなんじゃないの?」
指摘されて初めて皆がその可能性に気付いた。
「……、そ、そうね。リュウの言う通りだわ……。」
最大の魔力資源が鎮座していた訳ではあったのだが。先手を打たれました。
「これはやらんぞ。……というか、彼からの贈り物だもの。既にワシの所有物として登録になっているからな。…それにこれから自分たちでコレを造っていくというのなら、おぬしたちも魔法とやらの構築に少しは苦労してみるのだな。」
「ちぇ……。」
そう、呟いたのもチヅルでした。