44, 箱のモノ…がたり -序-
コインを入れると、作動する。そのコインがこの世界には存在していない。
と、いう事は……。
こちらの世界のヒトがこの箱を作れる訳が無いという事。
では、どこの世界の箱なのか。
そして、ジル・バードマンは、どうやってこの世界に持ち込んだというのか?
それが最大の疑問点であり、ジル・バードマンの最大の失策と言うべき事柄なのであった。
「しまったなぁ、ワシの最大の失敗じゃな。確かにこの世界というかこの星にはコインはまだ無い。だが、何人もの『星の移民たち』のお陰で、この星に連なる場所がある事が解っておる。彼らのおかげで見つけたのじゃよ、新しい世界をな。」
失言している事に気付かないあたり、よほど腕に抱えている箱はお気に入りらしいと、ティアとチヅルは見抜いていた。
「ジル・バードマン様は、この星に居ながら他の知的生命体を星ごと見つけていられるのですね。わたしたちでは到底出来ない事ですわ。」
チヅルがしっかりと揶揄する。
ティアと他のメンバーも頷きを返してくる。
「さすがは、ジルハマン様です。」
ティアのその断定の物言いに精霊種たちはギョギョッとしていた。
短いですが、序章という事で……。