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42,ギルド創始者

 二ヶ月に一話の理由は、いずれ、交わります。

 予定では……たぶん………orz

 二階から降りてきたと思しき長いヒゲを蓄えたその男は、とんがり帽子にローブを羽織り、節くれ立った魔法のための背丈よりも長い杖を片手に持ってというか引きずって?いました。

「五月蠅いなぁ、眠れんじゃないか。静かにしとれって…………。わははははは、何やっておるんじゃ、お前ら?」


 妖精たちのいう「ジル様」は出てくるなり、クモの糸に捕らわれている妖精種たちを指差して、笑いこけておりました。


「ジル様ひどいー」「たーすーけーてー」「………死にそう」「………ん…」

 なんじゃ、このおっさん?と、リュウたちが考えるのも無理はないくらいにくだけた風情で、『あの映像のジルハマン様』では?という疑問を打ち消してしまうほどの者でした。


 ただ、本人かも知れないという疑念だけは残っていました。

 『あの方』は相当にふざけるのが好きで、アトルとランティスの時代からかなりの強者であることは間違いが無かったのです。と、オレは誰に説明しているんだろうと、リュウが自嘲していた。


「ねぇねぇ、おじさんが『ジルハマン』様なの?」

 強者(つわもの)はこちらにも居たか!

 シュガーが、いきなり核心を突いた。


「おう……、いきなりじゃな、お嬢ちゃんも。」

 ジル様が仰け反っていた。


「だって、ここの人たちってマダマダだよ?」

 だからって、お前がそれを言うのかと絶句していたリュウは、彼女たちの行動基準に気が付いた。シュガーたちを宇宙で拾った時に見ていた悪夢の中の一つにあった、あの羽を持った彼女たちの小さなその姿に、彼ら妖精種の姿はひどく似ていた。


 彼らの表情の下に(ひそ)む弱き心を感じつつ彼らのその行動の中には、夢の中で活動していたシュガーたちの姿が重なったのである。


 シュガーたちにとっては過去のことだろうが、時空の中の場面転換はごく普通に訪れる。

 この(・・)出会いがそれを引き寄せたとでも言うのだろうか?


 もしそうだというのであれば、彼らは………。そこまで考えている間に、当の“ジル様”がシュガーたちに対して弁明を始めた。


「ワシは冒険者ギルドの創始者より信任を得て、ギルドマスターの称号「ジル」を頂いたジル・バードマンだ。そっちの小っちゃな嬢ちゃんの言うように、この国もこの星もマダマダだよ。だから、先代は、いまもこの星のどこかを歩いておられるはずさ。「ジル」の称号を持つ者の責任としてな。」

 「ジル」の称号だって………。その物言いにリュウとティアは顔を見合わせた。


「変だ!」「変だね!」

「ジル」は称号などでは無い。あの人の本質そのもの。という事は、誘っているのだ。

 そう感じると、顔を見合わせて頷き合った。


「これは………、手がかりは有るぞっていう事のようね。」

 そう、大追跡を促しているようだ。まぁ、自分たちにとっても捜し物の数は多い。

 何処かで出会う事も想定しておこう。


「追い掛ける気が満々じゃな。そうか………、おぬしら精霊王(エレメンツ)の名を持つ者たちか………。面白い、流石(さすが)はあの方から伝えられたままの者たちじゃな。」

 俺たちの現在のチーム名を知っているとは………。

 セヴンデイズがゾーディアク内の称号だが、作戦起動時には参加人員の構成で、称号も変更になる。今回は、セヴンデイズにシュガー、ジェリィ、クッキィと、ソルト、ミント、ハーヴが参戦している。


 そのため、作戦名は「精霊王(エレメンツ)()輪舞(ロンド)」と、なっていた。ひとり一人が精霊王(エレメンツ)の名を冠していた。


 このおっさんも大概だな。みんなの共通認識になっていた。

 ギルドの登録を済ませたら、捜索と探索の両面で動く事にしよう。

 そう、みんなで頷きあった瞬間だった。


「こいつらも連れてけ!」という言葉に、「そんなぁ、ジル様いけずぅ……。」と、うな垂れたままの精霊種たちが居ました。


「はぁ?」という言葉と、「やったぁ」と歓喜する言葉がこちらの小っちゃ嬢ちゃんから発せられておりました。


「お前たちの敬愛するジル様公認の精霊王(エレメンツ)たちだ。まさか嫌とは言うまいな! それにジル様との約束も有るのであろう……ン?」

 何やら、密約があったらしいが俺たちにはジル様捜索は必至では無い。

 本隊からの緊急通信があれば、艦隊に戻らなければならない身の上だ。

 それを言う前にティアが許可していた。

「いいわよ、連れて行ってあげる。でも、余計な詮索は無しでね、お互いに。いいわね、チヅル。」

 チヅルさんにクギを刺すとは、さすがティア。それは俺には出来ない。

「了解で~す。そんなにクギを刺さなくても約束は守りますって、………死んだらいい?」

 ティアがチヅルからの返事を受けて精霊種たちを振り返ると、彼らは蒼白な顔をして必死に首を横に振っていました。


「駄目みたいだから、我慢してちょうだい、分かった? チヅル?」

 ティアのだめ押しにチヅルさんも肩を落として返事していました。

「はぁ~い、了解で~す。」

 本当に残念そうに、それはもう残念そうに答えておりましたとも。


 その日、冒険者ギルドに登録が完了し、捕獲していた恐竜種の素材の放出によりFランクのペーペーからDランクまで、二階級特進を全員が果たした。

 次の日、妖精種の集合を待って次の街へと歩き出した。


 同行する事になった妖精種は、現在七名。この街に居た者たち。


 音頭取りのキリル、静かすぎるカリィ、キンキン声のクロンとケレィは双子、ヒト種並みの常識家コムル、後でジル様から説明を受け、空中で…orzしていた器用?なキニュ、ぼーっとしているカシレ。


 騒いだ当日に居たのは、キリル、カリィ、クロンとカシレ。

 とばっちりを受けたのが、ケレィ、コムル、キニュ、ご愁傷様である。


 それぞれが、それぞれの精霊王に帰順する事になった。







 のちに気付く何かを、変えていた出来事の二つ目だった。

 変わった事の一つ目はアレです。

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