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初めての|贈り物《ギフト》

こちらもお久しぶりです。

 その音は静かに鳴っていた。


 七人プラス六人と、それぞれのヒヨコ(使い魔?)達の近くでその音は鳴り続けていた。

 通常であれば、何回も鳴り続けることなど無いその音はやむことが無い。


 もう何度目か、その音自身も忘れかけた頃にようやくチヅルがその音に気が付いた。

「何かしらこの音。この星独自のシステム?でも、作動しているってこと?」

 ひどく気になる音。だけど嬉しくなる音ね、そう感じた。


 誰か知っているかしらと、周りを見渡すが、連続した戦いの経験値からヒヨコたちのパワーが上がっていることに気付いたみんなが、その戦いの範囲フィールドを拡げていくために収拾がなかなか着かない。


 そろそろ、追撃戦に変わろうとしているみたい。潮時かしら、そう感じたチヅルは、

「『フェニック』、ファイヤーウォール展開しなさい」


 逃げ始めた恐竜たちに追撃戦を仕掛けようとしていたアーシィは、いきなりのファイヤーウォールにたたらを踏んだ。目の前を『フェニック』が駆け、その尾が広がったために生じた現象だった。

「危なっ!」

 駆けだそうとしていた彼の脚は、大地に縫い止められたかのように急ブレーキを余儀なくさせた。


「ハイハイ、そこまでよ~」

 優秀な参謀の言葉にあちこちからブーイングが飛び出す。

「披露宴の主菜(メインデイッシュ)の量は確保したわ。付け合わせの捕獲に移るわよ」


「え~、まだいいでしょう?」

 シュガーを含む数人が頬を膨らます。


「ダァメ。これ以上追撃したら、生態系に深刻な影響が出るわ。私たちに歯向かうならまだしも今から絶滅危惧種にする訳にはいかないわ。それに、この音に対しての認識も確認しておかなきゃ」

 未だに何か身近なところでキンコン鳴っている音も気になっていたチヅルがはしゃぎすぎていたみんなに注意を促す。

 どうも胸ポケットから聞こえてくるようだ。そこに有るものは二つ。サングラスと二つ折りのホロ・キューブ。


 チヅルに言われて気付いたのか、気付かない振りをしていたのかは分からないが。今更ながらに慌てて胸ポケットを探り出す仲間達に呆れた視線を送っておく。


「「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」

 ホロ・キューブに表示されていたものは、それぞれのステータスが記されていた。今までの世界でそんなものにお目に掛かったことはない。そして、フレンド通信登録などの各種設定画面だった。例として上げるなら、

 サー・アン・リュウ(=リュウジュ・サームアンドゥ)

 Lv999 モンライ流免許皆伝(マスタークラス)


 剣【短剣MAX、片手剣MAX、両手剣MAX、光剣MAX、魔剣MAX、神剣MAX、幻想剣MAX、ビームサーベルMAX、レーザーソードMAX】を筆頭に、弓、盾、素手、槍など全ての免許皆伝(マスタークラス)を取得。時々弱気。

 そう記載されていた。リュウは苦笑いしか出ない。

 周りの人間たちは呆れかえっていた、これほどの実力を持ちながら、時々弱気って……何なのだ? と。


 ティア・ムーン(=ティアラ・ムーンライト=ティアラ・サームアンドゥ)

 Lv999 モンライ流免許皆伝(マスタークラス)


 剣【短剣MAX、片手剣MAX、両手剣MAX、光剣MAX、魔剣MAX、神剣MAX、幻想剣MAX、ビームサーベルMAX、レーザーソードMAX】を筆頭に、弓、盾、素手、槍など全ての免許皆伝(マスタークラス)を取得。

 ティアはほとんど同じで、最後だけ違っていた。時々強気(笑)。だった。


「レベルアップって何?」

 誰にということも無く、独りごちるティア。


 チヅルたちは簡略化された剣とか弓とかの絵記号(ピクトグラム)に1から10までの数字とともに《レベルアップしました》の文字が、数ページに亘って書き込まれていた。

 というより、9か10もしくはマスターの文字しか無い。どれだけハイレベルだというのか。そして、他の人間にこれがバレれば、そこに有るのはねたみとそねみそして、憎悪だけである。嫉妬の炎に焦がれた者たちとの闘いは不毛な未来しか無い。


 そして、本人たちも知らなかった高レベルのものが散見されていたのは言うまでも無いことだろう。道具および魔道具開発のマスター。跳躍および転移のマスター。範囲攻撃。銃撃に伴う鷹の目および狙撃。分身攻撃。etc。

 表示されていたのはそのレベルアップのことともう一つ。《周辺の地図①をゲットしました》とあった。そして、いつの間にかアイテムボックス簡易バージョンを手に入れていたようだ、ジルの手紙というアイテムとともに。


「というより、この地図、この森の向こうに大きな都市があるぞ。名前が付いてる……?

どこかで見たような名前だなぁ」

 ワタルの声にみんなが目をやると、そこには……。

『マオニガシ』領主マキシ・マとある。


 さらに、ティアが頭を抱えていた。「こ、これは…」

「ジルの手紙」と銘打たれたものに目を通していたときである。

「曰く、前回の接触から、この星の時間で既に数百年は経過していること。曰く、この世界への接触には注意が必要なこと、不用意な言動は避けること。曰く、自分たちのステータスは争いの元になること、住人たちとの余計な刺激を避けるための特殊スキルを教えるので覚えておくこと。最初は必ずその都市から始めること。その始まりの都市には冒険者ギルドが有るので全員登録すること。この世界での確立された身分証明になるため、必要不可欠。ジルハマン」と記載があり、「ステータス偽装」というツールが付属していた。


 人差し指でタッチすることで、自分のスキルの中に星形のフォルダとなってロードされた。トトンとタップすることで偽装用のタブが展開され、一つずつ多岐の項目に亘って偽装の調整が可能になるようだ。


 だが、自分たちの知識とここまで違ってくると、

『えっ、ここって地球だったんじゃ無いの?』というのが、偽らざる印象であった。

やっと地球での話が進みます。

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