祝福に来たはずだったのに
静まり返った深夜お城の鐘が鳴りびく、祝福の音に包まれ、いよいよ国王様の子供が産まれたようだ。
窓からお城を眺めため息をついた。
「ハンヴィーまだ起きてるの?」
声のする方へ視線を下にすると使い魔のノックスが長い耳をぴょこぴょこしながら私の足を前足でツンツンしている。
「ごめんねノックスもう寝るわ。」
ベットに腰を下ろすとノックスが飛び乗って顔を近づけた。
「まったく君は、いつも夜更かしさんなんだから!」
プンプン怒る可愛い黒兎に思わず頬ずりする。ふわふわの毛を頬に堪能しながら。
「ごめんねノックス後もう少しで、一段落する所だったの。」
ノックスはヒゲをピクピクさせる。
「国王の子供が産まれたってことは、直に恒例の儀式だよ!」
プンプン怒るノックスの鼻を撫でてなだめる。
ノックスはしょんぼりして耳を下に向けながら
「君は、偉大なこの国の13人目の魔女なのに、濃い紫色の瞳のせいで魔族の目みたいって忌み嫌われているし。」
「なのに、なにかあると応急に呼ばれて仕事させられる……僕やんなっちゃう。」
しょんぼりしてフワフワの肩が下がる。
「まあまあ怒らないで、瞳の色だって人間達が勝手に誤解してるだけよ、普通魔女の瞳は、緑や黄色や赤色だけど、私は、妖精だから魔力も強くてこの色なだけ。そもそも魔族は黒目に金色だし!中々いないし見ないから魔族だなんて……ねぇ?」
首をかしげる私に、ノックスはやれやれという素振りで続けた。
「人付き合いがあまり得意じゃないし呪い(まじない)薬を専門に作っているため、あまり人々からいい目で見られてないし、森から出ることはあまりないからつまんない。」
私は、すっかりその扱いにも慣れてしまったので、今更訂正する気もない。
結婚したり、聖女のように働くのもご免だ。
プンプン怒るノックスを「ごめんね」と言いながら抱きしめてベットへ連れて行く。
パチンと指を鳴らし明かりを消して眠りについた。
コンコンコン、ドアが鳴り響く。
居留守を使おうとしたが、一向に鳴りやまないので、
私は、眠い目をこすりながら、玄関に向かった。
秋の冷たい空気がひやりと体を包む。
傍にあった薄ピンクのショールを羽織り、玄関の扉に手をかけた。
どちら様ですか?
扉をゆっくり開けると、紺色の軍服を来た白髪の老人が立っていた。
「まぁ、ノイマン!貴方が来るってことはいよいよ王宮から?」
老人はフンと目を閉じ、鞄から封筒を出してきた。
「国王陛下より、魔女どの達へ皇女殿下の生誕パーティーへのご招待のお知らせに参りました。
必ず参加なさいますよう。」
ため息をしつつ受け取り、「ありがとう」と見送った。
フンッと鼻を鳴らし振り向いて帰るノイマンに勢いよくドアを閉めて、ソファーに座り頭を抱えた。
「王宮苦手なのよねぇ……」舞踏会に何度か出席した事があけど、私を観る時の冷たい刺さる視線。
おまけに、他の何人かの魔女からも嫌われていて、正直行きたくない…。
流行もわからないし…昔の着なかったドレスでもいっか……どうせ誰も見てないし。
「まったく国王も国王よね、毎回13人全員から赤子に祝福を、させなくても良いでしょうに」
まぁ代々この国に住まう魔女たちから赤ちゃんへ祝福を授けていて。
祝福を授けることで、魔物や妖精や災いから守っているのはわかるけど実際あれ人間にはわからないだけで、適当なところあるしなぁ、他の魔女なんて心優しく育ちますようにと言って、実際かけてる魔法はよく眠れる魔法だったりするし…。
魔女同士は、お互いどういう魔法をかけてるのかある程度わかるが完璧にはわからないけど私は、魔法の色と気配で何の魔法かわかっちゃうもの。
うっかり、何代目かの皇太子の時に、苦手な魔女の魔法を当ててしまい余計嫌われたし。
「思い出したら行きたくなくなってきた。」
考え込んでいると、ふわっと紅茶の香りが漂った。
カップが空中でくるくると回りながら、目の前にそっと置かれる。
「ありがとう、エーニャ」
声をかけると、キッチンからハチワレの虎猫がトコトコとやってきた。




