詩: 散歩の途中で犬が嗅いだもの
掲載日:2026/02/19
散歩に出て五分もたたないうちに
犬は立ち止まり
空気を確かめるように
鼻をくんくんさせました
雲の底が低くなり
アスファルトの色が
ほんの少しだけ
深くなったような気がします
犬はちらりと
こちらを見上げて
「そろそろ帰ろう」と言うように
家の方を振り返りました
わたしは笑って
「もう少しだけ」と
いつもの散歩道を歩き続けました
ぽつり
ぽつり
五分もしないうちに
肩に落ちる冷たいしずく
犬はわたしを見上げました
今度ははっきりと
「だから言ったでしょ」という顔で
わかったわ
あなたの鋭い鼻には
しっかりと
雨の匂いがしたのね




