6話 卒業
あの後、私は無事回復し、変わらぬ生活を続けながら3年を過ごし、卒業を控えていた。
「明日で卒業か。」
自室で銃の手入れをし、思いにふける。
「長かったなぁ。」
1年生の時、戦場で重傷を負い、なんだかんだで女神と契約をした。2年生や3年生、今、4年生も野外実習を行ったが、あそこまでの出来事はなかった。
「強いていえば、ストゥルトゥスのズボンが破けてハートのパンツが丸見えになったことかな。」
2年生の野外実習でストゥルトゥスと警備をした時だった。敵襲はなかったが、警備中、飛んでいた鳥とぶつかり落下、そして木に引っかかりズボンが破けた。一人で抜け出すこともできず様子を見に来た私に発見され、ハートのパンツを晒したわけだ。
「3生年のときは特に何もなかったな。4年生は伍長になれた事が一番の出来事かなぁ。」
4年生は野外実習が2回あり、1回目では敵兵の発見、および援軍を要請して撃退ができた。2回目も同様に敵兵を発見、撃退したおかげで伍長になるための試験を受けられた。結果は合格だ。
「本当、楽しい学校生活だったよ。」
無償で勉強ができて、ストゥルトゥスという部下のような友達もできて、前世では満足に使えなかった魔法も使えた。 時々ある休日に孤児院に行ったりして、野外実習の時にもらった給料で少しだけいいものを孤児院のみんなと食べる。疲れて寝るまで遊んで、夕方には帰る。そんな当たり前の日々が送れてとても幸せだ。
「明日の卒業式に備えて寝よう。」
幸せを噛みしめて、私は眠りについた。
朝早く起き、着替えた自分を鏡で見ていつもよりも念入りにチェックした。
「帽子よし、髪型よし、襟よし、勲章よし、全体よし。最後に…。」
チェックを終わり、机の引き出しから取り出したのは、あのワイン色に輝くペンダントだ。
「うん。ちゃんとできてるね。それじゃあ、卒業式に向かおう。」
「それでは、☓085年度卒業式を行います。最初に、ドゥクス教官、ピロソピア教官、メディケ軍医から挨拶です。」
3人が呼ばれた順に壇上に上がった。
「どうも。実技担当のポルタ・ドゥクスです。この数年間、日々学び、鍛錬をし、皆さんも成長したと思います。これから戦場に出ると思いますが、学んだことを思い出して、頑張ってください。卒業、おめでとう。」
「こんにちは。座学担当、ラティオー・ピロソピアです。私の講義をつまらないと思う方もいたでしょうが、私の講義では必ず役立つことだけを教えてきました。今後とも、実践に活かしてください。ご卒業、おめでとうございます。」
「皆さんこんにちは。学校専属軍医のモリス・メディケです。今まで皆さんの治療をしてきましたが、弱っているときに垣間見る皆さんの素の姿や、本心を聞いてきていい子たちだと思いました。あまり怪我をしないよう、気をつけて行ってきてください。卒業、おめでとうございます。」
ドゥクス教官は微笑みをたたえた顔で、ピロソピア教官はいつも通りの難しい顔で、メディケ軍医はほんわかとした空気をまとって話していたが、3人とも瞳が少し潤んでいる気がするのは、きっと、気の所為ではないのだろう。
「気をつけ!敬礼!」
「「「ありがとうございました!!」」」
卒業生全員が自身の帽子を空高く投げ、青い空に輝く太陽が眩しかった。
こんばんは。人によってはこんにちはかもしれませんが、どうも、古瑠璃です。今回はゼノがついに卒業しました。早かったですね。次回から、ゼノが本格的に戦場で活躍するのでお楽しみに。
もしかしたら新しい小説をあげるかもしれません。よければそちらもぜひ、見てください。




