転生の条件
悪い事をすると、来世は一番嫌いな生き物に生まれ変わる。と言われている世界があった。
「悪いことはしてはいけないよ。生まれ変わるとき、自分が一番嫌いな生き物に生まれ変わるって言われているからね。害虫に生まれ変わったら嫌だろう?」
そう、親に言われて育った。どうやらその話は本当らしい。前世の記憶を持ったまま転生した者がいると、うわさに聞いた。
親も亡くなり、人に騙され貧困し、最下層まで落ち、悪事に手を染め、人を騙す側になった。
ある時、信じていた婚約者に裏切られ、誰も信じられなくなり、刃傷沙汰をおこし、村に火を放ち婚約者と無理心中した。村ごと燃え、村人の半数が亡くなった。
来世も人間だ。と、大量虐殺犯は恐々語った。
世界の管理者は神と呼ばれ、崇められ、大量虐殺を行った者に、正しい心を植え付けた。正しい心のみを植え付けた。そして今度は貧困にならない人生を与えた。これで、この者は改心するだろう。そして転生させた。
神から見れば一瞬の人の人生が終わり、この魂が戻ってきた。この者は、また、大量虐殺をしてきた。己の正しさに沿えない普通の人を粛清しまくったのだ。
来世も人間だ。と、大量虐殺犯は笑顔で語った。