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一矢報いるために  作者: ぽーりー


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3−11 捜索魔法



後半に事故のシーンがあります

苦手な方は読むのをお控えください






エミリーたちが無言でコーヒーを飲んでいると、突然研究室の扉が開いた。

エミリーとアシュリーがびっくりして振り返ると、ワインレッドのローブを着た金縁眼鏡の男性が立っていた。


「エミリー様!!」


男性は急いで駆け寄ると、深々と頭を下げた。


「このようなむさ苦しい所にお越し頂きましてありがとうございます」

「ヒューズ様ですか?」

「はい。魔術教師のヒューズ・レインです」

「はじめまして。エミリー・キワンと申します」


エミリーが立ち上がってお辞儀すると、ヒューズは感極まった顔で胸に手を当てた。


「お会い出来て光栄です」


挨拶を済ませたヒューズは、部屋の中を見回してげんなりした。


「申し訳ございません。すぐに片付けます」


ヒューズが詠唱をすると、魔導書たちが宙に浮かび上がって、納まる場所に納まっていく。

すっきりと片付いた部屋を見たヒューズは満足気に頷いた。


「それで、パニシェ君、エミリー様に無礼な事をしていないだろうな?」

「・・・・どうでしょう」


パニシェがさっと目を逸らすと、ヒューズはガックリと肩を落とした。


「エミリー様、申し訳ございません。こやつは魔術には長けているのですが、礼儀がなっていないもので・・・」


ヒューズが指で合図すると、パニシェはぶすっとした顔で頭を下げた。


「失礼しました・・・・・で、エミリー()って何ですか?」

「エミリー様はエミリー様だ!エンディーネ王国の王女様だ!」

「え?王女?」


パニシェが少し目を見開いてからエミリーを凝視した。


「わっかんね〜〜〜〜」


ヒューズはテーブルに突っ伏したパニシェを無視してエミリーに声をかける。


「この阿呆は放っておいて、さっそく捜索魔法を試してみましょう。こちらです」


ヒューズはエミリーを奥の部屋に案内すると、大きなテーブルの上にバルト6国が載った地図を広げた。

それはすべての街や村、街道が載っている精密な地図だった。

ヒューズはペン立てから一本の銀色のペンを取って来ると、エミリーに差し出す。


「このペンのインクに一滴だけエミリー様の血を混ぜたいのですが、大丈夫ですか?」

「はい。針か何かありますか?」

「用意しております。消毒も済ませております」

「ありがとうございます」


エミリーは左の人差し指に針を刺すと、ペンの上蓋を取って血を一滴垂らした。


「ありがとうございます。これで傷口を消毒してください」

「はい」


エミリーは指を消毒した後、清潔な布でぐるぐると巻いた。


「このペンを現在地に置いて魔法を詠唱しますと、ペンが勝手に探したい方の足跡を辿ります。今回はエミリー様の血を混ぜておりますので、血の繋がりのある方を探すことが出来ます。この方法は他人を探すよりも精度が上がります」

「わかりました。魔法はどなたが詠唱するのですか?」

「この魔法は今のところ私しか使えませんので、私が詠唱します」

「お願いします」

「では、エミリー様、ペン先を現在地に置いてください」


エミリーは言われた通りにペン先を首都ライディーンに置いた。

すると、ヒューズが詠唱を始める。

ペンがカタカタと震え出したかと思うと、ゆっくりと北西の方へと動き出した。

ペンはそのままエンディーネ王国の方へと向かっていく。

王都タルドゥールをぐるぐると何度か回った後、そこからさらに北西へと進んで行った。

そして、ヘイマド山脈の辺りをぐるぐると回り出した。


「ここにいるんでしょうか・・・」

「そのようですね」


ヒューズはエミリーが誰を探しているのかは聞かなかった。


「ヘイマド山脈辺りの詳細な地図があれば、さらに範囲を絞れるかと思いますが・・・あいにくこの国にはないでしょうね」

「エンディーネに戻ったら探してみます」

「はい。こちらはいつでもエミリー様を歓迎いたします。よろしければこの地図もお持ちください」


ヒューズは地図を丸めると、ペンと一緒にエミリーに渡した。


「このような貴重な物を・・・いいんですか?」

「エミリー様のお役に立てれば光栄です」


ヒューズは胸に手を当てて頭を下げた。


「ありがとうございます。大事に使わせて頂きます」





エミリーたちは帰りの電車に揺られていた。

電車の中には夕陽が差し込み、車窓には同じ風景がずっと流れていて、心地よい眠気を誘う。

アシュリーは眠くて仕方がなさそうなエミリーを見て微笑んだ。


「エミリー様、少し寝てください。着いたら起こしますから」

「・・・・すみません、では、少しだけ寝ます・・・」


エミリーはアシュリーの肩に寄り添って眠りについた。





(そろそろ着くわね・・・・)


アシュリーがエミリーを起こそうとした時だった。

突然車両に大きな衝撃が来たかと思うと、アシュリーとエミリーの体が吹っ飛んだ。

抵抗する暇もなく二人の体は車両に叩き付けられる。

車両は線路から外れて地面の上を滑り続けていた。


「う・・・・」


痛む頭を押さえて起き上がったアシュリーは咄嗟にエミリーの体を抱え込んだ。



(エミリー様っ!!)




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