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カタストロフィ・メシア  作者: 汐海朔夜
一章『出会いと始まり』
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九話・神秘の到達者

 その後、メシア達は抜け道から逃げることを決断した。


 襲いかかってきた暗黒蓮華機関の連中はあらかた殺したので、もういいか……という話になったのだ。

 

「──《色欲の指輪》」

 

 しかし、安堵が広がるメシア達に、忍び寄る影が一つあった。

 

「────ッッ! 逃げろッ!」

 

 通路の奥から、灰の波動が放たれる。


 メシアの警告が木霊するが、それは既に無意味だった。


 "滅界の魔眼"で敵の攻撃を防いだメシアが、何が起きたかと周りを見回すと。


「…………ぇ、ぁ、ああああぁぁあああああ──ッ!」

「うぁぁぉぉぉおおあああああぁああああ──ッ!」


 〈HEAVENS(ヘヴンズ)〉の皆が、《《叫び声を上げて手当たり次第に暴れていた》》。


 そんな彼らの瞳は何かに操られているようで、理性を失ったように異様な攻撃性を見せていた。


理解不能(アンノウン)……何が起こって──」

「──精神魔術の類か? いや、それにしては感覚が妙だな。だが、似たようなもので干渉されたといったところか」


 人ではない構造だからか無傷だったアインの言葉に、メシアは冷静を装って返答する。


 そうしている間にも、仲間達の激しい同士討ちが始まっていた。


「……舐めるな」


 自分にも襲いかかってきた部下を一瞬で気絶させたメシアは、この状況を打破する手を考える。


 まず、先程聞こえた声だ。


 あれは抜け道の先から聞こえたので、この通路の情報が漏れていた……? いや、それはいい。本当は良くないけど、今は関係ない。


 おそらくだが、あの声の主がこの状況を作り出したと見て間違いないだろう。


 つまり、今私がすべき行動は……彼らの殺し合いを止める為に、早急に大元の原因を殺す。


「アイン、着いてきてくれ!」

「了解!」


 身体強化を施したメシアは全速力で抜け道を進む。


 その奥に人影が見えて──


 ──パンッ!


 瞬時にメシアの自動拳銃の引き金が引かれ、火を吹いていた。


 弾丸は真っ直ぐ人影まで進んでいき──


「──危ないわね」


 人影の直前で弾丸は急に止まったかと思えば、その直後には分解され、粉末と化していた。


 弾丸だった粉はさらさらと、人影の足元へ落ちてゆく。


「……お前がアレの原因か?」

「えぇ、そうよ。でもまさか、こんなに早く気づくなんてね。けれど……それでも、遅かったわね」


 女性が二人を見た途端、その場が異次元のような魔力に包まれたような気がした。


 そんな存在感を放つ女性は、二人の内心を知ってか微笑んでいる。


 暗黒蓮華機関の制服。


 だが、その白衣に刻まれているラインの色は。


 ……黄金色(・・・)


「…………お前の階級は、まさか」

「へぇ? もう理解したの。けれど、一応は自己紹介をしておくわ。

 私は暗黒蓮華機関、神秘の到達者《色欲(ラスト)》、朱翠(しゅすい)セレア。よろしくね? メシアと機械仕掛けの少女、アイン。そして……さようなら」


 微笑んだセレアは、メシアに右腕を向ける。


 その薬指には、灰色の宝石が嵌っている指輪を見せた。


「私の古代魔具(アーティファクト)《色欲の指輪》には誰も抗えないわ。貴女達の心は、私の手にあるのだから」


 セレアの古代魔具(アーティファクト)が妖しく空間を照らし、幻惑的な雰囲気がアジトを包み込む。


 その光によって、メシア達は支配され──


「私の得意技を知らないのか?」


 て、いなかった。


 その右目には輝いている魔眼があり、古代魔具(アーティファクト)による精神支配の力を滅していたのだ。


「アイン、行けるか?」

「勿論。私はそもそも人間ではないので、支配される心配は要らないです」


 メシアの心配に対し、アインは得意気に応じた。


 なにせ、自身の得意な構造によって精神支配が効かず、ようやく自分の出番が来たのだから。


「……そう、気に食わないわね。」


 セレアは少し苛立ちを見せ、右腕を軽く上げる。


 すると、どこからともなく魔獣が現れ、彼女の周りに蠢くように集まってゆく。


 狼のようなものから、鳥のようなものまで、様々だ。


「これは……」

「私の錬金魔術で改造した、可愛い魔獣達よ。さぁ──お行きなさい」

謎の解説役「あそこでアインと別れるのではなく、そのままアジトに持ち帰ることで、廃墟を監視していた部下がセレアにメシアの事を報告をしに行きます。ついでに抜け道もバラしてあげることで、一章のボスであるセレアがアジトへ直接来てくれるというわけですね」

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