四話・〈HEAVENS〉
お風呂から出たメシアとアインは、廊下を歩いていた。
「こっちに着いて来い。空き部屋があったはずだ」
「懇願。マスターと同じ部屋が良いです」
「却下だ。布団も一つしかないからな」
「提案。同じ布団で二人で寝ましょう」
アインはそうメシアに告げると、袖口をつかんで上目遣いでじっと見つめた。
「……私は一人じゃないと寝られないタイプだ」
「無問題。私は人間ではないのでOKですね」
「…………」
メシアは不本意ながら、アインを自室に連れて行く。自室は他の団員の部屋よりも広く、二人が十分に入れるスペースがあるし。
別に、アインに屈した訳ではない。ただ、問題ないことを考えて最良の決断をしただけだ。
そんなどうでもいい言い訳をメシアが内心叫んでいると、隣に座っているアインが尋ねた。
「質問。マスター、先ほど言っていた〈HEAVENS〉のことを教えてください」
「ん……? あ、ああ。〈HEAVENS〉は私を中心に構成された組織の名前だ。私たちは、神ロビザーン帝国の裏に潜む暗黒蓮華機関などの悪人と戦っているんだ」
「理解。マスターは、暗黒蓮華機関からの被害者を解放するために活動しているのですね」
「その通り。私と部下達によって、暗黒蓮華機関と戦っているというわけだ」
メシアはうなずいた。
「そして、この場所は神ロビザーン帝国の首都、二ザサレムだ。ズウァリ教信仰で、国王はバイア・神代・ロビザーン。帝国は列強と断絶された神が創ったといわれている国で、皇族が魔力で国を維持している。皇族は子だくさんで、妾の子もたくさんいるらしい……まあ、それは私達には関係ないな」
「了解。それにしても、神ロビザーン帝国とは他の場所とは異なる世界のようですね」
メシアは頷いた。
「まあ、流石にここでの生活は戦いばかりじゃない。 さっきも普通にワチャワチャと騒いでいたしな。それで、何か質問はあるか?」
「質問。〈HEAVENS〉にはどのくらいの人数が所属していますか?」
「結構な人数が集まってるな。魔術師、科学者、戦士、様々な才能を持つ者たちが集まっている。私は組織の中心だが、私以外にも優れているメンバーはかなり居る」
「理解。では、仲間たちについて教えてください。興味津々です」
「ふふっ、そうか。例えばキョウトは、私の"魔眼"を考慮しないで考えると、私と同じくらいの実力者だ。機械工学や魔術の分野で優れていて、身体の動作を精密に動かせる。他にもサクラは少女だが優秀な戦士で、ダイスケは頭の良い科学者だ。他にも様々な才能を持つ人がここにいる」
「感謝。……今は特に、他に気になることはありません。強いて言うなら、マスターのスリーサイズを──」
「それなら寝る準備をしようか。明日も戦いがあるかもしれないからな」
メシアはアインの言葉を遮る。
「えぇ…………了解。お休みなさい、マスター」
「……ああ、おやすみ。アイン」
そうして、二人は眠る。
彼女らの運命は、既に動き出していた。




