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カタストロフィ・メシア  作者: 汐海朔夜
ニ章『君は幸運の少女と笑う』
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十六話・フェリの説明

「…………詳しく聞こう」


 メシアは家の中にフェリを入れて、ユキに新しいイスを持って越させる。


 イスを要らないというフェリを強制的に座らせて、メシアとフェリは向き合った。


「……それで。一体、どういうことだ?」

「天時ノアは、とある計画を立てている」


 フェリは肩に背負っていた鞄から、何枚かの紙を取り出す。


「あなたがわたしを信用できないのは分かる。だから、行動で示すことにした。うちの情報局から、暗黒蓮華機関の幹部である"神秘の到達者"についての資料を全てパクってきた」

「パクっ……!?」

「その時に、知った。これを見て」


 その中から、フェリは一枚の資料を抜いてメシアに見せる。


 "神秘の到達者《怠惰(スロウス)》天時ノアについて"という言葉と、蒼髪の小学生程度の少年の写真があった。


 メシアがそれを受け取り読み進めると……その計画というものがあった。


「……"PROJECT・WORLD BREAKER"……?」


 そんな、バカげた夢のような文字があった。


 天時ノアという人物は、世界中のエネルギーネットワークである龍脈を暴走させることによって、この星そのものを壊そうとしているらしい。


 星そのものの力は、壮大だ。もし本当にそんなことが起きれば、星のエネルギーのバランスも崩れて極超新星爆発(ハイパーノヴァ)なんてものも起こるだろう。


 人類の滅亡は、免れない。


「馬鹿なっ! あいつらは確かに外道だが、自分の為だけに行動する連中だぞ!? こんなことをしたら、天時ノア自身だって死は免れ──」

「ノアだけは、それを回避できるの」


 ここを見て、とフェリが指差したところにはノアの使用魔術があった。


「空間魔術……?」

「そう。ここで重要なのは、ノアは自分だけの空間を新しく作れるということ」

「……極超新星爆発(ハイパーノヴァ)が起こるとき、自分で作り出した空間に逃げ込むということかッ!」

「そう」

「だが、何が目的でこんなことを……」

「"綺麗なモノが見たいのさ"、だって」


 その答えに、メシアは呆然とするしか無かった。


「"一番の特等席で、自分が生まれた星が綺麗に死んでいく様を見る……それは、どれほど楽しいんだろうね"……それが、情報局にあった彼の言葉」

「イカれてる……ッ!」


 今までの奴らは、人を犠牲にして自分の想いを突き通していた。


 だが、今回はそれのスケールそのものが違う。


 何百人もの犠牲が……というレベルではない。


 この星全ての生命の危機だ。


「……分かった、協力しよう。すぐにでも、天時ノアを止める必要がある。それで……天時ノアの居場所は分かるか?」

「……ごめん、それは分からない。だけど、仕掛けてくるときは分かる」

「仕掛けてくる時……?」

「うん。……《日輪神殿》は知ってる?」

「《日輪神殿》……? まさか、国民が生活で使用している魔力の製造場、建物そのものが古代魔具(アーティファクト)の聖域かッ!」

「そう……太陽と接続して魔力を作る"魔力生成"に加えて、祭壇儀式の魔術の使用も気軽に可能となる場所。けど、それは今はいい。あそこは、龍脈を掌握する権能もある。それによって連結されてるレイラインで別の場所に転移することもできるけど……ノアが狙っているのは、それじゃない」

「天時ノアは、そこから間接的に龍脈を暴走させるということか……まあ、龍脈に干渉するなんて普通じゃ無理だからな。だが、"聖域守護"があるぞ? それに、あそこは神ロビザーン帝国中に魔力を送っている送魔所……警備も万全し、侵入できるわけ…………」


 そこで、メシアはハッと何かに気づいた……いや、思い出したような顔をして、次には死んだ魚のような目をしていた。


 ……神秘の到達者というのは、揃ってデタラメばかりだからだ。(お前もデタラメだろというツッコミは無視する)


「……侵入、できるんだろうな。だからこそ、やろうとしてるんだろうな……空間魔術を使えば、そんなの楽勝だろうし……?」


 そう、簡単なのだ。


 警備員など、空間ごと斬ってしまえば容易く殺せるし、自身の周りに無限の距離の空間を作りだせば、いかなる攻撃も通らない。


 というか、空間転移とか使えば普通に侵入できてしまう。


 それに、神秘の到達者ならば機関長である《傲慢(プライド)》の座に就任している者から古代魔具(アーティファクト)《怠惰の指輪》を授かっているはず。


 その権能は当然の如くチートだろう。


「はぁ……」


 メシアは頭が痛くなってきたと言わんばかりに頭を抱えた。


「つまり、天時ノアは計画の為に《日輪神殿》を利用するだろうから、そこでの決戦となるわけか」

「うん。これがわたしの考えたこと……どう?」

「大元はいいと思うぞ。後はここから、実現日までにどれほどの準備ができるかだ」


 メシアはソファーから立ち上がり、改めてフェリを見つめる。


「今更だが、私は姫壊メシア。こっちはアインで、あそこの右手でピースしている"っす"口調の趣味でメイドやってるのはユキ。……共にやろう、フェリ」

「……うん。よろしく、メシア」

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