怖がりなラムちゃん
パパは武器開発の段取りで長官と綿密な打ち合わせをする事になった。
地球の小道具を紹介して英雄扱いされた俺は、小鼻をヒクつかせながらラム家に戻り、My倉庫で横になっていた。
今回の一件で改めて平和の大切さを知った。
平穏無事な日常に突如襲い掛かった無差別暴行事件。緊急事態宣言が発動され、惑星全土がパニックに陥った。
外出すれば理不尽に襲われる。店という店が軒並みシャッターを閉め、食材確保もままならない。解決策も見つからず、家に籠って嵐が通り過ぎるのを待つだけの日々。疑心暗鬼になった連中が憶測の情報を流し、それを聞いてさらに恐怖を肥大化させる。惑星全体がバカげた精神状態になっていた。
幸いにも俺の持ってきた情報と武器により、対策は上手くいきそうである。チンカースバロ星人という名前が分かった。彼らが水に弱いことも判明した。これを元に生物学者と惑星調査団が総力を挙げて生態を調べている。
チージョ星の科学技術があれば、近いうち解決策が見るかるだろう。
一連の事件を通して俺は学んだ。
何時でも常に冷静でいる事。情報を鵜呑みにせず、己の判断を信じる事。英雄には欠かせない2つの信念を心に刻んで決して忘れてはならない。
「無事終わったし、明日にでも帰るか」
疲れた体を横たえ、安らかな眠りにつこうと思った時。
「三次。一緒に寝ていい」
「……は?」
ラムが枕を持ってやってきた。
「な、何事ぞ!?」
「一緒に寝てもいい? ダメ?」
「い、いや。ダメじゃないけどさぁ」
「もしも夜に襲ってきたら怖いじゃない」
「ま、まあそうだけどさぁ」
「何かあったら守ってくれるんでしょ」
「い、言ったけどさぁ」
動揺全開の俺など気にする事なく、ラムは有無を言わせず布団の中へ潜り込んできた。
「うはっ。三次臭い!」
「……」
いくら変態ドスケベでも彼女の隣にガッツリ寝る勇気はない。仮に何かしらの急展開があったとしても、雑誌で得た薄ぺらな知識しか持ち合わせていない俺は、「ベロンチェェー」と訳の分からない奇声を発して己のブツをチョップで連打するだろう。
それに先ほど心に誓ったばかりだ。2つの信念を忘れてはならぬと。
極力冷静さを保つため、下唇を噛みしめながら陰毛をむしり取っていた。
「ねぇ三次」
「はい」
「明日帰る?」
「今回の役目は終わったからな」
「そう、かぁ~」
「どうしたの?」
「今回、改めて三次は頼りになるなぁ~と思って」
「ま、まあな」
「ずっと居てくれたら嬉しいなぁ~と思って」
「そ……」
それはアレなのか? マンゴーとバナナのミックスジュースという夢の飲み物なのか?
「安心しな。メッセージがあれば直ぐに飛んでくるから」
「うん」
「俺らは10万光年で繋がってるんだろ?」
「うん」
「じゃあ大丈夫だ。いつでも会えるさ」
「うん」
「ゆっくり休みな」
「うん、おやすみ。断っておくけど変な事しないでね」
君は何を言ってるんだ。この状況で何を言ってるんだぁぁぁ。
その日、チンカースバロ星人と戦う夢を見た。
奴らは俺に向かってこう言った。
「突き突きしまくっちゃお」
【その後の展開へ】




