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宮本三次は今日も逝く  作者: 室町幸兵衛
第四部 素晴らしき親友ども
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こぼれ話 友則のその後

 自己紹介で挨拶代わりに友則の武勇伝を語ったと思う。

 警察の女子寮に潜入し現行犯逮捕された。というバカ丸出しの逸話だ。

 誰も興味がないと思うが、暇つぶしにその後の展開を報告する。



 警察女子寮とは知らずに下着を盗もうとした友則は、出てきた女性に簡単に転がされ、そのまま手錠を掛けられた。

 相手は女性警官である。柔剣道をたしなんでいる彼女からしたら、怪力ゴリラも敵ではないだろう。


「あなた。初めてじゃないわね」

「い、いえ。初です」

「手口がこなれているわ。常習犯ね」

「……」

「ちょっと署まで来なさい」


 転がった友則を引きずり起こし、すぐ近くにある警察署へ連行しようとした。

 傍らで見ていた俺は「バカの末期だな」と深いため息を付き、その場から立ち去ろうとした。


「ちょっと君!」


 呼び止められた。


「君はこの子の友達?」

「……いえ。違います」

「君も同罪ね」

「なっ……なぜ?」

「友達を止めるのが友達の役目でしょ」


 これっぽっちも納得いかない理由で俺まで連行された。



 殺風景な署内を歩かされ、少年課という場所へ放り込まれた。

 室内へ入ると、絶対に関わってはいけない人物が眉間にシワを寄せながら睨んでいた。


「何だこいつらは」

「下着ドロの常習犯です」

「はぁぁ? お前らまだ中学生だろ」

「私の下着を盗もうとして現逮です」


 女性警官がそう言うと、数名いる男性刑事の中でも特にヤバ系が近づいて来た。

 身長180センチ以上で体重は90キロくらい。プロレスラー並みのガタイだった。頭は角刈りで、眉毛の上に歴戦の勇者を思わせる向こう傷。相手を見透かすような鋭い眼光で睨んでいた。

 女性警官でもヤバイのに、男性刑事はもはや鬼神である。

 鬼神は俺と友則を交互に睨みつけ、


「主犯はお前か!」


 いきなり俺の頭をブッ叩いた。


「ち、違いますよ」

「お前が指示したんだろ」

「本当に違います。逆に止めた方です」

「怪しいな」

「……なぜ……ですか?」

「お前は犯罪を仕切る顔をしている」

「はい?」

「長年この世界にいるから俺には分かるんだ」

「で?」

「刑事の勘ってやつだ」

「……」


 ムカっ腹が立った。「ふざけんじゃねぇ!」と叫びたかったが、ここでモメ事を起こしても損するだけだ。刑事の戯言など無視して黙っていると、女性警官までが「ああ、なるほどね」と頷いた。

 そして友則に再度質問した。


「あなた。彼の指示で下着を盗んだの?」

「……」

「正直に答えれば許してあげるから」

「……はい。彼の指示です」

「やっぱり」


 女性警官は自白を勝ち取った表情で俺を睨んだ。


 て、てめぇーら。いい加減にしとけよ。仮に俺が指示を出したとして、実行する方が圧倒的に悪いだろう。そんなに俺を犯罪者に仕立てたいのなら証拠を持って来い。俺には確固たる証拠がある。それは犯罪レーダーだ。

 このレーダーは、Fカップ以上じゃないと反応しないんじゃぁぁ!



 その後、洗いざらい白状した友則だったが……。

 この言い訳が凄かった。


 町でお姉さんの仕事ぶりを見て心を奪われてしまった。その日以来、頭が悶々として勉強も手につかなかった。「もう一度会いたい」「一目でいいからその美しい姿を目に焼き付けたい」その想いが止まらず、つい出来心で……。


 話を聞いた女性警官は、ほんのり頬を染めた。

 己の罪を軽くしようとウソ八百を並べ立てる方が犯罪者に近いと思うが、その辺りはどうお考えで?


「いくらそう思っても犯罪は犯罪。絶対にしちゃダメよ」

「はい。分かりました」

「今回は初犯だから保留にしてあげるわ」

「お姉さんとお話が出来て嬉しかったです」

「んもう!」


 照れ笑いながら友則の頭をコツンとした。そして俺に向けて厳しい視線を送った。


「あなたもノリで指示とかしちゃダメよ」

「は?」

「主犯は罪が最も重いんだから」


 その言葉にイラっときた。さっき奴の告白を聞いていただろう。主犯は友則で実行犯も友則。俺は傍観していただけだ。もし捕まったら冤罪なのだ。


「主犯は重罪。覚えておきなさい」

「いや。俺、Bカップ以下に興味ありませんから」


 直後にフルでビンタを喰らった。


 警察署を出た後も怒りは収まらず、奴の部屋で「玉袋洗濯バサミの刑」を執行してヒーヒー言わせてやった。





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