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宮本三次は今日も逝く  作者: 室町幸兵衛
第四部 素晴らしき親友ども
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自己紹介

 俺の名前は宮本三次。現在中学2年生である。

 これと言って紹介する特徴などないごく普通の中学生だ。唯一のアピールポイントはこの名前だろう。

 俺は夜中の3時に生まれたらしい。親父が名前を考えるのが面倒だったらしく、「3時に生まれたから三次でいいや!」と適当に命名されてしまった。

 これが夜の8時だったら「二十次」になっていたのだろうか。

 宮本二十次……もはや名前として成立していない気がする。親ガチャにハズレた感が強めである。



 そんな俺には親友と呼べる2人の友がいる。

 友則と克己である。


 まず1人目。山田友則。

 幼稚園時代からの悪友で、小学校卒業まで一緒のクラスだった。中1の時は別々だったが、中2で再び同じクラスに所属した。

 彼を超端的に紹介すると。


『全生物の中の底辺に君臨する男』


 動植物を含めた全ての生命体のトップで、これから先も彼を超える強者が現れる事はない。

 軽い挨拶代わりに奴のクレイジー列伝を紹介しよう。


 あれは夏休みの前の事だった。

 明日から夏休みとあって、俺も友則もテンションが上がっていた。「これから何をしようか」「明日はビーチへ繰り出すか」などと話し合いながら歩いている時、たまたま女子寮の前を通りかかった。

 男子の憧れである女子寮とは如何なる花園か。その中で行われている秘密のプレイは本当に存在するのか。そんな妄想を奏でながら通り過ぎようとした時だった。

 寮の窓が開き、そこから下着姿のお姉さんが出て来た。

 年の頃なら35~37歳くらい……。友則のドストライクである。


「おい友則。あれ!」

「グハッ。べ、ベージュの恋人!?」


 お姉さんは周りの視線など気にせず、鼻歌を奏でながらベランダで洗濯物を干していた。


「こんな時間に大胆だな」

「あれは痴女で間違いねぇな」

「何でだよ。ベージュだろ。地味系じゃねぇか」

「地味に隠されたエロなのだよ。三次君」

「は?」

「おい、奴のサイズは?」

「78、77、95だな」

「……俺、ちょっと行って来る」


 そう言うと、ダッシュで女子寮へ走って行った。


「おい、ちょっと待て。あそこって……」


 俺の忠告も聞かず飛び出した友則は、高い塀をいとも簡単によじ登り、余裕でベランダ侵入を成功させた。瞬時に侵入経路を割り出す辺り……常習犯だな。

 ギンギンの何かを押さえ付け、物干しにぶら下がっている洗濯ものへ手を伸ばした瞬間、再びベランダに出てきたお姉さんと鉢合わせをしてしまった。

 見知らぬ少年の姿にギョッとしたお姉さんだったが、瞬時に現状を把握したのだろう。友則の手をグッと掴んで逆返しに捻ると「ハッ!」という気合と共に、そのまま1回転させてベランダの床へ叩きつけた。

 そして素早く馬乗りになり、両腕を後ろ手に回してこう言った。


「はい。現逮」

「え?」

「窃盗罪と住居侵入罪ね」

「……」

「あなた中学生?」

「は、はい」

「警察寮に侵入するなんて将来有望ね」

「なっ……」


 友則は手錠をかけられた……。


 これだけでも凄さが伝わるだろう。

 奴の武勇伝を語ったら国語辞書並みの厚さが完成するので、その話はまた今度という事で。


 脳みそが無い分、体力に極振りしている。超合金並みの体を持つことから、みんなに脳筋ゴリラと恐れられている。

 そんなトップオブ底辺の友則だが、実は奴の父親は大学の教授だった。

 兄と弟の3人兄弟で、兄は有名私立高校に通い成績抜群の優等生だった。顔も超イケメンである。弟は3つ下で俺の妹と同学年。頭もよくスポーツも万能でモテモテらしい。

 そして次男の友則……DNAとかそういう問題じゃない。動物として違い過ぎる。俺と克己は「母ちゃんが怪しい」と睨んでいる。



 次にもう1人の親友を紹介しよう。

 名前は今野克己。小4から小6まで同クラス。これまた中1の時に別クラスになり、中2で再び巡り合った。

 久しぶりの再会時に放った一言が「処女膜再生手術だな」だった。

 い、意味が分からん。


 奴を説明するのは簡単である。


『超ド級の変態マニアック』


 それ以外に表現のしようがない。


 脳全体の約7割を美少女で占めている。しかも二次元系で妹系。簡単に言うとロリーである。

 俺が家で女体研究をしていると、ベランダの窓が乱暴に開けられ、克己が土足で乱入してきた。


「おい。土足で上がんな。脱げ」

「そんな事より、まだそんなモン読んでるのか!」

「別にいいだろうがよ」

「20代なんて年増の領域だろうが」

「何言ってんだ。今が一番ノッてる年頃じゃねぇか」

「……もういい加減に大人になれよ」

「お前に言われたくねぇんだよ」

「それよりもこれを読め。新作だ!」


 そう言って自作の本を手渡してきた。

 これまで何度も読まされてきたが、どこがいいのか未だに理解不能である。

 純真無垢な少女が兄に恋をするとか。実は妹がちょっとエッチだったとか。最近のネタで、両親に捨てられた女の子を必死で守り、立派な女性へ育て上げる。というヤツがあった。それはそれでネタとしては面白いと思う。

 ただ要所要所に「調教」という言葉が使われていた時点でゲロを吐く。


「お前、いつか捕まるぞ」

「言論の自由だろうが」

「この内容で調教って……」

「ロマンあるだろ?」

「ねぇよ!」


 なぜ克己がこのような状態になったかというと。

 それは姉の存在である。克己には3つ上の姉がいる。

 俺は妹しかいないのでよく分からないが、姉と弟という関係性はお嬢様と召し使い。女王様と奴隷に近いという。

 奴の家へ行くたびにパシリに使われているのを目撃している。


「ジュース買ってきて」

「イヤだよ。自分で行けよ」

「あんた、逆らうつもり?」


 姉の蹴りが飛んでくる。蹴り一発で言う事を聞く奴を見て「上手く調教したな」と思う。

 現実世界に愛を見出せなくなった克己は、空想世界で生きるようになった。


 2人共に社会の歪に翻弄された悲しき奴らなので、俺は愛情を込めて見守っている。



 そして忘れちゃいけないのは、ラムの存在である。


 本名はラムチンチ・コレロレロ。惑星チージョから来た宇宙人である。

 夏休みの研究課題として地球にやって来た。偶然仲良くなり、それ以来恋人風な関係性にある。

 黒髪ポニーテールの同い年である。性格は頭にクソが付くほど真面目。曲がった事が大嫌いで、何事に対しても一生懸命だ。頭脳明晰、容姿端麗と非の打ちどころがない。唯一の弱点は運動神経が底辺なのと、胸が想像以上に切ない。何度か生で見たことがあるが、行方不明の高低差。そんな感じだった。

 本人曰く、「これからだから!」と自信ありげだったが、涙を堪えて「そうだね」と相槌を打った気がする。



 ラムと知り合った事で俺の世界が劇的に変化した。地球という小さな星を抜け出し、10万光年先のチージョ星までがテリトリーになった。

 地球で英気を養い、チージョ星で活躍する俺は宮本三次。又の名を宇宙戦士サンジーという。


 長くなったので、最後に座右の銘で締めくくる。


『牛乳飲んだら腹下す』


 以上だ。






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