自己紹介
俺の名前は宮本三次。現在中学2年生である。
これと言って紹介する特徴などないごく普通の中学生だ。唯一のアピールポイントはこの名前だろう。
俺は夜中の3時に生まれたらしい。親父が名前を考えるのが面倒だったらしく、「3時に生まれたから三次でいいや!」と適当に命名されてしまった。
これが夜の8時だったら「二十次」になっていたのだろうか。
宮本二十次……もはや名前として成立していない気がする。親ガチャにハズレた感が強めである。
そんな俺には親友と呼べる2人の友がいる。
友則と克己である。
まず1人目。山田友則。
幼稚園時代からの悪友で、小学校卒業まで一緒のクラスだった。中1の時は別々だったが、中2で再び同じクラスに所属した。
彼を超端的に紹介すると。
『全生物の中の底辺に君臨する男』
動植物を含めた全ての生命体のトップで、これから先も彼を超える強者が現れる事はない。
軽い挨拶代わりに奴のクレイジー列伝を紹介しよう。
あれは夏休みの前の事だった。
明日から夏休みとあって、俺も友則もテンションが上がっていた。「これから何をしようか」「明日はビーチへ繰り出すか」などと話し合いながら歩いている時、たまたま女子寮の前を通りかかった。
男子の憧れである女子寮とは如何なる花園か。その中で行われている秘密のプレイは本当に存在するのか。そんな妄想を奏でながら通り過ぎようとした時だった。
寮の窓が開き、そこから下着姿のお姉さんが出て来た。
年の頃なら35~37歳くらい……。友則のドストライクである。
「おい友則。あれ!」
「グハッ。べ、ベージュの恋人!?」
お姉さんは周りの視線など気にせず、鼻歌を奏でながらベランダで洗濯物を干していた。
「こんな時間に大胆だな」
「あれは痴女で間違いねぇな」
「何でだよ。ベージュだろ。地味系じゃねぇか」
「地味に隠されたエロなのだよ。三次君」
「は?」
「おい、奴のサイズは?」
「78、77、95だな」
「……俺、ちょっと行って来る」
そう言うと、ダッシュで女子寮へ走って行った。
「おい、ちょっと待て。あそこって……」
俺の忠告も聞かず飛び出した友則は、高い塀をいとも簡単によじ登り、余裕でベランダ侵入を成功させた。瞬時に侵入経路を割り出す辺り……常習犯だな。
ギンギンの何かを押さえ付け、物干しにぶら下がっている洗濯ものへ手を伸ばした瞬間、再びベランダに出てきたお姉さんと鉢合わせをしてしまった。
見知らぬ少年の姿にギョッとしたお姉さんだったが、瞬時に現状を把握したのだろう。友則の手をグッと掴んで逆返しに捻ると「ハッ!」という気合と共に、そのまま1回転させてベランダの床へ叩きつけた。
そして素早く馬乗りになり、両腕を後ろ手に回してこう言った。
「はい。現逮」
「え?」
「窃盗罪と住居侵入罪ね」
「……」
「あなた中学生?」
「は、はい」
「警察寮に侵入するなんて将来有望ね」
「なっ……」
友則は手錠をかけられた……。
これだけでも凄さが伝わるだろう。
奴の武勇伝を語ったら国語辞書並みの厚さが完成するので、その話はまた今度という事で。
脳みそが無い分、体力に極振りしている。超合金並みの体を持つことから、みんなに脳筋ゴリラと恐れられている。
そんなトップオブ底辺の友則だが、実は奴の父親は大学の教授だった。
兄と弟の3人兄弟で、兄は有名私立高校に通い成績抜群の優等生だった。顔も超イケメンである。弟は3つ下で俺の妹と同学年。頭もよくスポーツも万能でモテモテらしい。
そして次男の友則……DNAとかそういう問題じゃない。動物として違い過ぎる。俺と克己は「母ちゃんが怪しい」と睨んでいる。
次にもう1人の親友を紹介しよう。
名前は今野克己。小4から小6まで同クラス。これまた中1の時に別クラスになり、中2で再び巡り合った。
久しぶりの再会時に放った一言が「処女膜再生手術だな」だった。
い、意味が分からん。
奴を説明するのは簡単である。
『超ド級の変態マニアック』
それ以外に表現のしようがない。
脳全体の約7割を美少女で占めている。しかも二次元系で妹系。簡単に言うとロリーである。
俺が家で女体研究をしていると、ベランダの窓が乱暴に開けられ、克己が土足で乱入してきた。
「おい。土足で上がんな。脱げ」
「そんな事より、まだそんなモン読んでるのか!」
「別にいいだろうがよ」
「20代なんて年増の領域だろうが」
「何言ってんだ。今が一番ノッてる年頃じゃねぇか」
「……もういい加減に大人になれよ」
「お前に言われたくねぇんだよ」
「それよりもこれを読め。新作だ!」
そう言って自作の本を手渡してきた。
これまで何度も読まされてきたが、どこがいいのか未だに理解不能である。
純真無垢な少女が兄に恋をするとか。実は妹がちょっとエッチだったとか。最近のネタで、両親に捨てられた女の子を必死で守り、立派な女性へ育て上げる。というヤツがあった。それはそれでネタとしては面白いと思う。
ただ要所要所に「調教」という言葉が使われていた時点でゲロを吐く。
「お前、いつか捕まるぞ」
「言論の自由だろうが」
「この内容で調教って……」
「ロマンあるだろ?」
「ねぇよ!」
なぜ克己がこのような状態になったかというと。
それは姉の存在である。克己には3つ上の姉がいる。
俺は妹しかいないのでよく分からないが、姉と弟という関係性はお嬢様と召し使い。女王様と奴隷に近いという。
奴の家へ行くたびにパシリに使われているのを目撃している。
「ジュース買ってきて」
「イヤだよ。自分で行けよ」
「あんた、逆らうつもり?」
姉の蹴りが飛んでくる。蹴り一発で言う事を聞く奴を見て「上手く調教したな」と思う。
現実世界に愛を見出せなくなった克己は、空想世界で生きるようになった。
2人共に社会の歪に翻弄された悲しき奴らなので、俺は愛情を込めて見守っている。
そして忘れちゃいけないのは、ラムの存在である。
本名はラムチンチ・コレロレロ。惑星チージョから来た宇宙人である。
夏休みの研究課題として地球にやって来た。偶然仲良くなり、それ以来恋人風な関係性にある。
黒髪ポニーテールの同い年である。性格は頭にクソが付くほど真面目。曲がった事が大嫌いで、何事に対しても一生懸命だ。頭脳明晰、容姿端麗と非の打ちどころがない。唯一の弱点は運動神経が底辺なのと、胸が想像以上に切ない。何度か生で見たことがあるが、行方不明の高低差。そんな感じだった。
本人曰く、「これからだから!」と自信ありげだったが、涙を堪えて「そうだね」と相槌を打った気がする。
ラムと知り合った事で俺の世界が劇的に変化した。地球という小さな星を抜け出し、10万光年先のチージョ星までがテリトリーになった。
地球で英気を養い、チージョ星で活躍する俺は宮本三次。又の名を宇宙戦士サンジーという。
長くなったので、最後に座右の銘で締めくくる。
『牛乳飲んだら腹下す』
以上だ。




