ただの人間とただの人間に擬態する化物の見分け方

　とあるどこにでもある市では、ある事件が話題を呼んでいた。それは、関連性の一切ない死体が、何体も同市内で立て続けに見つかっているというものだ。しかも、奇妙なことに外傷は一切存在していないという奇妙なものだった。そんな事件の最中にある市に、上沢慶斗(かみさわけいと)は進学のため引っ越してきた。
　初めての一人暮らしを満喫しようと意気込む慶斗だったが、ある日彼はある現場を目撃してしまう。それは、刃物らしきものを所持した少女の足元に、人が倒れているというものだった。
　少女の名は、一上壱菜(いちかみいちな)と言い、自分のことを外傷の無い死体を作った犯人だと言う。
　やがて少年に依存する妹、上沢慶花(かみさわけいか)も現れ、事態は混迷を極めることになる。少年に依存する二人の少女は、争い合うことになる。
　これは、ただの人間であった少年と、人間に擬態する化物である少女たちが答えと幸せを手に入れるまでの、春休みの出来事である。

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