第29話 決戦開始。そして…訪れる運命の瞬間
遅れてすいませんでした。(丁重な土下座)
まず先攻は東牧高校だ。三回戦とは違う曲を使ってきたな。まあ多分人手も時間も足りない俺たちと比べたら人手にも時間にも余裕があるだろうからな。
「曲の完成度も高いし、歌もダンスも上手いしでなかなか非の打ち所が無いですよね」
「そうなんだよね…唯ちゃんはこの勝負、どう見る?」
「主観的な意見になってしまうのであんまり参考にしないで欲しいですけど、全体的な動きと歌唱力では私たちの方が上だと思いますね。でもダンスだったり細かい部分だったりはあっちの方が上回っている様に思えますね」
おー…しっかり見ているな。これは将来このチームの頭脳になれる気がする。
「結局、メンバーは一緒だったね」
「そうだな」
「ボクたち的には相手の戦力の予想が外れなくて良かったんじゃないかい?」
「でも、東牧高校が全試合の中で一回も入れ替え無しって珍しい気がするな」
「ああ…東牧高校もメンバーが育ち切らなかったのかも知れないな」
まあ、俺たちは二年生一人に一年生四人と言う部員不足丸出しのチーム編成だがな。
東牧高校は全員三年生だし、経験で言えば圧倒的にあっちの方が有利だろう。だが、俺たちは重要なある要素を身につけている。
「流れだったり会場の雰囲気だったりは私たちにあるはずだから…会場を上手く味方につけなきゃね」
「そうだな」
あと五分って所か。決勝戦進出は大谷高校初だからな。それだけでも大きな功績だ。
「はぁ…この大会が始まった時はまあベスト8くらいに入れたらラッキーだなーってくらいに思ってたけど、ここまで来たらやっぱり全国大会に出たいね」
「そうですねっ…きっと日本中のトップレベルってとっても高いんでしょうねっ…」
「私はその世界に入ってみたいな」
「私もですよっ!」
それを目指すんだったら、あくまでここは通過点に過ぎないが、落とせば目標の意味は無くなってしまう。ただ、俺たちならこの目標は達成出来る。
「うーん…弱気になっちゃダメだね」
「ん?先輩どうしたんだ急に」
「いやぁ…自分の気持ちを奮い立たせておかなきゃ、出来ることも出来ないなって思ったからさ」
「そう言う事だったか」
「あっ!もうすぐ終わりそうだよ」
いよいよ出番か…長い様で短い待ち時間だったな。
…
うーん…流石東牧高校と言った感じだ。
「相手は強いね…でも、私はみんなの事を信じてるからね!頑張るぞーっ!」
「「「「おーっ!」」」」
恋心Fighter
ねえ頭の中で何考えてる?(最上パート)
あなたの心は読めやしないな
絶対なんて何処にもなくてさ
常識なんて破っちゃってさ
大変ね私pointer(結城パート)
絶対絶命来世だってattacker
そんな私もいつかはFighter
いつの間にかすれ違うあなたの
恋心撃ち抜いて
あなたに零式サーモグラフィー(結城、最上、今川パート)
歌うは私の恋心(恋心)
あなたの体温測ってあげる
それぞれ知りすぎてく事
一切合切手加減なしよ
あなたの心一緒にholding(holding)
どれだけ惚れ薬作った所で
こんなの毒にも薬にも
ねえ僕のことどう思ってる?(松平パート)
中々思いが伝えられないや
確実なんて保証はなくてさ
整合性なんてもの叩き割ってやる
あいつの本命それが前提(大友パート)
一体全体前世だってbrocker
そんな僕だっていつかはFighter
どうしたって出来ないあいつの
心臓ハートつき抜いて
確定とか実際とかそんなのには興味なくてさ(今川パート)
あるのは理想と創造
私があなたの心分からないからダメ?
僕があいつの心知らないからダメ?
そんな勝手な構造なんてクソ喰らえだ
あいつに連射マシンピストル(松平、大友、今川パート)
伝える僕の恋心(恋心)
何時でも破れるこんな障壁
一切合切手なんて抜くかよ
相対絶対掴んで見せる
あいつの心がっちりcatch it(catch it)
この世界どこまで行っても
酸いも甘いも知るだけで
十人十色それでもall right(all right)(全員パート)
重なる二人の恋心(恋心)
今宵も交差はいつも通りで
他人の人生楽しんでいこう
一度掴んだ思いは離さない
勝ち鬨なんて知らないdon't know(don't know)(()外は結城、松平、今川パート、()内は最上、大友パート)
轟き切るまで拍手喝采(全員パート)
諸行無常の響きあり
…前と同じ曲だが、より高い完成度で出来ていた気がする。全員がこの一日だけでもかなり成長していたと思う。
…
「ただいまより、得点を発表します」
さあ、何点が出るかな…楽しみだ。もう悔いはない。
「まずは先攻の東牧高校です」
まあ、あの完成度だったら45点が出ても納得出来る。
「得点は…43点です」
あれ…?うーん…意外と伸びなかったな。
「続いて、後攻の大谷高校です」
頼む…俺たちはこの一瞬に賭けてきた。
「得点は…45点です。よって、優勝は大谷高校です」
お…?おお…?おおお!
「「やったーっ!」」
「やった!やったよみんな!」
「これはまさに世紀の大金星ですよ」
「ボクたちの力を証明出来たね!」