第10話 ツイてるけどツイてない?
5/1 AM6:00 波多野家にて
「…ん?」
何だか猛烈な違和感を感じる。
「…あれ?」
下半身に息子の感触が…?それに、この部屋は…
「も、もしかして…」
とりあえずスマホで自分の身体を確認しよう。
「え…」
おいおいおい…ちょっと待てよ…
「うん…間違いない…って、ええーっ!?」
も、元に戻ってる!しかし何時の間に…?やっぱりフラグ立てすぎたせいか?
俺はこの部屋をもう一度見渡す。やっぱり、綺麗になっているが俺の部屋だ。
「い、今川さんにL〇NEを…ってあっちから来たぞ?」
「私元に戻ってるんだけど、波多野君も元に戻ってるかな?」
…何か妙に落ち着いて無いか?
「俺も元に戻ってるが…どういう事だ?」
「良く分からないけど戻ってるからいいんじゃない?」
「そうだな」
「じゃあとりあえず組み合わせ抽選会はそのままって事で良いかな?」
「了解」
AM09:00 大谷駅 東口にて
ここに来るのも女子三人で遊びに来た時以来だな。しかし、やっぱり元の身体っていいものだ。
「みんな居るかな?」
「「「「はーい」」」」
何か若干今川さんの喋り方に違和感が…俺の喋り方に慣れちゃったか?
「じゃあ早速行くぞ」
ヤバい…俺の喋り方にも違和感が…
AM10:00 新川市体育館にて
「ここが抽選会場なのか?」
「そうだ」
「とりあえず中に入ろうか」
「そうだな」
30分後…
いよいよ抽選会が始まる。まずは前年度優勝チームの新川南高校からだ。
………
「第21試合!」
おお…第21試合か。あれ?そう言えば…
「あ!メモは…」
「私がしてるよ」
「今川さんありがとうな」
次は…前年度準優勝の東牧高校か。
………
「第13試合!」
第13試合だから…新川南とは決勝まで当たらないって事だな。
次は…前年度ベスト4の月島東高校か。
………
「第47試合!」
げっ…シードかよ。まあベスト4の一校がシードなのは確定なのだが。
次は…同じく前年度ベスト4の緑川聖高校か。
………
「第3試合!」
おお…かなり前に入ったな。
うちは前年度二回戦負けだから抽選はまだまだ先だ。それまで暇だな…
30分後…
やっとうちの出番だ。今川さんが前に出るのか。
「おお…」
今川さんが前に出ただけで会場ザワついてるし…凄いな今川さん。
運命の瞬間である。
………
「第24試合!」
うーん…ちょっと新川南高校に近いな。当たるのは三回戦か?
一回戦の相手は…肝付高校か。何とかなる。二回戦は多分海ノ手高校だろうが、ここにも勝てるだろう。
やっぱり問題は三回戦だな…何の種目で戦うかにもよるけど。
アイドルコンテストではそれぞれ一回戦や二回戦事に戦う種目が決められている。
ただ、戦う種目は当日発表されるので、どんな種目が来ても対応出来るようにしていないとならないぞ。
アイドルとしての総合力を測る大会という訳だな。
5/2 AM10:00 アイドル同好会 部室にて
身体が元に戻って二日目である。また入れ替わるとか無いよな?
「今日はまず組み合わせの確認と行こうかな」
「「「「はーい」」」」
「まず、一回戦は肝付高校だな。最近は目立った成績を残してないな」
「二回戦は…」
「二回戦は恐らく海ノ手高校だな。去年四回戦まで進んでいるが実力的にはこっちの方が上だ」
「えーっと…それで、三回戦がいよいよ新川南高校だね。去年の優勝チームだし、ここに勝てたら一気に優勝の道が見えてくるね」
「うちも実力的には新川南高校に引けを取らないと思うが…どうだろうな」
「とりあえずここまでだね。重要なのは三回戦かな」
「じゃあそこ目指して頑張るぞ」
「「「「おー!」」」」
5/3 AM10:00 アイドル同好会 部室にて
時の流れは早いもので、もうゴールデンウィークも折り返し地点を過ぎた。
「じゃあ今日は歌の練習から入ろうか」
「「「「はーい」」」」
10分後…
「一回みんなで一番通してみようか」
さらに10分後…
「うん!かなり良いんじゃないかな」
「中々の出来栄えだと思うぞ」
そう言えば、何で今川さんはあんなに歌ったり踊ったりできるんだ?練習してないと思うのだが…
あ…俺も今川さんの身体で練習してたはずなのに全然出来なかったな。もしかしてそう言うのは心(?)じゃなくて身体が覚えてるのか?
「波多野君?どうしたの?」
「ん?ああ、いやいや…何だ?」
「一回新川南高校のビデオを見せて欲しいんだけど…」
「了解」
「いいな…私もパソコン買おうかな」
「急にどうしたのだ先輩」
「いやぁ…波多野君がパソコン使ってるの見るとなんか欲しくなっちゃってね…細川さんにでも聞こうかな」
「よし…これだな」
「波多野君ありがとう」
10分後…
「次はさっき撮ったビデオを見せて貰ってもいいかな?…まあ聞くのは音だけだけど」
「分かった」
さらに10分後…
「やっぱり歌に関してはうちの方が良いんじゃないかな」
「俺もそう思うな」
「あとやるべきは二番の歌詞を覚える事と、ダンスのレベルアップと…あとファンの対応の練習くらいかな?」
「あと演技の練習とかな」
「そうだね…やるべき事は多いけど、一つ一つクリアして行こう!」
「「「「おー!」」」」