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4049/1の可能性  作者: わっくん
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『0%じゃなければ可能性はある』

 朝5時40分目覚まし時計の音で目が覚めた。

いつもと変わりない日常にため息を吐きながら目覚まし時計を止めた。毎日同じ時間になる目覚まし時計の音は変わりない日常がまた始まる合図として自分の中でなっている、準備をしようと立ち上がろうとしたときに『今日も変わりない一日を過ごして終わるんだ』とつい声に出てしまい苦笑しながら身支度を始めた。


 身支度と朝食を済まし、仕事に向かう為家を出た。

車を走らせ職場に着くまでの間考えることは何もない、入社した時は想っていた『結果を出すんだ』・『この会社で上がっていくんだ』という気持ちは今の自分にはなくなってしまったのかもしれない。

一日一日を何の希望も持たず行動もせず、時間の流れに身を任せているだけの自分に多少の苛立ちを覚えながら仕事を始めた。


 仕事終了のチャイムがなり一日が終わった、与えられた作業を淡々とこなし何の変化もない。

帰路につき沈みつつある夕日を眺めながらため息をついた、『ホントにこのままでいいのだろうか』と自分に言い聞かせるように呟いた。

しかし、行動する勇気も出ず、自分の理想の世界を頭に浮かべ無い物ねだりをしながら眠りについた。


 ある週の休日、今までの日常に変化が生まれるような出来事が起きた。

テレビを特に見たい物が無い中チャンネルを回していると歌番組に辿り着いた、そこで目に入ってきたのは今や国民的アイドルになった一つのアイドルグループだった。

彼女達は先の未来が明るいとも分からないなか自分の夢と一つの可能性を信じて努力し、今の国民的アイドルという地位まで上り詰めてきたのだろう。

アイドルに興味を持った事はなかったが華やかなステージの上で笑顔で歌い踊る姿を見て、いかに今の自分がただ現実から逃げていて口だけで終わっているという事を気付かされた。

『0%じゃない限り少しでも自分の可能性にかけてみようじゃないか』と決心した、明るい未来を信じて。


 決心してから数日、自分の中で新たな悩みが生まれた。

それは何をやればいいのかどのように行動していけばいいのか、今に至るまでただ一日一日を過ごしてきたツケが回ってきたのだ。

運動神経やリーダーシップなど特に秀でた部分がないのは分かっていたがここまで無力なのかと落胆した。

そこで今の自分に何か可能性はないかと探す為に、書店に向かった。

店内を回っていると一冊の本が目に飛び込んできた、『高木 沙裕実』という方が書いた小説だった。

作者の事を知らない私は興味を持ち調べる事にした、なんと数日前に歌番組で見たアイドルグループのメンバーだったのだ。

一般人と比べたら仕事量・プライベートなど比べても見当が付かないほど多忙のはずだ。

自分の中で『俺はいかに時間を無駄にしていたんだ』と実感し、挫折しそうになっていたものを奮い立たせることが出来た。

それと同時に今まで何をすればいいかわからなかった自分に道が引いた、『人の目にとまり影響を与えるような物を作りたい』と思い小説を書くことを決めた。

帰路の車の中では晴れやかな顔をした自分と助手席には一冊の小説が輝いて見えた。


 小説を書こうと決めたものの秀でた文才があるわけでもなく当然今まで書いたこともない、根っからの素人なのだ。

テーマを決めようにも方向性なく始めたものだから頭の中に薄っすらですらイメージなど湧いていない、今まで簡単に諦めてきた自分が問い掛けてきた。

『お前は変われない、今回も諦めれば楽だ』と現在の心境の確信をつくように心に刺さった。

もちろん諦めてしまえば気持ちが楽になるのはわかっている、しかしそれだと今までの生活と変わらず自分が成長できない。

だが、逆境に最後まで挑戦せずに諦めて生きてきた自分自身を覆すことは難しい、人は簡単に変われない事は痛いほどわかっている。

簡単に変われているなら今の自分はいないはず、変わる為に今回小説を書こうと決めたのだ。

その時、先日買った小説を思い出した、買ったもののまだ数ページしか読んでいなかった。

読み進めていくとアイドルグループの一員で活動をしている中で初めて書いた小説とは思えない程に内容が鮮明で筆者の想いが伝わってきた。

時間を忘れ無我夢中に読み進め、読み終った時には気がつけば日が暮れていた。

読み終えた時にわずかに頭の中に小説の内容のイメージが芽生えた、『今の自分に照れし合わせて成長していくその先にある理想の自分を描いてみよう』。

小説の作名は『4049/1』に決めた、この作名には自分を変えるきっかけになったあの作者に直接感謝を伝えたいと思うところから来ている。

芸能人・アイドルの方と巡り合い直接話せるほどの仲になる確率が作名の『4049/1』なのだ。

自分の夢を文章に乗せ、自分自身を変えるという長い旅が始まった。

一歩ずつ前に進んでいるのを実感できた。

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