やっぱり尾崎はモテるようで
一方その頃、B組では……。
「尾崎聡です。小学生の時からサッカーをやっていて、この高校でもサッカー部に入ろうと思ってます。よろしくお願いします。」
俺が言い終わるや否や、クラスの女子からは羨望の眼差しを浴びた。しかし、俺は気づいていた。明らかに男子からの視線は冷めていることに…。自己紹介が終わると、早速前の席の女子から声を掛けられた。
「私、小川薫って言うの。尾崎くんよろしくね。」
俺は、よろしくとただ一言そう言うと窓から見える外の風景に目を向けた。
その後も、話しかけてくる女子たちを適当にあしらっていった。中には、サッカー部のマネージャーをやろうとしてるやつもいたりしたが…。ハッキリ言えば、妹以外の女には全く興味が沸かない。どこの女もグイグイくる。ほんとにもっと慎ましやかな女はいないのか……。それこそ、妹のような。いや…でも流石にこの年でシスコンはまずいよなぁ。
俺がそんなことを考えていると、遠くの方でクラスの女子たちの会話が聞こえる。
「尾崎君ってクールな感じがいいよね。」
「そうそう、あのそっけない感じとかね。あと私が喋りかけたときの目がかっこよかったぁ。」
俺は、思わず身震いした。会話の内容的に恐らく、最初に話しかけてきた小川とかいうやつが俺が、クールだとか言いふらしているんだろうな。
俺が、溜息をついていると初めて、クラスの男子から声を掛けられた。
「お前、入学初日からモテモテでいいよなぁ。俺なんか声掛けても全く相手にされなかったのにさ。」
そう声をかけてきたのは、見た目はどう考えてもオタクの、三木肇だった。
「お前、見た目と違って結構ガツガツいくタイプなんだな。」
俺が、そう言うと三木は少し照れくさそうに、
「まぁ、高校デビューしようとした初日に派手に失敗しちまったよ。ハハハ。」
ある意味、憎めない三木に俺は好印象を持った。続けて、高校で何をするつもりなんだと尋ねると、三木は
「生徒会に入ろうと思ってるんだ。こう見えて、中学のときは生徒会長だったからさ。」
確かに、生徒会長であればあそこまで初対面の人間に話に行けるかとひとりでに俺は納得した。
キーンコーンカーンコーンと終業の鐘がなる。取り敢えず、征弥の様子でも見に行くか。俺は、三木と別れA組へ向かった。