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尾崎という男

慌てて家を出ると、中学からの同級生である尾崎が立っていた。

「早くしろよ。間に合わねえぞ。」

 そう言い放つと俺を置いて、スタスタと歩いていってしまった。


 その後、他愛のない会話の最中ふと尾崎を覗き込み、そして俺は大きく溜息をついた。どうかしたのかと言わんばかりの尾崎の表情を見て、何でもないと小さく呟いた。


 それもそのはず、この尾崎とかいう男は如何せん顔が整いすぎているのだ。テレビに映る若手俳優などと比べても遜色ないのではないだろうか。


 横を歩く俺と同じ年齢には到底見えない。男であっても思わず見惚れてしまうような顔立ちだ。そのくせ、嫌味が全くないところがそこらの自称イケメンとは違うところだろう。


 少々言葉尻が強いことはあっても、俺の知る限りでは人の悪口を言っているところを見たことがない。更にスポーツ万能、成績優秀と非の打ち所がないのである。全く天は二物も三物も与え過ぎなのではなかろうか。しかし、そんな彼にも欠点はある。その唯一の欠点といえば……。


「なぁ征弥、ほんとに俺の妹って可愛いよなぁ。」


そう、尾崎はシスコンなのである。しかも極度の。会話の内容の7割は妹の話だ。妹の千歌への愛情はもはや、恋人レベルであり、常軌を逸している。普通、妹の寝顔なんか撮らないだろ。後16にもなってベットで一緒に寝るのはやめろ。


 しかし、聞くところによれば千歌も兄への愛情は異常だとか…。コイツラは前世で夫婦か何かだったのか?


 そうこうしてるうちに、この春から通う県内屈指の進学校である私立絢爛高校の門が見えてきた。周りには同じ制服を着た生徒たちがたくさんいる。なんだかんだ入学式には間に合ったらしい。俺は心なしかワクワクしながら校門をくぐった。

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