ヤンデレ
――薄暗い部屋の中で、少女は立っていた。
「ふふ……あなたがいけないんですよ? 折角動けるだけの自由は与えたのに、私から逃げ出そうとするなんて。
だから、あなたを傷付けてしまった。もうそれじゃ、満足には動けないですよね?
……でも安心して下さいね。傷があっても、私はあなたを愛します。フフフ」
少女はそう言って、彼へ顔を近付けた。
「……あなたのたくましいその身体も、細く長い手足も、キラキラ光る眼も、全部……全部、ぜーんぶ、私が愛してあげますよ」
そう言って少女は、手を伸ばした。
「もう、何処にもいけないよう、ずっとそこにいて下さい。お世話は、私がしてあげます。――死ぬまでずっと」
「私の愛しの……蜻蛉さん」
蜻蛉の一種のヤンマ。蜻蛉にデレ。略してヤンデレ。
後悔はしていない。
思い付いた時、一人クスクス笑ってました。