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13:第一段階

 俺は第一拠点へと戻ると、それまでだんまりだったウトゥに向かい話しかける。


「なぁ、なんで最初から教えてくれなかったんだ?」


 疑問。俺の事を相棒と呼び、突如現れたウトゥは何故今の今まで正体を隠していたのだろうか。


「ええっ!? 別に隠していた訳じゃないわよ? 勝手にナイトゥが独り言はじめて、勝手に夢でも見ているのかという勘違いしたんじゃない?」


 訂正。確かに俺はウトゥの事を最初は幻影か何かだと思った、もうマジやべぇ俺状態だった。ああ、そうだったよ。


「言い方をかえよう、なんで俺を助けてくれたんだ?」


 疑問。正直ウトゥがいなければ俺はこの島に喰われていただろう、しかしウトゥが俺を守り、そして今に至っているのだ。


「んん? 別に助けた訳じゃないんだけどなぁ……私はナイトゥの魔力をもらって、偶然繋がれたから声をかけただけ」


 訂正。確かにウトゥには魔力を吸われ続け、絶命の危機を何度も味わった気がする。仲良くなってきて、そして今に至っているだけである。


「うん、考えるのは止めよう」

「ほらもぅ! ナイトゥは豆腐メンタルなんだからっ! 思考放棄が酷すぎよ?」

「いやほら? 俺は自分の弱さを知ってしまったわけで」


 そう、これまで上だけを見続けて己を騙し続けてきた結果、メンタルの弱さが完全に露呈してしまったのだ。上だけを見ていた頃は、弱い自分の存在なんて微塵も疑っていなかったので、メンタルがここまで弱かったなぞ気づきもしなかったのだ。


「まぁ、そんなナイトゥも可愛いわ。それでね」

「可愛いってなんだよ!?」

「本当、突っ込みのセンスはもっと鍛えなきゃだわね。でね? 私を自由に扱えるようになるのが一番の近道なわけよ」


 ウトゥを自由に扱う? なんだ、いかがわしい思考しか思い浮かばないぞウトゥよ。


「ほら、そんな目で見ないで」

「べっ、別に変な事なんて考えてねーし!」

「はいはい。それでね、私の扱いなんだけども」


 ウトゥは説明を始める。


「第一段階として、私に触れる事! 第二段階は、私の具現化! 第三段階は、私の魔力を自在に引き出す事! こんな感じかしら?」


 んん、三段階の試練というわけか。


「ウトゥ、お前に振れる事って出来るの?」

「んー、具現化してない私の体は触れてもすり抜けちゃうけど、ナイトゥが私の体へ指先だけでも接触する事が出来ればクリアで良いわ」

「ん、まぁウトゥを捉えるだけの簡単な第一段階というわけだ」

「そうね! 簡単よね! 二四時間、いつでも私を捕まえてごらんなさーい」

「あはははー! まてー!」

「あはははー、捕まえてごらんなさーい」


 冗談交じりにウトゥに近づこうと駆け寄るも、ウトゥは俺から離れられる最大の距離を維持したままふわりふわりと近づいただけ遠ざかっていく。


「ってウトゥがその調子で逃げてたら一生無理じゃん!」

「諦めるのはやっ! ナイトゥ、頭を使って! 頑張って!」


 くっ、今一瞬全力で間合いを詰めたのに一切縮まることのない距離感は保たれたまま。木を背後に追いつめようと少し追いかけまわすも、木をスルリと通り抜け相変わらず距離が縮まることはなく。


「やべぇ、ウトゥさん? 少しは手加減してくれてもいいんだよ?」

「だーめっ、ナイトゥがこの島で生き残るためにも、しっかり頑張ってもらいます!」


 第一段階で、即効難題にぶち当たる俺であった。

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