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巻ノ弐百六拾九 疑え!正常性バイアスを の巻

 とある土曜日の朝、大作と愉快な仲間たちを乗せた五百石積みの弁才船は多比の港を後にした。船足は十ノットといったところだろうか。駿河湾の穏やかな水面を滑るように南へと下って行く。

 狭苦しい艫矢倉へと引き篭もった六人は車座になって集う。その顔ぶれは大作、お園、サツキ、メイ、ナントカ丸、そして西浦の代官を任されているとかいう安藤豊前守良整の六人だ。


「うぅ~ん、こんな物でどうじゃろな? お手本になる秀吉の朱印状から文章を変え過ぎるとパロディーだって分かんなくなっちゃうしさ」

「そんなところで良いんじゃないかしら。どうせ中身なんてあって無いような物なんだし。内容が無いよう…… ってね!」


 満面の笑みを浮かべたお園がドヤ顔で顎をしゃくる。

 下手な洒落はやめなしゃれ。大作は心の中で突っ込むが決して顔には出さない。って言うか、ここで笑ったら負けた気がするなあ。意地でも笑ってやるもんか。

 だが、サツキやメイたちにそんなプライドは無いらしい。苦笑とも嘲笑とも取れるような微妙な笑みを浮かべている。

 ナントカ丸や良整の『わけがわからないよ……』といった表情とは対照的だ。


「んじゃ、これで完成っと。小田原に戻ったら祐筆? 右筆? 何かそんな奴に頼んで清書してもらおう」

「それは右筆ってお方じゃないかしら? それか執筆とも言うわね。とにもかくにも北条の御本城様なんだから右筆の一人や二人くらいいない筈がないわ。もしかして三人くらいいたって……」

「御本城様! やうやうと石廊崎が見えて参りましたぞ。下田の港にはお立ち寄りになられましょうや?」


 お園の話を遮るようにガタガタと耳障りな音を立てて艫矢倉の戸が開くと船長(ふなおさ)が顔を覗かせる。

 もうそんな時間かよ? 驚いて時計を見てみれば時刻は正午を少し回ったところだった。


「えぇ~っと、できれば今日中に小田原に帰りたいんですけど難しいですかな? 無理? やっぱそうですよねえ。うぅ~ん、しょうがない。まだお昼過ぎだけど下田で一泊することに……」

「ちょっと待ちなさいな、大佐。そんなことしたら時が(あた)らしいわ! 行けるところまで行っちゃいましょうよ。だって明日は明日でどんな風が吹く物やらさぱ~り分からないんですもの。ね? ね? ね?」

「いやまあ…… いまさら下田に寄ったからって別にすることも無いか。んじゃ、行けるところまで行くとしよう。なあ、みんな?」


 あまりにも生き急いだお園の気迫に思わず大作も飲み込まれてしまう。堪らず日和った態度でみんなの顔をぐるりと見回した。

 その思いが通じたのだろうか。一同が口々に勝手なことを言い始める。


「いったいどうしたっていうのよ、大佐らしくもないわねえ。何があるか分からないから人生は面白いんでしょうに」

「面白きこともなき世を面白く、住みなすものは心なりけり。ではございませんでしたか?」

「ドンマイ、大佐! それじゃあ秀吉への返書の推敲でもして時を潰しましょうか」


 北西からの風を帆に受けた五百石積みの弁才船は下田港を遠目に見ながら相模湾を北東へと進んで行った。




 昼食は得体の知れない野菜が入った雑穀雑炊だった。このクラスの船だと普通に煮炊きができるらしい。熱々の雑炊をふうふうしながら完食した一同は秀吉への返書の推敲を続ける。


 日が西の空に大きく傾くころ、船はどうにかこうにか伊東の港へと辿り着いた。

 風向きとは丸っきり正反対に進むことになるので水主たちが総出で櫂を漕いでいる。よく見てみれば櫓の形や動きが従来の物とは違うような。どうやら帆だけでなく、櫓にも改良を加えているらしい。気のせいか知らんが動きが随分とスムーズ…… スムース? に見えんこともない。


 それはそうと、もしかして漕ぐのを手伝った方が良いのかなあ。大作は暫しの間、逡巡する。

 だが、どうやら櫂が人数分しかないようだ。それを確認したうえで大作は船長のところに行って声を掛けた。


「船長殿、何か拙僧にもお手伝いできることはございませぬかな?」

「いやいや、いったい何を申されるかと思えば。御本城様のお手など煩わさずとも間もなく港に着きます故、大船に乗った積りでお待ち下さりませ。まあ、真に乗っておるのですがな!」


 船長はこれ以上は無いといったドヤ顔を決めると腹を抱えて大笑いした。

 取り敢えず手伝わなくても怒られる心配はなさそうだな。大作がほっと安堵の胸を撫で下ろす暇もなく船は砂浜へと静かに乗り上げる。一同は水主が用意してくれた梯子を伝って浜へと降り立った。




「伊東温泉が発見されたのは平安時代ごろらしいな。江戸時代には三代将軍の家光に出湯を献上した実績もあるそうだ。何処の誰が言ったかは知らんけど伊東温泉は大分の別府温泉や湯布院温泉と並ぶ日本三大温泉なんだとさ。その湧出量は毎分三十キロリットルにも達していて源泉の数は七百五十本を超えるとか超えないとか。静岡でも有数の温泉地なのは間違いないぞ」

「ふ、ふぅ~ん。だけども温泉なんて何処だって同じじゃないのかしら」


 これでもかとばかりに眉値を顰めたメイが思いっきり首を捻った。

 このままオーメンみたいに首がぐるっと三百六十度回ったら怖いなあ。失礼な想像をした大作は吹き出しそうになったが空気を読んで我慢する。


「違うわ大佐、それはエクソシストよ。オーメンは神父が避雷針で串刺しになる方だわ」

「そ、そうだっけ? 相変わらずお園は妙なことに詳しいなあ。いやいや、褒めてるんだからそんな鬼みたいな顔しなさんな。折角の美人が台無しだぞ。んで、話を戻しても良いかな? えぇ~っと…… 何の話だったっけ? そうそう、温泉にもいろいろとあるんだよ。伊東温泉の泉質は単純泉や弱食塩泉らしいな。単純泉っていうのは刺激の少ない肌に優しい湯なんだ。だから小児やご高齢の方でも安心して入って頂けるんだとさ。リュウマチや脳卒中、骨折、外傷、病後の回復、エトセトラエトセトラ。どんな病も入っただけでピタリと治る万病に効く霊泉なんだぞ。凄いなあ! 凄いだろ? そう思わんか?」

「……」

「お、思わんか? やっぱ、そうだよなあ。んで、弱食塩泉っていうのは温泉水一キロに食塩が一~五グラム含まれた物なんだとさ。弱食塩泉は浴後もぽかぽか温かいから別名『熱の湯』とも言うそうだ。保温効果で血行が促されるらしいぞ。単純泉と同じで刺激が少ないから小児やご高齢の方でも安心なんだって。慢性関節リュウマチや手足の冷え、打撲傷、捻挫、外傷、火傷、エトセトラエトセトラ。無色無臭で柔らかな泉質は誰にでも楽しめるんだとさ。以上!」


 スマホの情報を拾い読みしていた大作は背後から近付く人の気配を感じて唐突に話を切り上げた。

 足音のする方へと振り返れば良整とかいう爺さんの姿が目に入る。後ろには金魚の糞みたいに大勢の人たちが行列を成していた。

 その中でも妙に高級そうな素襖を着た偉そうなおっちゃんの姿が特に目を引く。男は大作の視線に気付くと素早く近付いてきて深々と頭を下げた。


「御本城様、本日はご尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じまする」

「いや、あの、その…… 前にお会いしたことがございましたかな? 生憎とお名前をど忘れしてしまいまして。宜しければ自己紹介とかしては頂けませんでしょうか」

「これは異な事を承る。伊東九郎三郎政世の名をお忘れとはお戯れが過ぎまするぞ。政世の政は恐れ多くも御隠居様より片諱を頂戴した物ではござりますまいか」

「Wait a minute! えぇ~っと…… 伊東政世殿と申されましたかな。その人でしたら下総国の矢作城主って書いてあるんですけど。そんなお方がなんでまた東伊豆くんだりまで出張ってきたんでしょう? 教えて頂いて宜しゅうございますか。小さなことが気になってしまう。拙僧の悪い癖でして」


 ここは強気で行くべきだろう。大作は悪びれもせずに薄ら笑いを浮かべた。それとは対象的におっちゃんの顔色が目に見えて曇って行く。

 見るに見かねたのだろうか。ナントカ丸が耳元に口を寄せると囁くように呟いた。その表情は真剣(マジ)そのものといった感じだ。


「伊東様は小田原衆が御一人にして馬廻衆でもあらせられまするぞ。いくら御本城様とは申せ、些か御無礼ではござりますまいか」

「いやいや、お気になされまするな。然れど伊東七郷の本郷村は伊東の本貫地にござりますれば、某が此処におって何の障りもありますまいて」


 おっちゃんがちょっと引き気味の愛想笑いを浮かべながら間に割って入った。

 って言うか、良く考えてみれば伊東氏が伊東に住んでいるのって当たり前なんじゃね? 阿呆なことを聞いてしまったなあ。激しく後悔するが例に寄って後の祭りだ。

 取り敢えず謝っておいた方が良いかも知れんぞ。大作は精一杯の真剣な表情を作る。


「さ、左様にござりましたか。そう言えば小田原衆所領役高帳に知行二百三十貫って書いてありますな。知らぬこととは言え申し訳ござりませんでした。んで、話は変わりますが伊東殿。今宵一夜、雨風を凌げる宿をお貸し頂けませんでしょうか? 一番安い部屋で結構ですぞ。その代わりと言っては何ですが、料理だけは金に糸目を付けんで下さりませ。最高級の食材を使った豪華ディナーをお願い致します」

「ご、ごうかでぃなあと申されましたかな? 心得ましてござりまする」


 おっちゃんが深々と頭を下げると後ろに控えた若者に手短に指示を出す。だけど本当に分かっているんだろうか。適当に返事されてたら嫌だなあ。まあ、駄目なら駄目でこのおっちゃんに責任を押しつければ済む話なんだけれど。大作は考えるのを止めた。




 一同はおっちゃんの後ろに金魚の糞みたいにくっついて歩を進める。辿り着いたのは伊東大川の河口から南へ数百メートルほど行ったところにある標高四十メートルほどの丘の上だった。

 とても見晴らしが良く、伊東の集落が一望できる。すぐ西隣には立派なお寺も完備しているようだ。

 おっちゃんは不意に立ち止まるとゆっくりと振り返った。


「此方が伊東館にございます。藤原南家の流れを汲む工藤氏の六代目、工藤祐隆が久須美荘に下りし折に建てられたと聞き及んでおります」

「そのお方が伊東氏の祖というわけですか。もしかして伊東に移り住んだから伊東を名乗られたんですか? 本当に? これぞ本当の本当にそのまんまって奴ですな。ふぅ~ん、ほほぉう、これは奇遇ですな! 工藤祐隆殿のお血筋は今上天皇にも繋がっておるんですか。どうやら曾孫さんが北条時政に嫁がれたようですぞ」


 大作はスマホから拾い読みした情報を得意げに披露する。だが、残念ながらこれっぽっちも意味が通じていないらしい。九郎だか三郎だかいうおちゃんは怪訝な表情で首を傾げるのみだ。

 何とも言えない微妙な空気に堪りかねたのだろうか。お園が辛坊堪らんといった顔で横から割り込んできた。


「あのねえ、大佐。天皇と縁続きネタは封印したんじゃなかったかしら?」

「いやいや、乱発気味だったんで暫く自重していただけだから。伊東殿が今上天皇の遠縁だなんて凄いことだぞ。だったら封印解除しても良いんじゃね? 一つ言い忘れてたけど、工藤祐隆殿は人に褒められる立派な事をしたのよ。胸を張って良いわ。おやすみ、シンジ君。がんばってね!」

「シンジ君? 其れは何処の何方にござりましょうや? まだ夕餉も召し上がらぬうちから床に就くと申されまするか?」

「九郎三郎殿、マジレス禁止にございますぞ。では、豪華ディナーを頂くと致しましょうか」


 館の門を潜って玄関へと進むと下人らしき男が水の入った盥を持ってきてくれた。一同は丁寧に礼を言うと気合を入れて足を洗う。案内された座敷には畳が敷き詰められていた。

 お園が躊躇することなく上座と思しき場所に座る。大作は顔色を伺いながら遠慮がちに隣に座った。

 二人の様子を見たおっちゃんは不思議そうな顔で首を傾げる。だが、空気を読んで口を挟んではこなかった。


 待つこと暫し、座敷に膳が運ばれてきた。漁港だけあって夕餉のメニューは海産物が中心だ。メインディッシュにはいろんな種類の刺し身が盛り合わせになっている。

 ハムッ、ハフハフ、ハフッ!! 一同が刺し身を頬張っていると下座に控えたおっちゃんが上目遣いで顔色を伺ってきた。


「如何にござりましょう? 御本城様のお口に合いましたかな」

「どうだった、お園?」

「随分と鮮らけしお魚ね。とっても美味しいわ。長靴いっぱい食べたいわね」

「だそうですぞ、伊東殿。世界一の美食家、お園のお墨付き。胸を張っていいわ、おやすみ!」


 言うが早いか大作は脱兎の如く逃げ出そうと…… しかしまわりこまれてしまった!


「あのねえ、大佐! まだ夕餉は終わっていないのよ。デザートだって頂いていないんですからね」

「そ、それもそうか。何だか知らんけどいつの間にか条件反射で逃げる癖が付いちまったみたいだな。めんごめんご」

「そうよ。私たちの夕餉はまだ始まったばかり。先生の次回作にご期待下さいなんだから」


 メイまでもが厳しい突っ込みを入れてくる。大作は照れ隠しに卑屈な笑みを浮かべるのが精一杯の抵抗だ。

 だが、捨てる神あれば拾う神あり。見るに見かねたのだろうか。おっちゃんが遠慮がちに声を掛けてきた。


「時に御本城様。此度は如何なる御用で斯様な所にまで参られたのでござりましょう。もしや、豊臣との戦が避け難しとの噂は真にござりましょうや?」

「おお、よくぞ聞いてくれました。伊東殿のお耳にも入っておりましたか。実を申さば明日、十一月二十四日に秀吉が五ヶ条の朱印状を発給するとの情報を得ております。そこで我ら北条からも同日付けで書を送ろうかと思うております」

「ご覧下さりませ。九郎三郎様」


 お園が懐から下書きを取り出すと伊東政世に差し出す。おっちゃんは恭しげに受け取ると書面に目を落とした。


()(いず)(ところ)天子(てんし) (しょ)()()っする処の天子に(いた)す (つつが)なきや…… ほほぉう、東国の北条を日出る処。西国の豊臣を日没っする処に例えておるのですな。此れを読んだ秀吉はさぞや(ふくつ)むことにござりましょう。(いきどお)れし顔が目に浮かぶようですな」


 おっちゃんが愛想笑いを浮かべながら適当な相槌を打つ。ややウケといったところだろうか。

 秀吉も同じような反応を返してくれたら良いんだけどなあ。あいつにそこまで学があるとは思えんのだけれど。まあ、黒田官兵衛とかが気付いてくれるだろう。

 大作がそんなことを考えているとおっちゃんが下書きの続きを読み始めた。


「豊臣方ノ兵ニ告グ

 一、今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ

 二、抵抗スル者ハ全部逆賊デアルカラ射殺スル

 三、オ前達ノ父母兄弟ハ国賊トナルノデ皆泣イテオルゾ

  十二月二十四日 戒厳司令部」

「ああ、それは足軽雑兵に宛てて撒く伝単にございますな。奴らは豊臣が公儀と信じて戦っておるのでしょう。そこへ我らが錦の御旗を立て、豊臣こそ逆賊だと主張をば致します」

「ほ、ほほぉう。其れはまた途方もない話にござりまするな。然れども左様な話を信じる者がおりましょうや?」


 首を傾げたおっちゃんの顔はとっても疑わしそうだ。まあ、こんな阿呆みたいな話を俄に信じろと言う方が無茶なんだけれど。

 とは言え、ここは信じてくれと説得する他にない。大作は慎重に言葉を選びながら話し始めた。


「ところがギッチョン! 嘘も百遍言えば本当になるんですなあ。例えば…… 予言の自己成就って聞いたことはございますか? 何処其処の銀行が危ないっていう根も葉もない噂が切っ掛けになって預金を引き出す客が殺到。そのせいで本当に銀行が経営破綻してしまうみたいな話がありますでしょう?」

「そう言えば、マシュウが死んだのだってアベイ銀行が経営破綻したせいだったわよ。預金保険機構が無いって悲しいわね。せっかくリンド夫人が教えてくれたのに意固地になって預金を降ろさなかったのが悪いんだけれども」

「アレは正常性バイアスっていう認知バイアスの一種だろうな。まだ大丈夫、まだ大丈夫って思ってるうちに手遅れになっちまうんだ。茹でカエル現象と似た構図かも知れん。これって人間の持って生まれた本能なんだから打ち破るのは相当に難しいぞ。どうしたもんじゃろなぁ~」


 顰め面を浮かべた大作は腕組みをすると沈思黙考する。

 とにもかくにも秀吉が諸大名に宛てて陣触れを発するのは明日、十二月十四日なのだ。

 僕にはもう時間がない。どげんかせんと、どげんかせんといかん!

 大作の思考は例に寄って例の如く明後日の方向に爆走して行った。


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