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巻ノ弐百六拾 染めろ!白髪頭を の巻

 半日以上の辛く苦しい長旅を終えた大作たちは這う這うの体で山中城に辿り着いた。だが、ほっと一息付く暇もなく現地人たちの手厚い歓迎を受ける。その相手は誰あろう山中城主の松田康長と副将の間宮康俊だった。


 一同は搦手門を潜ると兵舎みたいな建物群を横目に見ながら急な坂道を登って行く。松田康長と間宮康俊の相手は氏照がしてくれているらしい。

 その隙を突いて大作はスマホで二人に関する情報を漁った。


 山中城主の松田康長って人は奏者や奉行衆、御馬廻衆なんかを勤めていたらしいがこれといって面白いエピソードは見当たらない。

 つまんねぇ~奴だなぁ~! 大作は心の中で絶叫するが決して顔には出さない。


 それに比べると副将の間宮康俊って人はなんぼかマシだ。まずは樺太まで行って間宮海峡を発見した間宮林蔵。あの人の遠い遠いご先祖様にあたるんだそうな。間宮一族は北条が滅亡した後、常陸に移り住んだんだとか。

 一柳直末を討ち取ったのはこの人の部隊だったらしい。『白髪首を敵に供するのは恥』とかいって髪を墨で染めたって話も有名だ。享年七十三なんだから別に白髪なんて気にせんでも良いのになあ。

 って言うかこの時代、マトモな白髪染めって無かったんだろうか? ネットで読んだ話だと紀元前三千年ごろの古代エジプトや中国、ローマなんかでは既に白髪染めがあったんだとか。そう言えば古代エジプト人って泥を使ったパーマとかもやってたんだっけ。昔の人って意外とおしゃれさんだったんだなあ。

 大作がそんな取り留めの無いことを考えているとお園が小首を傾げながら口を挟んできた。


「私、源平盛衰記を読んだことあるけど斎藤実盛様ってお方が白髪を染められたみたいよ。木曽義仲を追討せんと平維盛様に従いて北陸に出陣されたんですって。だけれど寿永二年(1183)に加賀国の『篠原の戦い』で敗れちゃったのよ。その折に白髪を染めて戦に挑んだったそうよ。これってやっぱり墨汁とか使ったのかしら?」

「どれどれ…… 当時は鉱物性の無機顔料を使っていたって書いてあるな。所謂、岩絵具とか泥絵具の類なんじゃね?」

「墨だろうと絵具だろうと似たような物ね。それって黒く塗ってるだけじゃないの。何かもっと上手い遣り様がないのかしら」

「Wait a minute! って言うか、Just a moment, please. 古代エジプトでは茶の葉の抽出物と鉄を使ったそうだぞ。これってタンニンと酸化鉄だから『おはぐろ』と同じ原理だな。だとすると十時間くらい掛かるんじゃね? 古代ギリシアのブロンド化粧水ってのは明礬と生石灰、天然ソーダに葡萄酒を混ぜて作るらしい。他には…… 羊の脂とブナの灰を使うやり方もあるらしいな」


 二人がそんなことを話し合っている間にも一行は駒形諏訪神社の脇を通って兵糧倉が建ち並ぶエリアへと進む。段々畑みたいな曲輪を二段ほど登ったところで松田康長が振り返った。


「御本城様。まずは本丸にてごゆるりと打ち休み給われませ。すぐに茶の支度を致しましょう」

「でしたら初めはぬるめのお茶をたっぷり。お次はほどほどに熱いお茶を適量。最後は熱々のお茶を少量お願い致しますぞ。と思ったけど、城の見学を先にさせて頂いても宜しゅうございますかな? だってもうじき日が暮れちゃいそうなんですもん」

「さ、左様にござりまするな。然れば本丸櫓に登って頂くのが宜しゅうございましょう。まずは此方へお出で下さりませ」


 本丸から一段登ったところに手作り感溢れる物見櫓が建っていた。その外見は三内丸山遺跡にある櫓にくりそつ(死語)だ。お前らは縄文人と同レベルかよ! 大作は心の中で嘲り笑うが決して顔には出さない。


「違うわ、大佐。似ているのは吉野ヶ里遺跡の櫓でしょう。だって屋根がちゃんと付いているんですもの。だからこのお方たちは弥生人と同レベルだと思うわよ」

「そうかも知れんな。そうじゃないかも知らんけど。ところでサツキとメイに頼みたいことがあるんだ。この戦の趨勢に関わる非常に大切な任務なんだけども頼まれてくれるかなぁ~?」

「いいとも~! それで? 私たちはいったい何をすれば良いのかしら」

「まずは黒っぽい椿油を探してくれ。髪を艶々にしたらちょっとでも白髪が目立たなくなるだろ。それから胡桃や桑の白木根を生油で煮詰めて欲しい。ついでに柘榴(ざくろ)の皮があったらこいつも煎じてくれ。あと、(えんじゅ)の実や黒胡麻とか食べるのも髪に良いそうだな」

「わ、分かったわ。でも、ちょっと分からなかったから紙に書き付けてくれるかしら」


 大作が取り出したメモ用紙の上でお園が素早くボールペンを動かす。それを受け取った二人は風のように走り去った。

 フンッ! バカどもにはちょうどいい目くらましだ! 大作は心の中で嘯くが決して顔には出さない。

 松田康長の方を振り返って軽く頷くと櫓の階段を一段一段ゆっくりと登って行く。


 俺はようやく登り始めたばかりだからな。この果てしなく遠い櫓の階段をよ…… 未完

『生須賀大作の次回作にご期待下さい』

 大作は心の中で小さく呟いた。




「大佐、いつにも増して見事なる天丼だわね」

「はいはい、お褒めに預かり光栄に存じますよ」


 櫓の高さは三階建てくらいに相当するだろうか。見上げただけで余りの高さにちょっと眩暈を感じそうだ。エレベーターとかあったら良いのになあ。


「えれべえたあ? それって美味しくはないんでしょう?」

「昇降機って奴だな。人を乗せた大きな箱を綱で上まで引っ張り上げるんだ。皇帝ネロの宮殿にはエレベータがあったそうだぞ。大阪城にエレベータを付けたのは大きなミスだなんて言った人もいるけど、あったらあったで良いかも知れんぞ」

「そうかも知れんわねえ。そうじゃないかも知らんけど。でも、大佐。スタンフォード大学の研究によると階段を一段登ると四秒寿命が延びるって話もあるわよ」

「それって階段を登り続ければ永遠に生きられるってことか? なんか嘘くさい話だなあ」


 そんな阿呆な話をしているうちに一同は櫓を登り切る。木製の手摺をしっかりと握りしめた大作は素晴らしい絶景に思わず息を飲む。

 北西には薄雲を纏った富士山、南には霧に霞んだ韮山城、西には駿河湾の遥か向こうに駿府が夕陽に照らされていた。


「御本城様、ウルトラホーク1号の発進口はどの辺りにございましょうや?」

「うぅ~ん、いい質問ですねえナントカ丸。地球防衛軍極東基地は静岡県の富士山麓という設定だったよな? ってことはこっち側にあるはずだ。向こう側は山梨だもん。だけど映像を見る限り遠くに富士山が見えて発進口のすぐ側に大きな湖がある。となるとアレは芦ノ湖としか考えられん。だったら静岡って情報が間違っているのかも知れん。もし神奈川だと仮定すると箱根山の辺りになるんじゃないのかなあ。まあ、どっちにしろ富士箱根伊豆国立公園の中なんだよなあ。自然公園法とかどうしたんだろな。知らんけど」


 櫓の上から見た山中城は数字の7を引っ繰り返したような形をしている。ちなみに現在地は角の辺りだ。7の『/』のところには東海道が通っていてその西側に南に向かって三ノ丸、御馬場曲輪、岱崎出丸、擂鉢曲輪がずらりと並ぶ。そこかしこで大勢の人々が土木工事に勤しむ姿が見て取れた。岱崎出丸から擂鉢曲輪にかけての西側に畝堀(うねぼり)を掘っているようだ。


 7の『-』には二ノ丸、西ノ丸、西櫓が広がっている。周囲にはこれでもかとばかりに障子掘りが掘られており、こちらにも無数の人々が蠢いていた。


 『/』の東側は急斜面、『-』の西側には原生林が広がっているので大部隊の移動は困難だ。必然的に攻撃側は7の内側の浅い谷間を攻め上る他にない。

 この城には石垣という物が一切無い。幅五十メートルの水堀も無い。如何に障子掘や畝掘があろうと鉄砲の有効射程が五十メートルしかないこの時代なら数に任せて力攻めすることも可能だったろう。

 だが、有効射程三百メートルのミニエー銃の前でその戦術が通用するかな? 大作はだだっ広い原っぱに無数の死体が転がり、血の海に沈んでいるところを想像してほくそ笑んだ。


「見るべき程のことは見つ。今は自害せん! いやいや、自害はせんけどな」

「そう、良かったわね……」


 絶景を背景に記念写真を何枚か撮影した大作は櫓を降りる。登りと違って降りるのは怖いなあ。ちゃんと手摺とか付けた方が良いと思うんですけど。もし足を滑らせでもしたらたちまち労災になっちまうぞ。大作は他人事ながら気になってしょうがない。


 地上に降り立った大作は松田康長の案内で西へと歩を進めた。細い木橋を渡って二ノ丸に入ると広々とした空き地が広がっている。何故だか分からないがなだらかな斜面だ。真っ直ぐ立っているつもりでも平衡感覚が変になりそうなんですけど。大作は思わず顔を顰めた。


 狭い虎口を通って西ノ丸に入る。こっちは二の丸と違ってちゃんと平坦だ。周りをぐるりと囲む塀には鉄砲狭間が開いていた。その外は急な斜面になっていて畝掘に取り囲まれているようだ。


 細長い木橋を渡って狭い西櫓に進む。ここが7の『-』の左端だ。いざ戦闘が始まればここは敵の大軍に取り囲まれるんだろうなあ。こんなところで戦わされるなんて罰ゲームでも真っ平御免の介だぞ。大作は小さくため息をついた。


「ここは西ノ丸から突出しているので守り難そうですなあ。三方から取り囲まれて滅多打ちにされそうですし。こういうところは兵が孤立する前にとっとと切り捨てた方が良いかも知れませんぞ」

「切り捨てる? 其れは如何なる意にござりましょうや?」

「文字通りの意味にございますよ、松田殿。まずは序盤戦で手を抜いてわざと敵に取らせます。すると敵はせっかく確保した貴重な橋頭保を死守するため死に物狂いで兵を送り込んでくることにござりましょう。あとはそれをチクチク狙い撃ちしてやるだけの簡単なお仕事にございます。敵を一か所に集めることができれば戦闘効率も格段に上がることにござりましょう」

「そんなに上手く行くのかしら。敵がこっちの思う通りに動いてくれるとは限らないわよ」


 何が不満なんだろう。お園が不満気な顔で茶々を入れてくる。大作は左手でLの字を作ると目の前に翳した。


「端っこを無視して二ノ丸や三ノ丸に飛び込んでくるならむしろこっちの思う壺だな。そんな阿呆な敵は周囲から袋叩きも良いところだぞ。岱崎出丸と西ノ丸から集中砲火をお見舞いしてやれば良い」

「ふ、ふぅ~ん。まあ、敵がどんな死に方をしようが私の知ったこっちゃないわね。それより先を急ぎましょうか」


 どうやらお園にとっては西櫓の運命よりも夕餉のメニューの方に興味があるらしい。一同は踵を返すときた道を戻って行く。

 さっきはなだらかだと思っていた二ノ丸の傾斜が意外と急に感じられる。これは使えるかも知れんな。大作はぐるりと振り返って二ノ丸を見回した。


「如何なされましたかな、御本城様」

「松田殿、この斜面は丁度良い案配のキルゾーンにございますぞ。奥に鉄砲を五百ほど並べておけば誰一人として生きてこの坂を登ることは叶いますまいて。きっと哀れな敵兵たちはここをハンバーガーヒルと呼ぶに違いないでしょうな」

「は、はんばあがあ? 其れは美味い食い物にござりましょうや?」


 呆けた顔の松田康長の口から衝撃的な発言が飛び出す。このおっさんまで食いしん坊キャラ&どちて坊やかよ! 大作は心の中で絶叫するが決して顔には出さない。

 だが、そんな大作の心中を推し量ったのだろうか。お園が一歩前に進み出ると代わりに答えてくれた。


「ハンバーガーと申すは切ったパンの間に焼いた挽き肉を挟んだアメリカ人の国民食にございます。妾も食したことはございませぬが、とても美味じゃと伺うております」

「ぱん? 某はぱんとやらも存じておりませぬ。其れはいったい如何なる物にございましょうや?」

「パンと申すは小麦粉とパン酵母を混ぜて捏ね、暫く置いてから焼いた物にございます。ふわふわとした口当たりが殊の外……」


 一同はパン談義に花を咲かせながら緩やかな坂道を登って行った。




 まだ日没までは若干の余裕があるようだ。しかしお園の空腹がどうやら限界に近いらしい。岱崎出丸や擂鉢曲輪の見学は何とはなしに中止になってしまった。

 大作たちは本丸にずらりと建ち並んだ建物の中でも最も大きな屋敷へと案内される。玄関には質素な着物を着た下人のような人が水の入った桶を持って待っていた。ここで足を洗えってことなのか? どうやら松田康長も綺麗好きのようだ。まあ、汚い好きよりかはよっぽど良いんだけれども。

 松田康長が先頭に立って案内してくれたのは板敷の殺風景な広間だった。奥の一段高くなったエリアに畳が一枚だけ敷かれている。


「ささ、御本城様。此方にてごゆるりと打ち休み給わりませ」

「いやいや、松田殿。ここって御城主の定位置なんじゃありませぬか? 松田殿を差し置いて拙僧如きが座るなど畏れ多きことにござります」

「お戯れも大概になされませ。御本城様、御裏方様、陸奥守様を前に某如きが上座になど座れる筈もござりますまいに」

「だ、だったら…… だったらもう陸奥守殿がお座り下さりませ。陸奥守殿は山中城要塞守備軍の総司令官にございますぞ。胸を張って宜しゅうございます。おやすみ!」


 面倒臭くなってきた大作は強引に話を纏めるとBダッシュで座敷を後に…… うわぁ! 僧衣の裾をお園に掴まれて盛大にすっ転んでしまった。


「あ痛たたた、何すんだよお園!」

「大佐こそ何を煩わしいことしてるのよ。私、もう夕餉を待ちきれないわ。然らばレディーファーストということで妾が座らせて頂くと致しましょう」


 宣言するように言い放つとお園は畳の上にちょこんと座る。その余りにも堂々とした態度に誰一人として口を挟むことができない。そうこうしている間に膳が運ばれてきてなし崩し的に夕餉が始まってしまった。

 一の膳には白米・汁物・(なます)・魚の煮付・香の物が並んでいる。


「この魚は何じゃろな。もしかして金目鯛なのか? こんな山の中でどうやって?」

「私たちが運んできたのよ、大佐。あと、これも萌に頼まれたから持ってきたわよ。はい、ミニエー銃!」

「あのなあ、メイ。飯を食ってる時にいきなりそんな物騒な物を出す奴がいるか? リュック・ベッソン監督の何とかいう映画を思い出しちゃったじゃんかよ。何だったかな。アレだ、アレ…… ニキータ! この銃で俺がいきなり誰かをぶっ殺したらびっくりだろ?」

「大佐、阿呆なこと言ってないで早く食べちゃいなさい」


 呆れた顔のお園に睨まれた大作は首を竦めるとお椀に残ったご飯を口に放り込んだ。




 夕餉を終えた一同はお茶を飲みながら外郎を食べて談笑していた。


「ねえ、大佐。これが頼まれていた椿油よ。それと胡桃と桑の白木根を生油で煮詰めた物。こっちは柘榴(ざくろ)の皮を煎じた物ね」

(えんじゅ)の実と黒胡麻は手に入れること叶わず、申し訳ござりませぬ」

「うむ、大儀であったなサツキ、メイ。然らば間宮殿、此方へお出で下さりませ」

「そ、某に何ぞ御用でもござりまするか?」


 急に名前を呼ばれた間宮康俊が不安気に瞳を揺らす。効いてる効いてる。大作はしてやったりとほくそ笑んだ。


「ふるさとは遠きにありて思ふもの、近くば寄って目にも見よ。さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。御用とお急ぎでない方は、ゆっくりと聞いておいで。黙って座ればピタリと染める。ラピュタ印の白髪染め。その目でとくと御覧じろ」


 適当な口上を述べながら爺さんの髷を解くと白髪がぱっと広がった。何だか落ち武者みたいだなあ。大作は心の中で嘲り笑うが決して顔には出さない。


「それじゃあお園。そっちには柘榴の皮を煎じたのを塗ってくれ。俺はこっちに胡桃と桑の白木根を生油で煮詰めた奴を塗るよ」

「何で半分ずつ塗り分けたりするのかしら。もしかして対照実験でもしているつもり?」

「そうそう、それそれ。どっちが上手く染まるか競争だ。綺麗に染め上がった方の勝ちだぞ。皆もこっちだと思う方に付いてくれるかな~? さあさあ、張った張った!」

「私は大佐に賭けるわ。こっちの方が綺麗な色なんですもの」

「某はお園様に賭けまする。今は綺麗でも乾いた後、どうなっておるかは分かりませぬぞ」


 ギャラリーたちの言葉を聞き流して大作は変な臭いのする液体を刷毛でペタペタと白髪に塗りたくる。間宮康俊は完全に諦めの境地に達したという顔で置物のように固まっていた。


「間宮殿、とってもお似合いですぞ。これで白髪首を敵に供する恥を晒す憂いも無うなりましたな。これは重畳にござりました。善き哉、善き哉!」

善哉(ぜんざい)ですって? それって餡の汁に餅を入れた物だったわよねえ。一休さんも美味しいって大絶賛したんだったかしら。じゅるる~~~!」


 そんな二人の言葉は放心したように呆け果てる爺さんの耳にこれっぽっちも届いてはいなかった。






 翌日、朝餉の席に現れた間宮康俊の頭はとんでもなく爆発していた。それこそ比喩表現でもなんでもなく本当の意味で。

 ソバージュの出来損ないみたいなボサボサ髪は見事なまでに左右非対称に色が違っている。これぞ世紀末って感じのアナーキーなファッションだなあ。そこにシビれる! あこがれるゥ! スキンヘッドの大作としては羨ましい限りだ。


「うぅ~ん…… これはこれで悪くないんじゃないですかな。もういっそ、インナーカラーとかメッシュとかも入れてみては如何でしょう? よっ! 天正のファッションリーダー!」

「此れならば敵に首を取られようと毛ほども恥ずかしゅうござりますまい。本に目出度きことにございます」


 大作の無責任な励ましにお園がこれまた適当な相槌を打つ。だが、爆発頭の爺さんはまんざらでもないといった顔だ。

 それを受けて朝餉に集まっていた爺さんの息子たちが次々と口を開いた。


間宮康次「真に目出度きことで」

間宮康信「目出度きことじゃ」

間宮善十郎「うむ、目出度いのう」


 白髪首を敵に供するのってそんなに恥なことなのかなあ? だったらいっそスキンヘッドにしちまえば良いのに。大作はそんな本音をおくびにも出さない。


 とにもかくにも父にありがとう、母にさようなら

 そして、全ての子供達(チルドレン)に、おめでとう


 生須賀大作の次回作にご期待下さい 未完




 いやいやいや、まだまだ続きますから。大作は自分で自分に突っ込みを入れた。


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