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巻ノ弐百拾七 打て!舌鼓を の巻

 碓氷城を目指して旅に出た大作たちは初日の夕方、這う這うの体で江戸城へと辿り着いた。

 一同を出迎えてくれたのは北条家臣団の一手役にして三家老が一人、江戸城代の遠山筑前守景政その人であった。

 少なくともナントカ丸はそう言っている。だが、本当に信じて良いんだろうか。疑り深い大作は念のためにスマホを弄って情報を探す。探したのだが……


 何にも無い、何にも無い、全く情報が無い。Wikipediaに項目すら無いなんことがあり得るのか? ナントカの徒みたいな奴らに『存在の力』を喰われちまったのかも知れん。って言うか『髑髏城の七人』って何だこりゃ? いやいや、どう考えてもこれは無関係だな。

 遠山景政と江戸城でクロス検索すると断片的な情報がヒットする。しかしどれも孫引きみたいな伝聞調で信用に値しなさそうだ。

 遠山政景って人ならWikipediaに項目があって江戸城代をやっていたらしい。だけどそいつは今から九年も前の天正八年(1580)に死んじまったそうな。しかも例に寄って生年不詳ときている。

 跡を継いだのは息子の遠山直景って奴だけどこいつも生年不詳。しかも天正十五年(1587)に亡くなったんだとか。とは言え、こいつは小田原征伐の時に江戸城に拠っていたという説も書いてある。だけどわざわざ『定かではない』と断ってある辺り、かなり眉唾っぽい話のようだ。


 うぅ~ん、ギブアップ。分からん、さぱ~り分からん。まあ、Wikipediaに項目の無い人なんていまさら珍しくも何とも無い。正に考えるだけ時間の無駄だな。

 それよりも今、考えなきゃなんらんのは氏政に書いて貰った紹介状を持ってくるのを忘れていたってことだ。やっとのことで本題を思い出した大作は激しいパニックに襲われていた。


「えぇ~っと、大岡様。じゃなかった、遠山様。やっぱ、紹介状無しで泊めて頂くことってできませんでしょうかな? 無理なお願いをしておるのは承知の上ですが、拙僧どもには大岡…… 遠山様しか頼れるお方がおらぬのです。天地神明に誓って後ほど必ずや紹介状をお見せいたします。厩でも軒先でも雨風さえ凌げれば結構。後生ですから今宵一夜の宿をお貸し下さりませ。お願い致します大岡…… 遠山様!」

「いやいや、様はお止め下さりませ。そも、御本城様の仰せとあらばお疑いなど致しませぬ。お気遣いなど無用にございます」

「ただし、我々がその気になれば紹介状をお見せするのは十年、二十年後ということも可能だろうということ…… それだけはお忘れなきようお願い致します」


 大作はなるべく威圧的にならないように言葉を選ぶ。できることならレジ精算が済んでからポイントカードを出して文句を言うモンスタークレーマーみたいなみっともない真似はやりたくないのだ。

 そんな大作の気持ちを知ってか知らずか、脇から若武者が遠慮がちな表情を浮かべながら進み出る。その手の中には折り畳まれた書状があった。


「恐れながら御本城様、添状なれば此方にございますが」

「えぇ~っと、貴殿は先触れに走ってくれた山角殿でしたかな? 確か御馬廻衆の…… って言うか、添状あったんだ~! お前が犯人かよ!」


 大作は激しい脱力感に襲われながらも若侍から引っ手繰るように書状を奪う。そして心の中で『上意である!』と絶叫しながら突き付けた。

 その勢いに飲まれたのだろうか、景政は黙って頭を下げるしかないといった顔だ。一件落着、大作はほっと安堵の胸を撫で下ろした。




 先頭を進む景政の後ろに大作たちは金魚の糞みたいにくっ付いて江戸城内を歩いて行く。辺りには何だか名前も分からない木が沢山植わっていた。

 今は真冬なので蕾はまだ固く締まっている。開花は随分と先のことになりそうだ。大作は心の中で『梅は咲いたか、桜はまだかいな』と鼻歌を歌いながら独り言ちる。


「あの木って桜でしょうかな? 大岡…… じゃなかった、遠山殿。これぞ正に遠山桜に浪漫の嵐という奴ですな」

「これはお戯れを。あれは梅にございますぞ。聞くところによれば道灌公が菅公様を祀る天満社を建てし折に屋敷の周りに梅を植えた物だそうな。それ故、あの坂は梅林坂と呼ばれておりまする」

「さ、左様にござりまするか。でも、梅と桜って似てるから間違えても無理ないですよね。ちなみに梅ってバラ科サクラ属だって知っておられましたかな? それって薔薇か桜かどっちだよ!」

「だから梅なんじゃないかしら? まあ、桜は食べられないから梅で良かったわ」


 お前の価値判断基準は食えるか食えないかだけかよ! 大作は心の中で激しく突っ込むが決して顔には出さない。

 って言うか、食用薔薇っていうのもネットで見たことあったような無かったような。分からん、さぱ~り分からん。


「そう言えば桜だってサクランボが食べられるんじゃね? いやいや、アレは明治に入ってきたヨーロッパの品種だな。この時代の日本のサクランボなんて食えた物じゃないんだっけ。うぅ~ん、残念!」

「そ、そうなんだ。分かったわ、美味しくないんじゃあしょうがないわね」

「ところでさっき言い忘れていたけどバナナっていうのはバショウ科バショウ属の果物なんだぞ。松尾芭蕉の芭蕉っていうのはバナナのことなんだとさ。んで、この時代で食べられるかっていうと…… こっちも難しそうだな。沖縄辺りが栽培可能な北限らしい。そもそも品種改良されていないこの時代のバナナなんて大して美味いとは思えん。無理してまで手に入れる物じゃなさそうだな」

「えぇ~っ! それも食べられないっていうの? いい加減にしてちょうだいな! こんなんじゃ蛇の生殺しみたいだわ! 私の我慢にも限りってものがあるのよ!」

「そうカッカしなさんなよ。せっかくの美人が台無しだぞ。今はただ、今宵の夕餉に期待しようじゃないか。大岡…… じゃなかった、遠山殿。当てにしておりますぞ」


 急に話を振られた景政は曖昧な笑みを浮かべて首を傾げた。これで酷い料理が出てきても責任はこいつに押し付けられる。大作は考えるのを止めた。




 九十九折になった梅林坂を登り切るとさっきのよりも二回りは大きな櫓門が建っていた。大作は苦虫を噛み潰したような顔をしながら羊羹を門番に渡す。気分は雨宿りしているサツキとメイに傘を差しだすカンタだ。

 だだっ広い三ノ丸には大小の建物や物見櫓が建ち並んでいる。全体的に閑散とした雰囲気で人気も活気もこれっぽっちも無い。まあ、平時の城なんてこんな物なんだろうか。いやいや、だったらなんで門番ばっか沢山いるんだろう? わけが分からないよ。

 これってもしかしてアレか。工事現場に作業員より交通誘導の方が一杯いるみたいな? 分からん、さぱ~り分からん。


 とぼとぼと南に向かって進むと広い空堀に細い橋が架かっていた。真ん中を渡って行くとまたもや櫓門があって門番が立っている。大作は怒髪天を衝くばかりの勢いで羊羹を手渡す。だが、肝心の頭はスキンヘッドなので頭髪なんて一本も生えていない。おかげで門番には大作がなぜ怒っているのかこれっぽっちも通じていないようだ。


 三ノ丸に比べると随分と狭苦しい二ノ丸にも倉庫や住宅らしき建物が所狭しとならんでいる。さっさと通り過ぎると先ほどよりも深くて狭い空堀があった。またまた建っている櫓門の前にはこれまでとは比べ物にならないくらい立派な着物を着た男たちが所狭しと立ち並んでいた。

 我慢に我慢を重ねていた大作の堪忍袋の緒がプツンを音と立てて千切れ飛んだ。


「うわぁ~~~っ! 何でお前らはどこにでも立っているんだ? そんなに羊羹が欲しいのか? 欲しけりゃいくらでもくれてやるよ! ほれほれ、受け取れ!」

「どうどう、大佐。気を平らかにして。皆様方はお勤めで立ってらっしゃるのよ。そんな風に言ったらご無礼だわ」


 そうは言いながらもお園は羊羹を渡すつもりは無いらしい。大作の手から羊羹を取り上げると硬く抱きしめた。

 二人の並々ならぬ決意が通じたのだろうか。景政は小さくため息をつくと櫓門を潜って本丸へと進んで行く。


 南へと歩いて行くと木の塀が行く手を阻んでいる。またまたまた門が現れた途端に大作とお園は顔を顰めながら思いっ切り舌打ちした。余りの気迫に景政が思わず首を竦めて視線を反らせた。

 お寺の本堂みたいに大きな建物の横を抜けて角を曲がるとようやくゴールが見えてくる。それは江戸城最南端に建っている金閣寺みたいな建物。静勝軒だった。




 大作たちは入口で足を洗うと梯子のように急な階段を三階まで登る。一同が案内されたのは簡素だが上品な作りの広々とした座敷だった。

 敷き詰められている畳はちょっと古びているが丁寧に掃除してあるので不潔感は無い。床の間のようなところには何て書いてあるのか分からない掛け軸が掛けてあり、高いんだか安いんだか見当も付かない花瓶には水仙らしき花が生けられている。

 山登りの後に階段登りとは思いも寄らなかったなあ。大作はその場にへたり込むと大きく肩で息を付いた。


「どうやら御本城様は随分とお疲れのご様子ですな。夕餉の支度ができるまでごゆるりと打ち休み給わりませ」

「ゆ、ゆ、夕餉ですって! 私、すぐにでも食べたいわ。早う食べさせては頂けませぬでしょうか? 遠山殿、Hurry up! Be quick!」

「どうどう、お園。美味しい料理には時間が掛かるんだぞ。それに空腹は最高の調味料だって言っただろ」

「いやいや、御裏方様は素腹(すばら)にございましたか。さればすぐにでも夕餉をお持ち致しましょう」


 景政は小馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべると足早に立ち去って行った。

 一息付いた大作はゆっくり立ち上がると南に面した窓から外を見やる。お寺の火灯窓みたいな変てこな形をした窓からは日比谷入江や品川湊は勿論、遥か彼方の房総半島や三浦半島までもが霞んで見えた。


「みんなもこっちにきて見て見ろよ。絶好のオーシャンビューだぞ。これぞまさに百万ドルの…… 銭百万貫文の夜景だな」

「ふ、ふぅ~ん。確かに良い景色よね。まあ、夜じゃないんだけど。でも、私はそんな物より夕餉の方がよっぽど……」

「お待たせ致しました、御裏方様。ささ、温かいうちに早うお召し上がり下さりませ」


 声の方を振り向けば景政本人が先頭に立って膳を運んでくるところだった。江戸城代が自ら給仕するとはVIP扱いされてるってことなんだろうか。

 大作やお園はもちろん、サツキやメイ、ナントカ丸の分もちゃんと出してくれるらしい。だが、御馬廻衆は別室で食べているようだ。

 善の上には大きな器に入った液体が美味しそうな湯気を立てている。お園が光の速さで席に着くと椀と箸に手を伸ばした。


「ご馳走になります、遠山様。おやまあ、これは泥鰌を味噌で煮込んだ物かしら。臭みも無くあっさりしているわねえ、大佐。確か泥鰌はタンパク質が多いしトリプトファンとかカルシウムやコンドロイチンなんかも豊富なんでしょう。丸鍋、ぬき鍋、柳川鍋。他にもフライにしたり、甘露煮、マリネ、エトセトラエトセトラ。色んな食べ方が楽しめるんだったわね」

「そ、そうだな。これっぽっちも泥臭くないぞ。って言うか、泥鰌なんてご馳走ってイメージじゃなかったけど普通に美味しいな。遠山様、もしかしてこんなに美味しいからニ十一世紀には環境省レッドリストに登録されちゃうくらい乱獲されたのかも知れませぬな」

「斯様な田舎料理を馳走と喜んで頂けて何よりにございます。まだまだございますので腹が飽くまでたんとお食べ下さりませ」


 口ではそんなことを言っているが景政は最高のドヤ顔を浮かべている。どうやら本音では自慢の郷土料理ということのようだ。

 名物に美味い物なしなんて言うけれど美味しいは正義なんだからしょうがない。大作は何か気の利いたことでも言ってフォローしておこうと頭を捻る。


「郷に入っては郷に従え。泥鰌だって立派なご馳走でしょう。東浦美津夫っていうマンガ家さんをご存じにありましょうや? 彼のお方にとってはカレーが最高のご馳走だったそうですぞ。手塚治虫がアシスタントを頼んだらお城の晩餐会のカットにカレーがズラッと並んでいたとか何とか。笑っちゃいますでしょう? 中世の宮廷晩餐会のご馳走がカレーライスだなんて。アハ、アハハハハ……」

「カレーって茶色くってピリリと辛い汁をご飯にかけて食べるんだったわね。タミル語で汁って意味だったかしら。ご馳走かどうかはともかく、一度食べてみたわねえ」

「まあ、材料が手に入ったらそのうちにな。今日のところは美味しい美味しい泥鰌を楽しもうじゃないか」


 一同は泥鰌料理に舌(づつみ)を打つ。いやいや、舌(つづみ)を打つ? アレアレ、どっちだっけ?


(つづみ)(つづみ)よ。(づつみ)じゃないわ」

「そ、そうだな。舌(つづみ)が正しいんだっけ。でも、舌(づつみ)って読む人が余りにも多いんでとうとう辞書にも載っちまったとか何とか」

「それはさておき御本城様、その坊主頭には魂消(たまぎ)り仕りましたぞ。聞けば御隠居様も頭を丸めて京に参られたそうですな。して、豊臣との仕儀は如何なる案配にございました? いと憚り多きことなれどお聞かせ願いとう存じます」


 話が一段落したのを見計らったように景政が強引に話題の矛先を捻じ曲げた。その表情は先ほどまでとは打って変わって真剣な物だ。

 武蔵国や江戸湾を支配下に置く江戸城代としては関心を持つのは当然だろう。とは言え、あそこであったことを馬鹿正直に話すのも恥ずかしいなあ。大作は何かもっともらしい言い訳を探して頭をフル回転させる。しかし何も思いつかなかった……


「まぁその~~~ アレはアレですな。なるようにしかならんのではないでしょうか? そんなことより豊臣を滅ぼしてからのことを考えては見ては如何かな? アメリカは真珠湾を奇襲された直後には日本占領政策の策定を始めたそうですぞ」

「左様にございます。斯様な仕儀はあらましを定める折が最も楽しゅうございますよ」


 とびっきりのビジネススマイルを浮かべたお園が適当な相槌を入れてくれた。余りにも唐突な話題の転換に付いてこれない景政がきょとんとしている。

 とったど~!! 大作は心の中で雄叫びを上げながらも慎重に次なる言葉を選ぶ。


「此度の大戦(おおいくさ)が終われば豊臣、徳川、上杉、前田の勢いは大きく削がれましょう。さすれば残る大物は毛利、伊達、佐竹、島津といったところでしょうかな?」

「伊達と申されましたか? 御本城様は奥州も敵に回るとのお考えにござりましょうや?」

「お、欧州ですと? そう申さば欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じておるようですな。まあ、その件に関しましてはまたの機会と致しましょう。とにもかくにも豊臣、徳川が力を落とせば天下は再び戦乱の世に逆戻りするは必定。其れを北条がこの先生きのこるには如何すれば良いか? 遠山殿はお尻に…… お知りになりたくはございませぬか? どうしてもと申されるなら教えて進ぜぬこともありませぬぞ?」

「いやいや、左程は知りとうもござりませぬ。されど、いかでか話さんと仰せならばお聞きせぬわけには参りますまいな」


 景政の恩着せがましい口調に大作はカチンときた。とは言え、本気で怒るのも大人気ない。ここは鋼の意思で平常心を保つしか無さそうだ。

 どいつもこいつも利いた風な口を聞きやがって。大作は心の中で苦虫を噛み潰すが決して顔には出さない。

 例に寄って馬鹿の一つ覚えのように上目遣いで揉み手をしながら卑屈な愛想笑いを浮かべるのが精一杯の抵抗だ。


「天下を、全世界を敵に回しても北条がこの先生きのこるには核兵器の独占しかありませぬ。とは申せ、どんなに急いでも核開発には十年は掛かりましょう。東海、近畿、中国と攻め進んでおっては何時からスタートできるやら見当も付きませぬ。そこでこれを一気にショートカット致しましょう。まずは沼田から北上して上杉を打倒。越後から海路を使って毛利とコンタクトを取るというのは如何かな?」

「ほほう、越後を先に平らげると申されまするか。されど毛利と手を組むことなど叶うものでございましょうや?」


 食い付いた! 取り敢えず話題反らしは大成功だな。大作は心の中でガッツポーズ(死語)を作ると景政にグイグイと詰め寄った。


「北条と毛利では地理的に隔絶しておりますでしょう? だったら同盟? 業務提携? 何か知らんけど適当な条件で手を組むことは難しくないはずですな。我らが欲するは人形峠におけるウラン採掘権だけにございます。そのためならば多少の譲歩は致し方ありますまい。どうせ核兵器さえ完成すれば毛利や島津など敵ではござりませぬ。九州や中国など放射能の海に沈めてやれば宜しい。海の向こうにはアメリカやオーストラリアといった無限の開拓地が待っておるのですから」


 景政は相変わらずさぱ~り分からんといった顔だ。大作はニヤリと笑い掛けるとバックパックを探って地球儀紙風船を…… 無い、無いぞ!

 例に寄ってパニックになりかけた大作の背中を軽くさすりながらお園が耳元で囁く。


「大佐、右のポケットよ。ルパンはいつもそこに隠すわ」

「あ、ありがとな、お園。まあ、俺はルパンじゃないんだけどさ。ご覧下さりませ遠山殿、この小さいのが日の本にございます。それに比べてアメリカやオーストラリアのなんと大きなことかな。カリフォルニアだけでも日の本より広うございすぞ」

「ほほ~う、遠き海の向こうに斯様に広き国があったとは夢にも思いませなんだ。其れは心ときめく話にござりまするな。そのお話、いま少し詳らかにお聞かせ下さりませぬか。誰かある、酒を持って参れ。ささ、御本城様。召させ給へ、召させ給へ」

「いやいや、拙僧は医者にアルコールを止められておりましてな。ダメダメ、本当にマジで駄目なんですってば。これって下手したらマタハラで訴えられますぞ。ちょ、ちょ、ちょっと! んがんぐ……」


 半ば強引に酒を飲まされた大作の意識が急速に薄れて行く。


「大佐、それを言うならアルハラよ」


 ちょっと呆れたようなお園の一言は大作の耳に届いてはいなかった。


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