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巻ノ百六拾伍 ポテトと一緒に の巻

 狭い座敷を出た大作たちは作業場を目指してゾロゾロと移動する。そこでは相も変わらず何人もの若者たちが忙しそうに働いていた。

 隅っこの方を間借りして藤吉郎と菖蒲も足踏み式脱穀機の取説を印刷しているようだ。大作がアイコンタクトを取ると二人も軽く頷き返す。作業は順調に進んでいるらしい。

 周りの人たちの仕事を邪魔しないように注意しながら人力プレス機のところまで進む。


「良かった~! プレス機は誰も使っておらぬようですな」

「へえ。今はみな、他の物を作っております故、空いておりまする。して、これから何を作られるおつもりで?」


 青左衛門が興味津々といった顔で答えた。どうやら、これからやろうとする作業に興味を持ってくれているみたいだ。

 大作はスマホを取り出すとシュタールヘルムの写真を表示させる。それを向けられた若い鍛冶屋は首を伸ばしてスマホを覗き込んだ。


「まずは手始めにヘルメットを作って頂きとうございます」

「へるめっととは、確か南蛮の陣笠の如き物にござりましたな。陣笠とはどこがどう異なっておるのでしょうか?」

「前に申し上げませんでしたかな? 陣笠は鍋として使うには些か勝手が悪うございます。されど、このヘルメットなら鍋としても大層に便利、じゃなかった、何だその? 使い勝手が宜しゅうございます。それに平べったい陣笠ではイギリス軍のブロディヘルメットみたいに耳や後頭部、首筋の防御が不安にござりましょう? 二十一世紀では米軍のフリッツヘルメットがNATO諸国に広まり、ロシアや中国から北朝鮮までもが真似する始末。東京消防庁でも似たようなヘルメットを被っておりますぞ」

「さ、左様にござりまするか。されど、何故に我ら鍛冶屋が陣笠などを作らねばならぬのでしょうな? いやいや、決して嫌だと申しておるのではござりませぬぞ」


 大作が眉間に皺を寄せたのを見た青左衛門が慌てて弁解じみたことを口にする。

 そんなにビビらんでも良いのに。さっきは少し怖がらせ過ぎたかも知れん。大作はちょっとだけ反省した。


「青左衛門殿はクロスセル戦略という言葉をご存じでしょうか? 『ご一緒にポテトも如何ですか?』とかいう例のアレにございます。鉄砲とヘルメットは一心同体少女隊。セット販売するのにこれほどぴったりの物はござりませぬぞ」

「ぽてと? ぽてととは如何なる物にござりましょうや?」


 気になるのはそっちかよ~! 大作は心の中で盛大にズッコケるが決して顔には出さない。

 って言うか、気になるのが普通かも知れん。だったら先に解決しておかなければ。


 それはそうと、ポテトっていうのはジャガイモだけを指すんだっけ? 記憶を辿るがちょっと自信が無い。大作は慌ててスマホから関連情報を探す。


「えぇ~っと…… ポテトはジャガイモだけを指すようにございますな。ちなみに、芽にはソラニンと申す毒が含まれておりまする。故に『悪魔の植物』なんて中二病っぽい名前でも呼ばれたそうな。でも、食べたからって泳げなくなったりはしませんぞ」

「毒の芽なんて随分と恐ろしげな芋ね。そんな物を食べて大事ないのかしら?」


 お園の瞳が不安気に揺れる。さすがの食いしん坊でも食べ物なら何でもOKって訳では無いらしい。


「そんなん言ったら蒟蒻芋だって猛毒のシュウ酸カルシウムがたっぷり含まれてるんだぞ。だから蒟蒻芋はそのまま食べられないんだ。それどころか、山芋や里芋なんかにもちょっぴり含まれているんだ。とろろ汁とか食べると痒くなったりするだろ?」

「そ、そうね。口の回りが痒くなったりするわね。あれって毒だったんだ!」

「そんなのに比べたらジャガイモの芽の毒は全然大したこと無い。体重五十キロの人で致死量は百五十~三百ミリグラムくらいだ。これって芽の生えたジャガイモが二、三キロってことなんだ。そんなに一遍にジャガイモばっか食うかよ~~~!」


 大作は突如としてあらん限りの大声を張り上げた。それほど広くもない作業場の隅々にまで絶叫が響き渡る。

 突然のことに一番近くにいたお園は勿論、他の面々も顔を顰めた。

 それどころか、遥か遠くで作業している手代たちまでも手を止めて怪訝な顔をしている。

 だが、大作は少しも慌てた様子を見せない。満面の笑みを浮かべながらぐるりと周囲を見回した。


「お騒がせして申し訳ござりませぬ。されど、これも偏に皆さま方にジャガイモの芽の毒の恐ろしさを知って頂かんがためにございます。お許し下さりませ。まあ、それもコバルト60が手に入るまでの辛抱だ。それさえ手に入ればガンマ線照射で芽が出なくなる。安心してくれ」

「それを聞いて安堵したわ。それで? じゃがいもっていうのは、いったいどんな芋なの? 甘いって言っていた薩摩芋とは違うのかしら?」


 食べれる…… じゃなかった、食べられると分かった途端にお園が目の色を変えて話に食い付いてくる。相変らず食べ物の匂いに敏感な奴だ。大作はちょっと感心する。

 とはいえ、これ以上の脱線は勘弁して欲しい。そろそろ話の軌道修正を図らねば。下手するとこのまま夜になりかねん。


「えぇ~っと? 薩摩芋はヒルガオ科の(つる)性多年草って書いてあるな。ジャガイモはナス科の多年草か。芋は芋でも山芋や里芋なんかとは似ても似つかない代物だぞ」

「ふ、ふぅ~ん。それで、美味しいの? 美味しくないの? それが問題よ」


 ハムレットのポーズを決めながらお園が難しい顔で視線を向けてきた。この追求はいったいどこまで続くんだろう。

 いやいや、いくら食いしん坊のお園でも現物が無いのに食わせろなんて無茶は言わんだろう。ゴールは近いはずだ。大作は強引に話を纏めに掛かる。


「まあ、どっちも芋なんだから膨らんだ地下茎を食べるってのは一緒だな。でも、味や食感は大分違うぞ。薩摩芋は焼きいも、大学芋、芋けんぴ、ペースト状にしても良いな。ジャガイモは肉じゃが、ジャーマンポテト、ポテトチップス、エトセトラエトセトラ。カレーやシチューの具としても欠かせん。甲乙つけ難し。っていうか、どちらも日本人の食生活にとって必要不可欠ってことで良いんじゃね?」

「それで、始めに言ってた『ぽてと』っていうのはどんな料理なのかしら。まさか、じゃがいもとやらをそのまま食べるんじゃあないんでしょうね?」

「ここで言うポテトはフライドポテトのことだな。細長く切った芋を油で揚げるんだ。ちなみに英語ではフライドポテトなんて言い方はしないぞ。アメリカ人はフレンチフライって言う。一方、イギリス人はチップスだ。日本人はチップスって言うとポテトチップを思い浮かべるだろ? でも、イギリスでフィッシュ&チップスって言うと日本で言うところのフライドポテトが出てくるって訳なんだなこれが。ちなみにフライドポテトの元祖、ベルギーではフリッツって言うらしい。でも、フリッツヘルメットとは何の関係も無いんだけどな」


 そう言い切ると大作は両手をポンと打ち鳴らす。これでこの話は打ち切り。本題に戻すぞという意思表示のつもりだ。

 だが、その切なる思いはお園には通じなかったらしい。目をキラキラと輝かせながら相も変わらず新たな疑問を口にする。


「そうなんだ。ところで、何で『じゃがいも』って名前なのかしら? じゃがの芋だからじゃがいもなの?」

「ジャガタラってところからオランダ船が持ってきたんだとさ。現代でいうところのジャカルタ。インドネシアの首都だな。ちなみにパレンバン油田のあるスマトラ島のすぐ隣にあるんだ」

「それって千何百里もの彼方なのよね? おらんだ船はいったい何でそんなところから毒の芋をわざわざ持ってきたのかしら。私、その故を知りたいわ」

「あ、あのさあ。悪いんだけど本題を先に進めても良いかなあ? やらなきゃならんことが山ほどあるんだぞ。青左衛門殿だって待っておられるんだしさ」

「えぇ~~~っ! 私、いんどねしあのことをもっと知りたいわぁ~! なぁ~んてね、空言よ。ちょっと揶揄(からこ)うただけ。さあ、ヘルメットを作りましょう」


 そう言うとお園はペロッと舌を出して満面の笑みを浮かべた。お前はペコちゃんかよ~! 心の中で絶叫するが決して顔には出さない。

 もう、こいつらには何を言っても無駄だろう。諦めの境地に入った大作は寂し気な笑みを浮かべた。そして青左衛門の手を力なく握りしめると弱々し気な声で囁く。


「青左衛門殿、ヘルメットのこと、返す返すもお頼み申す……」

「は、はぁ? まさか、某に一人で作れと申されまするか? 大佐様はお手伝いして下さりませぬのでしょうか?」

「何を当たり前のことを。青左衛門殿は金属加工のプロフェッショナル。拙僧如きは邪魔にしかなりませぬぞ。そうそう、ついでにこれも平べったくして頂けまするか」


 大作は手持ちの金塊の中から一番小振りの物を選び出す。手に持った感じからすると百匁くらいだろうか。


「モース硬度だと金は2.5だから銀の2.7より柔らこうござりますな。圧延機をちょい薄めに調整して薄板にして下さりませ。金貨を鍛造する素材に致します。では、後は宜しく。奥の座敷をお借りしますぞ」


 一方的に告げると大作は振り返りもせずにその場を後にした。ヘルメット作りは時間稼ぎに過ぎない。それに、もし失敗しても責任は青左衛門に押し付ければ済む。


 途中で板切れや竹竿を適当に拝借して座敷に戻る。板の間に腰を下ろすと待ちかねたようにお園が口を開いた。


「それで? へるめっとも金貨も青左衛門様に任せちゃったけど、これから私たちは何をするの?」

「俺は未唯と一緒に野鍛冶や材木屋、窯元に借銭を返しに回るよ。お園、ほのか、メイはお留守番組だ。暇つぶしに丁度良い仕事を用意した。やってくれるかな~?」

「えぇ~~~! また、お留守番組なの? そんなんじゃあ何のために虎居まで付いてきたか分からないじゃない! 私たちは……」

「どうどう、落ち着いて。山ヶ野には山ヶ野でお留守番組がいるんだ。そんな風に上ばっかり見ていると今に足元をすくわれるぞ」


 ちなみに『足をすくわれる』が正しい日本語表現だ。とは言え、近年では誤用の方が多数派になってしまったらしい。文化庁の国語に関する世論調査でも八割もの人たちが『足元をすくわれる』を使うんだそうな。


「分かったわ。それで、私たちお留守番組は何をすれば良いっていうの?」


 やけにあっさりとお園が引き下がった。さっきまでの勢いはいったい何だったんだろう。大作は妙な胸騒ぎを覚える。

 だが、わざわざ蒸し返しても藪蛇だ。このまま勢いで乗り切ろう。素早く方針を決めるとターゲットを未唯に定めた。


「その前にちょっと良いかな? 未唯、俺たちの住んでいる世界…… 何だろ? 大地? 地面? 地べたをずう~っと歩いて行くとどうなると思う?」

「海に出るんじゃないかしら。前に川を下った時は海に出たわよね」

「じゃあ、そこから船に乗って海を真っ直ぐ進んだらどうなる?」

「異国があるんでしょう? 明国とか」


 ちょっと不安そうな顔で首を傾げながら未唯が答える。まあ、自分の目で見たわけでも無い。自信を持てと言う方が無理な話だろう。


「じゃあ、そこをまた真っ直ぐ進んだらどうなると思う?」

「明国って日の本よりもずっとずっと広いんでしょう? ずう~っと歩くことになると思うわよ」

「でも、いつかは端っこに出るだろう? そうすると、その先はまた海なんじゃね? そこで船に乗って真っ直ぐに進む。またもや異国に着く。また歩く。そうやって、ずっと、ずぅ~~~っと進むとどうなると思う? みんなは答えちゃ駄目だぞ。未唯に自分で考えて欲しいんだ」


 そこで大作は言葉を区切ってニヤリと未唯に笑いかける。心の中で『わっかるかなぁ~? わっかんねぇだろうなぁ~』と呟くが決して顔には出さない。

 みんな何か言いたくてウズウズしているようだ。これ以上焦らしてもしょうがない。そろそろ答えを教えてやろうか。そう思って口を開き掛けた瞬間、未唯が機先を制するように声を上げた。


「始めにいたところに逆さまの側から帰ってくるんじゃないかしら?」

「え、えぇ~っ! 何でだ? 何でそう思うんだ?」

「だって、お天道様がそうじゃない。夕方、西に沈んだお天道様は次の朝には東から登ってくるでしょう。たぶん地べたの向こうの方は目で分からないくらいちょっとずつ下がっているんじゃないかしら。それに、もし地べたがずぅ~と続いていたらお天道様が沈む時に違って見えると思うわよ」

「そ、そうだな。未唯は賢いなぁ……」


 敗北感にうちひしがれた大作はがっくりと項垂れる。戦国時代の人間は侮り難いな。ちびっ子だと思って油断したのが敗因か。

 ちょっと知識チートでからかってやろうと思っただけなのに。こんなにあっさり地球球体説を導き出されてしまうとは思いもしなかった。


 ふと視線を感じて横を向くとお園が笑いを堪えて肩を震わせている。その表情はちょっとだけ申し訳なさそうに見えなくもない。


「ごめんね、大佐。ついこの前に私が教えてあげたのよ」

「だったら早く言えよ~! ちょっとびっくりしたじゃんか。まあ、ギリシアでは紀元前六世紀にピタゴラスが地球球体説を唱えていたそうだ。そう考えると日本が遅れ過ぎてるだけなんだけどな。まあ、良いや。気を取り直して発表しよう。俺が、俺たちが作る物。それは…… ドゥルルルルル~!」


 大作は勿体ぶった手付きでスマホを取り出すと画像を探して表示させる。


「じゃ~ん、それは地球儀でした~! ちっちゃな地球儀を作ってみようよ。きっと楽しいぞ! お前ら、さっきジャカルタやインドネシアがどこだか分からんって言ってただろ。地理の勉強にもなるし、時間潰しにもぴったりだ」

「ちきゅうぎ? それって何なの?」

「もしかして地球の儀なのかしら?」


 お園がそう言いながらタカラ○ミーのせ○せいに漢字を書く。他の面々が胡散臭そうな顔でそれを覗き込んだ。


「そうそう、その地球儀だよ。terrestrial globeだ。そのためには、まずパンタグラフ式の拡大器を作ろう。スマホの中には世界地図ソフト『PTOLEMY』で作った十二分割の舟形世界地図画像も入ってる。こいつをお留守番組で紙に拡大コピーしてくれ。あとはそれを紙風船みたいに球体にすれば完成だ」

「ぱんたぐらふ?」

「電車の屋根に付いてる集電器とは違うぞ。って言うか、最近のアレはくの字形をしてるけどな。まあ、それは俺が作ろう。みんなには地図の拡大コピーを頼むよ」

「そんな物を作って、いったい何の役に立つのかしら。異国に行くのはずっと先の話なんでしょう。いま作らなくても良いんじゃないの?」


 みんなを代表するようにお園が不満を口にする。全員が禿同といった顔で激しく頷いた。

 そんなに地球儀を作るのが嫌なんだろうか? 大作は少し斜に構えると意味深な笑みを浮かべて軽く頷く。


「そうは言うがな、お園。俺の、俺たちの目的を覚えているか?」

「もくてき? もくてきって何なの?」


 未唯が横から話に割って入る。何て空気の読めない奴なんだろう。話の腰を折られた大作はイラっとするが決して顔には出さない。


「宿便、じゃなかった、宿願? やりたいことだよ。それが何だか覚えているか?」

「えぇ~っと…… 日本アメリカ化計画じゃなかったかしら?」

「アメリカ日本化計画な。だけどそれは手段であって目的では無い。忘れんでくれ。俺の、俺たちの目的は歴史改変。これから先に起こる出来事を変えることなんだ!」

「でもね、大佐。私、前から思ってたのよ。これから先に何が起こるかなんて誰にも分からないんじゃないかしら。四百年先の世からきたって言う大佐から見れば歴史改変かも知れないわ。だけど、私たちから見たら何をやったってなるようにしかならないと思うんだけれど?」


 が~んだな。今ごろになって俺の目的を全否定かよ。大作は一瞬、ショックで頭を抱えたくなる。だが、鋼の心臓でその言葉をスルーした。


「みんなの視点では確かにそうかも知れん。でも、宿命論とか運命論って聞いたこと無いかな? カルヴァンの予定説とかさ」

「それってハイゼンベルクの不確定性原理を否定しているのかしら? ついこのあいだ、位置と運動量を同時に正確に求めることはできないって言ったじゃない。h/4πはどうなったのよ?」

「ところがどっこい、小澤の不等式っていうのがあるんだ。詳しいことは知らんけど量子もつれを利用すれば限界を突破できちゃうとか何とか。ラプラスは申された。もし宇宙の全ての原子の運動および位置が分かれば未来を完全に予測できるってな。それに、あのスティーヴン・ホーキング博士だって多世界解釈を支持しているそうだぞ。これって無限の状態が存在するけど観測することはできないってことだ。ようするに決定論じゃね? 未来は決まっていてどうやっても変えられないんだ」

「あのねえ、大佐。だったら歴史改変はできないってことじゃない」


 そう言うとお園はがっくりと肩を落とし、今まで聞いたこともないくらい深いため息をついた。


「だ~か~ら~~~! それに挑戦しようって言ってるんだよ! 文句があるんならお前らも早く自分の目的を見付けてくれ。利害が一致すれば協力は惜しまんぞ」

「はいはい、分かったわ。それで? その地球儀とやらを作ることの何が歴史改変になるのかしら?」

「嘘か本当かは知らんけど世界初の地球儀は紀元前百五十年にも遡るらしい。なんと今から千七百年も昔の話だ。現物は残っていないんだけどな。そんで、いつごろ日本に伝わったのかも良く分からん。だけどルイス・フロイスの『日本史』には織田信長が天正八年(1580)に地球儀を見たってエピソードが載ってるそうだ。大河ドラマなんかでも良く見かける話なんで恐らく本当なんだろう。俺たちはそのエピソードをぶっ壊す! 安価な紙と印刷技術が完成したら万単位で量産してタダでばら撒く。ザビエルは日本人が地球が球体だと知らないって報告書に書いたんだそうな。奴が自慢気に地球儀を見せた時、そんなの日本じゃ子供でも知ってるよって見返してやるんだ」

「ふ、ふぅ~ん。そんなに上手く行くのかしら。まあ良いわ。地球儀っていうのも見てみたいから作ってあげる。それじゃあ、さっさと借銭を返してきて頂戴。暗くなる前に戻ってくるのよ」


 お前は俺のお母さんかよ~! 大作は心の中で絶叫するが決して顔には出さない。

 にっこり微笑みながら手を振ると未唯を引き連れて鍛冶屋を後にした。


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