巻ノ百参拾伍 サプライズプレゼント の巻
東郷重治大和守の屋敷で開かれていた宴も終わりの時を迎えようとしていた。
締めに何か一曲吹いた方が良いんだろうか。大作は無線に関する曲を思い浮かべる。『緊急指令10-4・10-10』とか?
いやいや、まだ著作権が残ってるはずだ。って言うか、著作権フリーで無線の曲なんてあったっけ? どうすれバインダー!
そんな大作の悩みをまるで意に介することなく重治が口を開く。
「宴もたけなわじゃが今宵はここまでと致そうか」
「御意」
どうやらディナーミーティングは成功裏に終わったようだ。
サックスの腕を披露できないのは寂しいが次回に取っておこう。それまでに無線に関する著作権フリーの曲を探しておかなければ。大作は心の中のメモ帳に書き込んだ。
大作たちが案内された部屋は前回と同じ客間だった。今回は未唯を入れて三人だが広々した部屋なので余裕だ。
「未唯、畳を動かしてちょうだい。くっつけて三人で寝ましょうよ」
「はい、お園様」
何か知らんけどお園がいきなりリーダシップを発揮した。まあ、それで機嫌良く寝てくれるんなら何も不満は無いけど。
当然のことのように大作を中心に川の字になって寝る。二人の美少女に挟まれて寝るのも久々だ。最初は嬉しくてしょうがなかったっけ。慣れてくるとちょっと窮屈だけど。
「知ってるか? 新幹線普通車の三人掛けと二人掛け座席の中に一つだけ広い席があるって。実は三人掛けの真ん中、B席だけがほんの少し広いんだ。挟まれて窮屈なんでちょっとでもゆったりしてもらおうっていうJRの真心なんだろうな」
「ふぅ~ん」
「そんな風になったのは300系からだぞ。鉄仮面みたいな奴だ。他の席が四十三センチなのにB席だけ三センチ広い。N700系はB席は四十六センチのままだけど他の席が一センチずつ広がって四十四センチになってるぞ」
「……」
へんじがない。ただのしかばね…… いやいや、二人とも寝ちゃったようだ。ここからが面白いのに。
まあ、良いや。山ヶ野への帰り道で聞かせてやろう。大作も夜着を頭からすっぽり被るとすぐに深い眠りについた。
気が付くと目の前が真っ白だった。
何じゃこりゃあ! ダブルヘッダーなんてありなのか? 慌てて振り返ると萌が突っ立っていた。
苦虫を噛み潰したような顔で腕組みをする萌はとっても不機嫌そうだ。切れ長の瞳がちょっと吊り上がっている。
「ちょっと、あんた! これはどういうことなのかしら? 説明しなさいよ!」
「俺に言われても知らんがな~! それはそうとルテニウムは手に入ったのか?」
「無茶を言わないでちょうだい。たったの六時間でどうしろって言うの? 垂直磁気記録のHDDなんて無い時代なのよ。だからルテニウムの需要なんてほとんど無いわ。そもそも市場が存在しないの。Do you understand?」
その言い方はちょっと失礼なんじゃね? 大作は心の中で突っ込む。いやいや、萌のことだから分かっていてわざと使ってるんだろうけど。
「この時代のルテニウムなんてオスミウムと合金にして万年筆のペン先にするくらいしか使い道がないのよ。奴は白金族の中では一番の小物。第五周期の面汚しめ。とか言われてるんじゃないかしら? もういっそ、北海道の天塩川か石狩川に行って自分で採ったら良いんじゃないの?」
「そっちこそ無茶言うなよ。アレの融点は二千五百度だぞ。しかも白金の五十分の一くらいしか無いんだ。そんな物を戦国時代でどうやって精錬しろって? さぱ~り分からんぞ」
「まあ、気長に待っててくれるかしら。そのうち手に入れてあげるわよ」
言いたいことを全部吐き出したからだろうか。萌の表情が少しだけ和らいだ。
さすがの大作もあんな物が一日で手に入るとは思ってはいない。それで納得するしか無さそうだ。後は適当に無駄話で時間を潰すとしよう。
とは言え、昨日の今日で新しい話題も無いような。大作はここ数時間の記憶を辿るが……
「アッー! 思い出した。昨日、何で最後にキスなんてしたんだ?」
「あんた、何を急にわけの分からないこと言ってるのよ? って言うか、キスなんてただの挨拶じゃない。フランスとかロシアじゃ珍しくも無いわ。それにチンパンジーやボノボ、牛ですらキスするんだから」
余裕の笑みを浮かべた萌はさらりと受け流す。その言い方は前に大作がお園に使った物と寸分違わない。って言うか、大作の方が萌の受け売りだったのだ。
「まあ、親しき仲にも礼儀ありだよな。お前とは幼稚園以来の付き合いだけど挨拶はちゃんとしなきゃならんか。挨拶は社会人の基本中の基本だもんな」
「そうね。TPOを考えて。独り静かで豊かで…… ところであんた、これから先はどうするつもり? 島津のチート四兄弟や命知らずのバーサーカー軍団を相手にどんな風に戦う気なの?」
「聞きたいか? 知らざあ言って聞かせやしょう! って言っても、具体的な計画はまだ無いんだけどな。高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになろうかと思うぞ」
「要するに行き当たりばったりとういうことじゃない……」
ちゃんとお約束のセリフが返って来る。さすがは萌。相手に取って不足無しだ。
この機会に真面目に相談してみるのも悪くないかも知れん。意外と萌から良いアイディアを貰えたりして。
大作は頭の中のクラッチを切るとスロットルを全開にしてギアを一段シフトダウンする。その途端、一気に視界が狭まったような気がした。
やっぱマニュアル車は良いな。AT車だとこうは行かんぞ。それかもう10式戦車みたいにハイドロメカニカル式無段変速機(HMT)を導入しちゃうかだな。
あれは凄いぞ。あらゆる回転域で最適な変速比が得られるから伝達効率が画期的に向上しているんだ。10式戦車のHMTは三速の有段変速と油圧式無段変速を組み合わせているそうな。
エンジン出力は下がってるのに伝達効率の画期的な改善でそれを補っている。だから重量当たりのスプロケット出力が格段に向上しているんだとか。
だったらもう、いっそのこと……
「もしもし? 聞いてるの? もしも~し!」
「うわらば! びっくりした、萌か」
「萌かじゃ無いわよ。急に黙り込んでどうしたの?」
「それはだな…… 急に話しかけるから忘れちゃったじゃんかよ~! え~っと、どうやって島津と戦うかだっけ?」
大作の頭はフル回転しているというのに何一つマトモなアイディアが出てこない。って言うか、真剣に考える気力が湧いてこないのだ。
だって、史実でも島津は三州統一にすら物凄く苦労している。渋谷三氏や相良を倒すのに二十年も掛かっているのだ。そこへきて金山の莫大な資金で鉄砲、水軍、ジエチルエーテルを投入すれば負ける筈が無い。
とは言え、何かもっともらしいことを話さなきゃ馬鹿だと思われる。まあ、どうせ馬鹿だと思われてるんだろうけど。
大作は萌の顔を上目遣いで見ながら無い知恵を絞って話し始める。
「アレだな、アレ。ぶっちゃけ島津って過大評価されてるんじゃないかと思うんだ。たぶん真田の場合と同じなんだろう。ライバルが強かったって方が徳川にとっても都合良かったんじゃね? あと、明治維新で薩長が勝ったってのもあるな」
「まあ、若干盛られてるのは否定できないわね。それに四兄弟だって本当に仲良かったのか眉唾だわ。実際、秀吉に負けそうになった途端、バラバラになりかけてるし。和睦の後に秀吉の駕籠に弓を射るなんて馬鹿じゃ無いかしら。下手したらあそこで潰されてたわよ」
「それって宮城…… じゃ無かった、宮城事件で近衛第一師団長の森赳中将を殺害した畑中少佐みたいだな。いやいや、全然違うな。エーリッヒ・ハルトマンの三百五十二機目の撃墜? アレも終戦ギリギリ直前か。そうだ! 宇垣中将の特攻とか?」
「それだって正式な降伏より前よ。ミズーリ号の調印式は九月二日だもの。それはともかく戦国最強はやっぱり本多忠勝とか立花宗茂で良いんじゃないの?」
こんな非生産的な議論は萌も真っ平なんだろうか。適当な妥協案で幕引きを図りたいようだ。それに乗っかろうと大作もそれっぽい言い逃れを模索する。
そもそもスポーツをやってるわけじゃ無いんだ。ルールを決めたり条件を揃えないと公平な比較なんてしようが無い。そうだ、閃いた!
「結局のところ、こういうのは条件設定次第でどうとでもなるんだよな。大和vsアイオワとかさ。第二次大戦最強戦闘機の話を覚えているか?」
「あんた彩雲夜戦型とか言ってたわよね。三人掛かりで索敵すれば単座機より先に敵を発見できる。とか何とか」
「そうそう、航空戦闘なんてのは先に敵を見つけて死角から不意打ちを食らわせた者が勝ちだからな。もし、運悪く先に見つけられても足が早いから簡単には追い付かれん。しかも後ろ向きの機銃まで付いてるだろ」
「でも、あれって斜銃を積むのに真ん中の座席を潰してるように見えるわよ。後方機銃も積んで無いみたいだし」
大作の浅知恵を萌は一刀両断に切り捨てる。こういう時の突っ込みの厳しさに関しては本当に情け容赦がない。
「まあ、しょうがないからそこは多めに見てあげるわ。それで、もし相手も夜間戦闘機だったらどうする気なの? イギリス軍の機上レーダーはかなり手強いわよ」
萌の目付きは出来の悪い子を見る母親のようだ。何が悲しゅうて飛車角落ちみたいな接待プレイで議論をせねばならんのだろう。大作は頭を抱えたくなる。だが、自分から振った話なので相手をするしか無い。
「当時の機上レーダーなんて大した性能じゃ無いだろ。その割に凄く重いから速度は落ちる。だから後ろから不意打ちを食らう可能性は小さい。こっちも暗視ホルモンとか注射すれば一方的にやられる心配は無いんじゃね?」
「あんたがそう思うんならそうなんでしょう。あんたの中ではね」
深いため息をつきながら萌が決めゼリフを口にする。その顔は心底から話を打ち切りたくてしょうがないようだ。
「まあ、アレだな。話を島津に戻そうか。三十年以上も掛かって九州統一すらできん奴らが戦国最強の筈が無い。世の中は結果がすべてなんだ。島津など恐るに足らず。don't worry!」
「恐るる、よ」
そう言ったきり、萌は黙り込んでしまった。二人の間に漂う重苦しい沈黙が辛い。昨日の今日なんで話題がさぱ~り無いのだ。
こうなったらもうやけくそだ。座して死を待つより打って出ろ! Go For Broke!!
「萌! もし、島津を倒せたら……」
「どうしたの、急に? 島津を倒せたら?」
「俺と結婚してくれ!」
「え、え~~~!!!」
その瞬間、大作の両脇腹に激しい痛みが走る。唐突に夢から覚めるとお園と未唯の肘鉄が左右から突き刺さっていた。
第九話『瞬間、心、重ねて』の二点同時加重攻撃かよ! いや、過重? 荷重? 分からん、さぱ~り分からん!
もう、こいつらに挟まれて寝るのは絶対に嫌だ。絶対にだ! 大作は心の中のメモ帳に黒地に白の極太明朝体で書き込んだ。
「大佐、そろそろ起きて。朝餉の支度ができたそうよ」
お園に揺さぶられて大作が目を開けると二人が枕元で覗き込むように並んでいた。
「う~ん。おはよう、二人とも凄い寝相だったな。おかげで酷い目にあったぞ」
「大佐こそ大層な寝言だったわよ」
「そうだったんだ。ごめんごめん、今日のところは引き分けってことにしとこうか」
「しょうがないわね~」
結婚云々の話は聞かれていなかったようだ。大作はほっと胸を撫で下ろした。
朝食は昨晩の残り物みたいな焼き魚だった。本当に残り物なんだろうか。冷蔵庫の無い時代にこれはヤバいんじゃね?
大作は不安で胸が一杯になるが食べないわけにもいかない。匂いを嗅いでみるが良く分からない。
まあ、良いや。今日は死ぬには良い日だ。大作は捨て鉢気味の覚悟を決めると焼き魚を頬張った。
「大和守様。焼き魚、美味しゅうございました。拙僧はもう走れません。本日はこれにてお暇させて頂きます」
虎居までは二十キロ近い。のんびりしている暇は無いのでとっととお別れの挨拶を済ませる。別れの曲も省略だ。
それは重治も予想していたらしい。鷹揚に頷くと扇子を片手に小姓に顔を向ける。
「左様であるか。硫酸、変圧器、水銀コヒーラ、空中線じゃったな。余一郎、万事任せたぞ」
「御意」
相変わらず返事だけは良いけど大丈夫なんだろうか。まあ、知ったこっちゃ無いや。大作は考えるのを止めた。
余一郎に見送られて川岸へ向かうと昨日に乗ったのと同じような船…… じゃなかった、舟が待っていた。
「殿の心尽くしにございます。虎居までで宜しゅうございますな?」
「何から何までお世話になりまする。岩見守様に宜しくお伝え下さりませ。そうそう、硫酸は真に危のうござります故、くれぐれもご用心下さりませ」
「相、分かり申しました」
大作はお園と未唯が舟に乗るのに手を貸す。最後に自分も舟に飛び乗ると余一郎に向き直って深々と頭を下げた。お園と未唯もシンクロする。
船頭が艪を漕ぎだすと舟がゆっくりと岸を離れて行く。
「しからばこれにて失礼仕りまする」
「そう申さば三間半の長槍も次にお会いするまでに誂えておきましょう」
「いやいや、槍なんて鉄砲の前では過去の遺物にござりまする…… て、て、鉄砲? 忘れてた~~~!」
平身低頭で船頭に頼み込んで岸に戻って貰う。大作はバックパックから油紙の包みと石鹸の出来損ないを取り出すと余一郎に手渡した。
「余一郎様。この包みを大和守様にお届け下さりませ。これは良い物にござります」
「は、はぁ? 中には何が入っておりましょうや?」
「それは開けてのお楽しみ。サプライズプレゼントにござります。何がでるかな~ 何がでるかな~ 楽しみでござりますな。しからば、今度こそこれにて。 Adios! Hasta luego.」
大作は逃げるように舟に飛び乗ると船頭を急き立てて川を遡って行った。
緩やかに流れる川内川をのんびりと舟が遡る。暇を持て余した大作はスマホを弄って時間を潰した。
「しまったな~ 今日は西暦で六月十二日の木曜日だったぞ。旧暦だと五月二十七日だな」
「どういうこと? 二日前にもそう言わなかったかしら」
「日記帳を見ていて気が付いたんだ。途中で数え間違たっぽい。大殿の御前で鉄砲を試し打ちした日と蒲生城に泊めて頂いた日、それぞれ二重に数えてたんだ。前に幹部会をやった時点ですでに勘違いしてたらしいな」
「ふぅ~ん。今日が木曜日だとしたら急いで帰らなくても良くなったわね。明日と明後日は虎居で何かしましょうよ。藤吉郎と菖蒲…… じゃなかった菖蒲たちは息災かしら」
そう言うと、お園が悪戯っぽい笑顔を浮かべる。どうやらこのギャグが気に入ったらしい。
「とりあえず青左衛門を訪ねてみよう。今回の入来院と東郷で新たに発生した課題を押し付けるんだ。どんなことがあったっけ、未唯?」
「え、えぇ~っと…… 忘れちゃった!」
悪びれることなく照れ笑いする未唯。大作はコントのように大袈裟にズッコケる。
「あのなぁ~! お前は連絡将校だぞ。しっかりしてくれよ」
「だって大佐のお話はとっても難しいんだもの。私、これっぽっちも分からないわ」
開き直りかよ! こいつ、思っていたより全然役に立たないな。大作は心の中で毒づく。とは言え、自分でも良く覚えていないんだからあまり強くも責められない。
まあ、どうでも良いや。こいつがいるお陰で忘れちゃった責任を押し付けられるんだし。
Let's positive thinking! 大作は考えるのを止めた。
薄曇りの空に薄っすら見える太陽が真上に昇るころ、舟は虎居に辿り着く。時計を見ると四時間ほど掛かっていた。
大作たちは船頭に深々と頭を下げて何度も礼を言う。
「これは僅かですが、心ばかりのお礼にござります。とっておいて下さりませ」
例の決めゼリフを言いながら懐から金塊を取り出して手渡す。
船頭は一瞬、目を丸くして驚く。だが、すぐに我に返ると金塊を付き返してきた。
「いやいや、此度お坊様方をお送りせしは殿の命にござります。斯様なお心づかいは無用にて」
当時の日本にはチップの習慣は無かったんだろうか。頑として受け取る気は無いようだ。
面倒臭いやっちゃな~! 大作は心の中で絶叫する。しかし、決して顔には出さない。
「船頭殿、これは慈善の施しでございませぬ。将来を見据えた必要な投資にございます。マイクロクレジットという言葉を聞いたことはございませぬか? バングラデシュのグラミン銀行が起源と申しますが、実は二宮尊徳の五常講の方が早うございますな」
「まいくろくれじっと?」
怪訝な顔で船頭が鸚鵡返しする。効いてる効いてる。こっちのペースだ。大作は一人ほくそ笑む。
「これで舟を買ってレンタルビジネスを起業してみては如何にござりましょう。儲けが出れば配当をお支払い下さりませ」
「へ、へぇ……」
「期待しておりますぞ。しからばこれにて」
船頭が途方に暮れたような顔をしているが長居は無用だ。大作は深々と頭を下げると逃げるようにその場を後にした。
「とりあえず材木屋ハウス(虎居)へ行ってみましょうよ。藤吉郎と菖蒲がいるかも知れないわ」
そう言うとお園が堪え切れないといった様子で肩を震わせて笑う。未唯も一緒になってお腹を抱えて笑い出す。
何でこんなネタがそこまで面白いんだろう。本人の前でポロっと口に出さなきゃ良いけど。大作はちょっと心配になるが空気を読んで曖昧な笑みを浮かべる。
「菖蒲は元気かしら。ねぇ、大佐?」
「元気なんじゃね? たったの二日しか経ってないし」
「つまんないわ、大佐。ボケてばっかりじゃなく、ちゃんと突っ込んでよ」
お園が不満そうにぷぅ~っと頬を膨らませて口を尖らせる。大作はいつものように人差し指でそれを突っつく。
「若い娘が突っ込んでなんて言うもんじゃないぞ。はしたない」
「そんなつもりで言ったんじゃないわよ~! もう、大佐ったら。せくはらよ!」
キャッキャウフフと仲良くいちゃつく大作とお園。その後ろを少し遅れて付いて行く未唯が覚めた目で見つめていた。




