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木村クリスはこの場に集まった部員たちに呼びかける。
「最初は自己紹介。俺は三年二組の木村クリス。部長を務めている。得意な占いは水晶占い」
次に木村の回りにいた四人の部員たちが一歩前に出る。
「僕は副部長の火野相馬。部長と同じ三年二組に所属している。得意な占いは手相占い」
「私は二年一組の金森月夜。夢占いが得意です」
「私は二年二組の堂本瑞樹。動物占いがマイブームよ」
「僕は二年三組の土田明介。姓名判断が得意です」
次に自己紹介するのは占い同好会の顧問だ。
「私は占い同好会の顧問を三年間務めている成瀬隆司です。よろしくお願いします」
「私は南野朱里です。初めての顧問で緊張しています」
顧問の自己紹介が終わり、三人の新入部員たちの順番がやってきた。
「有安虎太郎です。最近占いに興味を抱いたので入部希望しました」
「私は倉崎優香です。占いが好きだから入部しました」
「氷川希です。タロット占いを少し勉強したことがあります」
十人の自己紹介が終わると木村クリスはオリエンテーションを始める。
「俺たちの占い同好会の活動内容は二週間に一回三年一組に集まって得意な占いを行う。文化祭で占いを出店として出品する。その前にこの場にいる十人で親睦を深める合宿を行います。合宿の会場は恒例の浦内館。この館は俺の父が所有する無人島浦内島にある。合宿の日程だが四月二十七日の午前八時大分港に停泊しているクルーザー船で浦内島に向かう。それから二泊三日の合宿が始まるわけです。部屋割りは当日発表。服装は制服にしてください。ということで四月二十七日は午前七時三十分に大分港に集合です」
木村クリスの説明が終わり、占い同好会の部員たちは解散した。
それから四月二十七日になるまで占い同好会の集まりはなかった。密に浦内島の浦内館を舞台にした連続殺人劇の準備が進められていることを部員たちは知らない。
四月二十六日。亡霊風水と名乗る犯人は連続殺人の準備を進める。
まず亡霊風水は、あの人物から送られてきた犯罪計画書を読み込む。机の上には一人の女子高生の写真。黒色の長髪。服装が天王州高校の物であることから、写真の女子高生が天王洲高校の生徒であることが分かる。
その近くの壁には浦内館の見取り図が貼ってある。
「大丈夫。先週の土曜日に仕掛けをした。だから明日仕掛けを完璧に仕上げれば必ず連続殺人が成功する。必ずあいつらを地獄に連れて行ってやるから」
復讐心に燃える一言を呟いた犯人は写真の女子高生が犯人に伝えた言葉を思い出す。
ある冬の日。その言葉は田ノ浦海岸で伝えられた。
「ありがとう……」
その言葉を思い出し亡霊風水の殺意は強まっていく。犯人の夜は長い。




