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占い同好会による面接は奇妙だった。面接を受けた入部希望者たちが激怒して退室していく。
それは田辺秀一も同じだった。
「あんな同好会。入ってやらない」
田辺は怒りながら昇降口に向かう。
それから一分後三つ編みの女子高生が三年一組の教室から退室して、有安虎太郎と倉崎優香に声をかける。
「あの。次をどうぞ」
「順番か。優香。先に行ってくれ」
「うん。分かった」
倉崎優香が面接会場となって教室に入室すると、有安虎太郎は三つ編みの女子高生に聞く。
「そういえば君は怒っていないな。他の入部希望者は怒っているのに」
「失礼なことを言われたからだと思うよ。他の入部希望者は南野先生目当てというのがバレバレだから」
「仲良さそうに話しているね」
有安虎太郎の耳に届いた声は倉崎優香の物だった。
「優香。まだ一分も経過していないだろう」
「三十秒で終わったよ。結果は合格だって。これが証拠」
倉崎優香は面接終了後に渡された一枚の紙を有安虎太郎に見せる。そこにはワープロの文字で『占い同好会入部を許可する。本日午後五時再び三年一組の教室へ集まるように』と書かれていた。
「その紙だったら私も貰ったよ。もしかしたら南野先生目当ての男子高校生たちは貰っていないのかもしれないね」
それから有安虎太郎は三年一組の教室へ入る。
「失礼します」
有安虎太郎がかしこまって挨拶する。教壇の前に並べられた五つの椅子には五人の占い同好会部員たちが座っている。その前に椅子が置かれており、虎太郎はその椅子に座ろうとする。
だがその時部長の木村クリスが拍手した。
「合格だ。君からはスピリチュアルなオーラを感じます。君と教室の廊下で残っている二人の女子は同じスピリチュアルなオーラを持っている。残りの四十七人はただの凡人。そんな奴に興味ない。早速だけどオリエンテーションを始めるから、教室の廊下にいる二人と一緒に顧問の成瀬先生と南野先生を呼んできてくださいよ。俺たちは面接の後片付けをするから」
火野相馬から倉崎優香たちが貰った紙と同じ物を受け取った有安虎太郎は退室する。
そして虎太郎は二人に紙を見せながら部長からの指示を伝える。
「オリエンテーション始めるから成瀬先生と南野先生を呼びに行けだとさ」
三人は職員室に向かう。その道中有安虎太郎は三つ編みの女子高生へ聞く。
「ところで名前を教えてくれないか。これから占い同好会メンバーとして仲良くするからな。俺の名前は有安虎太郎。一年三組に所属している。それで俺の隣にいるのは倉崎優香。俺と同じクラスに所属している幼馴染だ」
倉崎が一礼すると三つ編みの女子高生は自己紹介を始める。
「私は一年二組の氷川希。よろしくお願いします」
自己紹介を済ませた三人が顧問の成瀬先生と南野先生を三年一組の教室へ連れていく。




