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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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 遊戯室には倉崎たちを含んだ六人が机の回りに集まっていた。

「大変だ。火野先輩が殺害された。火野先輩は缶ジュースを握りつぶしていた。そこでこの場にいる八人に質問する。この中に火野先輩の部屋に行った人はいるのか」

 その有安からの質問に全員が首を横に振る。

「なるほど。これで第二の殺人事件は不可能犯罪だと分かった。あの時火野先輩は俺の目の前で八本の缶ジュースを買った。つまり予め缶ジュースに毒物を混入させることは不可能。そして火野先輩が殺害された時刻、俺たちには全員アリバイがある。そして俺たち八人は火野先輩の部屋を訪問していないから、毒物を混入させた缶ジュースと普通の缶ジュースをすり替えることもできない。だから不可能犯罪だ」

「別に不可能ではないでしょう。外部犯ならいくらでも缶ジュースをすり替えることもできるはずですし」

 土田の指摘を受け有安は首を横に振る。

「外部犯だとしても不可能犯罪。一号室から五号室まで。全ての部屋を探させてもらったが、外部犯は見つからなかった。さらにこの館の構造は特殊で、男性陣が女性陣の部屋を行き来するためには、食堂の扉から右側に続く廊下を経由して、この階段を降るしか方法がない。死角となる女性陣が過ごすエリアに逃げようにも、壁で仕切られているから、逃げられない。必ずあの階段を降りなければ逃げることができない。木村先輩と火野先輩を殺害した犯人が外部の人間だとすれば、消えた犯人の謎を解明しなければならない」

 有安虎太郎は推理を話しながら、火野の部屋に落ちていた手紙をこの場にいる人たちに見せる。

「この未開封の封筒が火野先輩の部屋に落ちていました。おそらく亡霊風水と名乗る犯人からのメッセージでしょう」

 有安はその封筒を開封して、中に入っている犯人からのメッセージを読む。

「二人目の罪人。火野相馬。親しき人の自殺という悪夢に魘され罰を受けろ。亡霊風水」

 悪夢と聞き土田と成瀬が金森月夜の顔を見る。

「金森君。まさか君が犯人なのかね」

 金森月夜は首を横に振る。

「違いますよ。私は犯人ではありません。でもそのメッセージは気になりますね。親しき人の自殺という悪夢は、その人のことを快く思っていないことの表れですから。形岡さんと火野先輩は親しかったでしょう。でも裏では快く思っていなかったのかもしれませんし。彼女が自殺する直前火野先輩と形岡さんは喧嘩しましたよね。その喧嘩が自殺の原因なのかもしれません。それに……」

「でもこのメッセージは金森さんしか書けませんよね」

 土田の意見を聞き有安が否定する。

「違う。そのメッセージは調べたらすぐに分かることです。スマートフォンで調べたらすぐに分かる。金森先輩。何を言おうとしたのですか」

「一年前この浦内館で方岡さんを占いました。その時形岡さんが打ち明けたのが親しき人の自殺だったんです。このことは新入部員たちと南野先輩以外の人でこの場にいる人は全員知っていること」

「内部犯の可能性が高くなったということか。外部犯にそのメッセージは書けない」

 有安の推理を聞き南野が言葉を続ける。

「もっとも外部犯とこの場にいる人間。もしくは退部した部員たちと繋がりがあったとしたら、外部犯説も捨てられないけれど」


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