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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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 その時女性陣が調理場に到着する。そして女性陣は木村クリスの遺体を前にして悲鳴を上げる。

 現在館にいる八人が集まったことを確認した有安は全員に聞く。

「皆さんに聞く。遊戯室での占いの練習。その間に五分間にインターバルがあったが、その時間に遊戯室を退室した人は手を挙げてほしい」

 堂本瑞樹。火野相馬。金森月夜。土田明介。氷川希。成瀬隆司。以上の六人が手を挙げる。

 まず堂本瑞樹が説明する。

「私が遊戯室に出たのは午前十時時四十分 からの休憩時間。その時はトイレに行った。不幸にもその時女子トイレにいたのは私だけだから証人はいないけど」

二番目に火野相馬が話す。

「俺は午前十一時二十分の休憩時間にトイレに行った。俺も一人だったから堂本のように証人もいない」

 三番目の話したのは金森月夜。

「私は午前十一時の休憩時間に自分の部屋に戻りました。気分を変えるために新しいボールペンを手に入れたくて」

金森は言いながら有安にボールペンを見せる。そのペンは有安を占った時のボールペンとは違い、花柄だった。

 四番目は土田明介が話す。

「僕は午前十一時二十分の休憩時間を使って館内を散歩していましたよ。気分転換です。誰にも会いませんでしたが」

 五番目は氷川希が話す。

「私は午前十時二十分の休憩時間を使って自分の部屋に置いていたタロットカードを取りに戻りました。誰とも会わなかったので証人はいません」

 最後は成瀬隆司が話した。

「私は午前十一時の休憩時間にトイレに行った。もちろん証人はいない」

 アリバイがない六人の話を聞き有安がまとめる。

「なるほど。この六人が遊戯室を退室した時間は正しい。それは鉄壁のアリバイがある俺と優香、南野先生が証明できるだろう。そして木村部長は午前十一時二十分の休憩時間に遊戯室を退室した」

「つまり犯人は午前十一時二十分の休憩時間に遊戯室を退室した火野先輩か土田君のどちらかということですか」

 

 倉崎の推理を聞き有安は首を横に振る。

「そうとも限らない。遠隔殺人トリックが仕掛けられていたとしたら、必ずしも午前十一時二十分に遊戯室を退室する必要がない。予めトリックが仕掛けられていたと仮定すれば、鉄壁のアリバイがある者もアリバイがないものも犯行可能。つまり犯人はこの九人の中にいるかもしれないということだ。外部犯説も捨てきれないが」

有安の推理を聞きながら金森が状況を指摘する。

「亡霊風水で思い出したけど、木村部長を殺したのは形岡美鈴さんですよね。彼女の風水占いは運気がアップすることで有名だから」

 金森の言葉を聞き成瀬がそれを否定する。

「それはおかしい。形岡さんは一年前自殺したじゃないか。生きているはずがないだろう」

「でも亡霊風水という名前が気になるな。風水占いで有名だった形岡さんが亡霊になって生き帰ったみたいだよね。このネーミングは」

 堂本が形岡美鈴の亡霊が犯人ではないかと推理すると、突然火野が脅えだした。

「違う。あいつは本当に死んだ。俺は殺していない」

 火野は脅えながら自分の部屋まで走る。そして彼は自分の部屋に籠る。


 火野は島に持ち込んだクーラーボックスから缶ジュースを取り出す。

「違う。俺は殺していない。悪いのは木村部長だ」

 火野は缶ジュースのプルタブを開けジュースを飲む。

 炭酸系のジュースが火野の喉を潤した時、彼に異変が起きた。

 突然襲う呼吸困難。火野は思わず缶ジュースを握りつぶした。

「毒か。馬鹿な」

 火野は最後の力を振り絞り、個室のドアを開ける。そして部屋から出ようとした時、彼の心臓が止まった。


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