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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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 午前十一時四十分。結局木村クリスは遊戯室に現れなかった。この頃木村クリスが殺害されたことを、犯人以外は知る術がなかった。


 午前十一時四十二分。九人はそのまま食堂に移動する。これから九人は食堂に設置されて机で占いの感想を伝え合うはずだった。

 九人が適当に椅子に座ると十人分用意された机にそれぞれ一枚の紙が置かれているのが分かった。

 九人は裏返しにされた紙を表にする。そこに書かれていたことを読み、九人は驚愕を露わにする。

『我は一年前お前たちに殺された亡霊である。三人の命を奪うために蘇った。まずは一人目。木村クリスを処刑する。亡霊風水』

 ワープロで書かれたそれは犯行声明文だった。

「ねえ。木村先輩の姿が見えないよね。もしかしたら亡霊風水と名乗る犯人に殺されいるかもよ」

 堂本瑞樹が脅えながら呟くと、成瀬が賛同した。

「そうだ。木村君を探しに行こう。男性陣は木村君の個室に向かって、女性陣は浴室の方向を探してくれ」

 九人は二手に分かれて木村クリスを探す。


 木村クリスの部屋に向かった男性陣。そんな中、土田が階段の前に立ち止まる。

「どうした。土田」

「火野先輩。調理場の方向を見てください」

 四人は調理場の方向を見る。その窓からはワープロで書かれた新たなるメッセージが見える。

『最初の罪人。木村クリスは密室で息絶える。亡霊風水』

「ふざけるな」

 火野は怒りながら調理場のドアノブを回す。だがドアが開くことはなかった。

 仕方なく火野はドアにタックルして、無理矢理ドアを開けさせる。

 難なくドアが開き、男性陣は調理場に入る。

 そこで男性陣が目撃したのは、メッセージの近くでうつ伏せの状態に倒れていた木村クリスだった。


「マジかよ」

 火野は気が動転して木村クリスの体に触れる。だがその体は脈を打っておらず、冷たいものだった。


木村クリスは密室で絶命していた。


その遺体は殴られたような跡もなく、注射痕もない。眠っているかのように損傷が見られないものだった。遺体の近くには万年筆とメモ用紙、鍵が落ちている。そのメモには何も書かれていない。


 一方土田はメッセージを壁から剥がし、再びメッセージを読む。

「最初の罪人。木村クリスは密室で息絶える。亡霊風水。確かにこの調理場は密室だったから、亡霊風水が密室殺人を行ったということになりますね」

「それだけではない。不可能犯罪ではないか」

 有安虎太郎が口を開き、残りの男性陣が注目する。

「死亡推定時刻や死因にもよるけど、俺たち九人には全員一緒に行動していたというアリバイがある。ただし五分間の休憩時間中に遊戯室を退室した人が何らかのトリックを使って木村部長を殺害した場合は、アリバイがない人間も出てくる。一応確認するが、鍵は一つしかないのか」

「そうだ。合鍵はない。だからこれは密室殺人と言える。って君は何者だ。とても普通の高校生に見えないが。普通の高校生は遺体を前にして冷静な推理ができないだろう」

 成瀬からの問いに有安は真顔で答える。

「父さんを殺した犯人を逮捕するために、犯罪捜査の勉強を行っている。最終的な進路希望調査には、警察官と書くが」


「有安君。忘れていないか。休憩時間の時に私たちは一回以上遊戯室を出ている。その間に何かしらのトリックを仕掛ければ、私たちでも殺せるのではないか」

「それもそうだな。一度アリバイを聞く必要がある」


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