表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
13/24

13

 午前十時五分。席順が決まり、占い同好会の実戦形式の練習が始まる。

 有安虎太郎は九番の席に座る。その前にある四番の席には金森月夜が座る。金森はノートを開き、ハート形のアクセサリーが取り付けられたボールペンを右手で握る。

「有安君。よろしくお願いします」

 有安と金森が握手を交わすと、金森は早速占いを始める。

「有安君は昨日どんな夢を見ましたか」

「料理中にお皿を割る。簡単に言えばそんな夢でした」

 金森は有安の言葉を聞きながらキーワードをノートに書き込む。

「もう少し詳しく聞きます。お皿は故意に割りましたか」

「いいえ。突然割れました」

「次に料理は食べきれないほどできましたか」

「一人前でした」

「それでは料理は何を作っていたのでしょうか」

「ハンバーグです」

「ハンバーグは黒焦げになりましたか」

「いいえ。おいしく焼けました」

「分かりました。計画通りに物事が上手くいっているが、何の前触れもなく物事が急変する。だから冷静にこれから起こることに対処する必要がある。これが有安君の占いの結果です」

 

 金森は占いの結果を伝えると、その結果をノートに記録する。有安が周囲を見渡すと、木村クリス以外の二年生と三年生は金森と同じボールペンを持ってノートに占いの結果を書き込んでいた。

「お揃いだな。木村部長以外の四人の先輩は全員同じボールペンを持っているだろう」

「あれは占い同好会メンバーの証として作ったオリジナルデザインのボールペンです。あれを作ろうと言い出したのは、ある人で成瀬先生と木村部長も持っています。まあ木村部長は、そのボールペンを使わないみたいですけど」

 午前十一時二十分。木村クリスは遊戯室から出ていき、調理場に籠る。そこで彼は昼食に使う食材を冷蔵庫から取り出した。

 それ以降木村クリスは九人と会うことがなかった。

 午前十一時二十五分。五回目の占いロールプレイが始まった。だがそこに木村クリスの姿がない。

 そのことに火野が激怒する。

「木村。練習に遅刻するとは何様のつもりだ」

「火野先輩。落ち着いてください。きっとトイレに籠っているんですよ」

 土田が宥めるように言うと火野は首を横に振る。

「それはない。さっきの休憩の時にトイレに行ったけど木村はいなかった。洋式トイレのドアが全て開いていたから間違いない」

 火野の言葉を聞き土田は何も言えなくなった。それを見計らった成瀬は手を挙げる。

「木村君は遅れてくるはずだ。彼の占いに対する情熱は誰にも負けない。だから練習をサボるはずがない。有安君は八番の席に座って待機してください」

 有安虎太郎は成瀬の指示に従い八番の席に座り、遊戯室内で他の占い師による占いを見学する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ