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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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 四月二十七日。午前七時四十分。有安虎太郎と倉崎優香は大分港にいた。

 その近くには相変わらずスーツ姿の顧問教師の成瀬隆司がスポーツバッグを担いで立っている。

 土田明介。金森月夜。堂本瑞樹。氷川希。南野朱里。この五人が港に集結すると、火野相馬がクーラーボックスと旅行鞄を担いで現れる。

「結構早いな。集合時間は午前八時のはずだが」

「火野先輩。そのクーラーボックスに入っているのは何ですか」

 有安虎太郎からの質問に火野は笑いながら答える。

「空だよ。これから自動販売機でキンキンに冷えた炭酸系オレンジジュースを買おうと思ってね」

 火野は有安の目の前で八本の缶ジュースを自動販売機で購入する。そしてその缶ジュースをクーラーボックスの中に入れた。

 南野朱里が腕時計を見た。

「最後は部長の木村クリス君だけですね。成瀬先生。木村君はいつも最後に来るのですか」

「そうだ。毎回のお約束という奴だな」

「それとクルーズ船は誰が運転するのでしょう」

「木村君の執事だ。執事が浦内島まで送って、二日後の朝に迎えに来るらしい」

 それから数分後、九人のいる大分港に一隻のクルーズ船が停泊する。


 その船から木村クリスが顔を出した。

「全員揃っているようですね。皆さん。この船に乗ってください」

 木村クリスに促され九人は船に乗る。全員が乗り込んだことを確認すると船が動き出す。

 船内では木村クリスが九人に部屋割りを配った。

「これが部屋割りです。一人一部屋。全員二階の部屋にしました。浦内館に着いたら案内します」

 有安虎太郎は部屋割りが書かれた紙を見る。

 火野相馬は缶ジュースをクーラーボックスから取り出し、親指で飲み口を押さえ人差し指でプルタブを起こした。そうして開けられた炭酸オレンジジュースを火野が一口飲む。その様子を有安は横目で見ていた。


一号室。木村クリス。

二号室。火野相馬。

三号室。土田明介

四号室。成瀬隆司

五号室。有安虎太郎

六号室。堂本瑞樹。

七号室。金森月夜。

八号室。南野朱里。

九号室。倉崎優香。

十号室。氷川希。

     

 クルーズ船は三十分で浦内島の港に停泊する。

 東京ドーム一個分の広さがある島は森で覆われている。この無人島。浦内島には浦内館と呼ばれる洋館しか建っていない。

 十人の占い同好会親睦合宿の参加者がクルーズ船を降りる。するとクルーズ船は大分港に寄港するため動き出した。

 クルーズ船は二日後の朝に戻ってくる。十人の中に紛れ込んだ犯人は浦内館に向かう道中で考える。

(これでこの島は絶海の孤島になった。次はあの仕掛けを使って完全に邪魔を排除する)

 犯人は心の中で笑みを浮かべながら、惨劇の舞台となる浦内館に向かう。惨劇の被害者たちと共に。


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