表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

互いに依存し合う二人

作者: 璢音

ふと恋愛依存症というものが気になり、調べていたら出来た作品。相変わらずの駄文ですが、少しでも雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。


愛してるのに好きとまでしか言えない二人。

歳上の彼と、歳下の彼女。

二人は互いに依存しあっている…。

いつも見ていた今日の占いで最下位。何かが終わる予感。心の中では薄々理解していても、引きずってしまう。やめて、僕を見捨てないで。嫌わないで。君の側にいたい…。そんな願いは虚しく、君の表情に笑顔はない。


いつも見ていた今日の占いで8位だった。まずまずの結果。ちょっとトラブル発生?くらい。まぁ、きっとこの結果が示すのは彼の事。大好きな、彼の。やめて、せめないで。誤解しないで。私はこれからも貴方といたいの。そんな願いを持たなかった方が、彼にとって幸せだったかなと考えると、悲しい。


もっともっと先へ。『親密な関係』へ。そう願う僕に対し、消極的な君。どうして?

僕に対し好きだと言っておきながら、態度にはそれが出てこない。僕をどう思っているのかが分からない。不安。不安なんだ。とてつもなく。何らかのサインでもいい。見せてよ。僕に甘えてきてくれるのがベストかな。

それとね、『僕の事分かってよ。さみしくて仕方がないんだ。君の事を考えてしまって、仕事も出来ないし、眠れもしないよ。そのせいで今日も失敗ばかりして、怒られてしまったよ。

暇な日は僕と一緒に居てよ。お出掛けもいいけど、たまには僕の家においで。毎回歩き回るからクタクタなんだ。家にくれば二人でゆっくり出来るだろう?』


もっともっと先へ、は怖い。『親密な関係』is何。貴方は『行為』を求めているんじゃないの?私は、貴方が好き。じゃなきゃこんなに一緒に居たりしない。なのに、それが伝わってないみたい…。私は素直じゃないから、恥ずかしくて何も出来ないだけで。でも、そんな事言うのも恥ずかしくてただ強がる。

実際、寝る前やふとした瞬間に貴方の顔が浮かんでちょっと嬉しくなったりしているのだけど。でも、貴方と比べたら症状は軽いのかもね。普通に日々を過ごせるし、生活に支障が出ないから。

『暇な日は一緒に居たいね。でも、一緒に居るならどこかに出かけたいな。その日は特別であってほしいから。でも最近、何だか疲れ気味だね?ゆっくり出来る場所に連れて行ってあげたいけど…。え?お家?そそそそんな、行けるわけ無いじゃん。』


『だってゆっくりしたいんだよ。最近徹夜したりしていてぐったりなんだ。僕を楽しませようとしてくれているのは嬉しいよ。でも無理に出掛ける必要はないんじゃないかな。僕としては、二人でイチャイチャ出来ればそれでいいんだ。綺麗な夜景も、豪華な食事もいらない。ただ君と一緒にいるだけで嬉しいんだよ。』


『ゆっくりしたいのは分かるよ?だけど私は…確かに私が計画をたてるとゆったり出来ないのはわかる。お店の中とか歩き回るしね。でもね、毎回同じじゃつまらないの。』


何で頭では分かっているのに、心は理解してくれないんだろう。こんな我儘を言っても、君を苦しめるだけなのに。どうしてこんなにも君を欲してしまうんだろう。片時も側から離れずにいて欲しいって思ってしまうんだろう。常に一緒にいるなんて無理だって知っているのに。あぁ会いたい。今すぐに会いたい。会って君の笑顔を見て落ち着いて、君を抱きしめたい。


何で頭では分かっているのに、態度として表す事が出来ないんだろう。恥ずかしいからなんて言っても、貴方を苦しめてしまう。どうしてこんなにも怖いんだろう。付き合う前は、もっと楽しかったなんて思ってしまうんだろう。一緒にいて欲しいと言われるのは嬉しい事な筈なのに、どうして苦しいんだろう。…会いたい。でも、怖い。抱きしめられた時のあの温もりで落ち着きたい。あぁ、私は我儘だ。


君に、避けられている気がする。何か悪いことをしてしまっただろうか。…思いあたることなんてない。誘っても反応が悪い。何で、何でなんだ。誰か他に好きな人でも出来たのか…?いや、そんなことは…ないと信じたい。君に限ってそんな事は…。


今は、貴方と距離を置いた方がいい気がする。貴方には悪いけど、今は友人と遊ぶ方が楽しい。会いたい気持ちはあるけれど、次から次へ(行為を)求められるのは疲れるの…。


『少しずつでもいい。だから、ゆっくり進んでいこう?僕は君を子供扱いなんか出来ないんだ。君が居ないと駄目なんだ。』


『これ以上、進むなんて無理よ…。私は健全なお付き合いがしたいの。』


私は彼の行動と言及について疑問を感じていた。何かが引っかかると。これはもしかしたら、恋愛依存症ではないだろうかと思い早速調べてみると、恋愛依存症の項目に彼は見事に当てはまっていた。しかし、恋愛依存症は女性がなりやすいとされており、男性のケースは書かれていなかった。

恋愛依存症のページには、回避依存症というワードがあった。似たようなものなのだろうかと気になり、そちらも検索してみると、それは見事に私の思いと一致していた。

回避依存症は、親密な関係になるのを避ける他、男性がなりやすいと書かれていた。常に駆け引きを求める傾向にあると。


逃げる私と追いかける彼はまさしく、回避依存症と恋愛依存症だった。


治療法はなく、カウンセリングなどで緩和出来るという。また、回避依存症の人には恋愛依存症の人が好意を持ちやすいとなっていた。今まで私が付き合ってきた人たちも、皆女性のような性格をしていたので、何と無く納得してしまった。


彼の意見を聞きたいと思い、メールを打つ。


『もしかしたら私、回避依存症かもしれない。調べていたら当てはまってしまったの。』


『…そうだね。君はこの逃走型だね。で、僕はあまり認めたくないけど恋愛依存症のようだ。』


僕がこんなにも君を求めていたのは、恋愛依存症だったからなのか?すぐに抱きつきたくなるのも、キスをしたくなるのも、その先をしたくなるのも、普通ではなかったのだろうか。いや、それは普通の筈だ。好きな人を目の前にしてそういう感情がないやつなんていないはずだ。


『君は、すぐに逃げようとするけどそれは駄目だよ。僕が君を嫌うなんて事があると思うのかい?無理しないで本当の自分を出してよ。』


わかってない。わかってないよ。


『すぐに逃げようとするのが私なら、すぐに近づくのが貴方。』


黒い感情が、ドロドロと零れ出す。

それはやがて硝子(ココロ)を包み込み、傷つけていく。ピキピキとヒビが入り始めた瞬間、何かが弾けた気がした。我慢が出来ない。


『私は…私はこれでも少しずつ先へ進んでいた…!昔は喋ることも、手をつなぐ事さえも出来ないでいた!それが今は…今の私をを貴方が一番良く知っている筈でしょう!?なのに、どうして…どうしてそれ以上を求めるの!!?』


言ってしまった。彼に、嫌われてしまうかもしれない。本当の自分はもっと醜いのを、彼は知らないまま。


『…ごめん。我儘言って困らせてたのは僕の方だったんだね…でも、これだけは知っていてほしい。もし、このままの関係が続けば、鬼ごっこのような状態が続けば、僕も、君もいずれ疲れてしまう。僕は君に酷いことを言ってしまうかもしれない。だから、僕も感情を抑えるように努力する。君は、応えられるように努力してくれないか?譲歩し合う事が大事だと思うんだ。僕は、君と離れたくはない。』


『謝らないで。私も悪かったの。…分かった。努力する。私も、離れたくはないから。』


少しは酷い事を言われた方が、楽だったかもしれない。一方的に傷つけてそのままなんて耐えられない。でも、これ以上会話を長引かせてはいけないと思うから、何も言わない。

頬を伝う雫は、画面の向こうには伝わらないから気にしないの。


君を求めるあまり、無理強いをしてしまっていたなんて僕は…馬鹿だ。

言われなくては分からない馬鹿だ。

今まで何度もフォローをしてくれた君はずっと思いを背負い続けていたんだ。

重い話はこれで終わりにしよう。

次に会うときは、君を笑顔にしてみせるから。目から零れた滴は、画面の向こうには伝わらない、決意の印。


【二人の関係は、終わらないーー】




二人の思考と、メール。

言葉では言えないこと、伝えられないこともあるでしょうが、メールというのはとても便利なものです。直接言えない事も、書くことが出来ますからね。


さて、作中でも触れましたが、どうやら恋愛依存症というのは女性の方がなりやすいらしく、男性がなるケースは少ないとのこと。一方回避依存症は男性の方がなりやすい傾向にあるそうです。


しかし、最近では女性のような思考をする男性もいるのではないでしょうか。所謂女々しい男子、ですね。ならば逆に男性のような思考をする女性もいるのでは。そう思いこの作品が生まれました。


依存していると気付く事が出来た二人はこれから先変わっていくかもしれません。変わらないかもしれません。二人がより良い関係になる事を願っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 想い合っているのに、依存し合っているせいで空回りしているのが、すごくリアルだと思います。特に、彼の方は本当に現実にいそうですよね! 大切にしたいけれど、互いに求めているものが違う。そんな葛藤…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ