ある世界のプロローグ
約五百年前、大戦争によって世界は大きく破壊された。
禍々しい異形の亜人、蛮族の世界規模での大侵攻。文明は破壊され、国家は崩れ、世界は蛮族によって征服されるかと思われた。
しかし英雄達の活躍により、蛮族の王は倒され大侵攻は終結する。
大地の王者、人間。水と共に生きるエルフ。炎に仕えしドワーフ。魔術を愛した獣、ダビット。息をする機械、ルーン。影に身を顰めるシャドウ。翼を得た人、フィリアドラコ。放浪する小人、ピグミー。呪われ人族、スポイル。
全ての種族が手を結び、ただ只管に生きることに必死になった。
ここではない場所。今ではない時。
剣と魔法が存在する世界。神すら実在する世界。人間以外の様々な種族が手を取り合い生活し、数多の魔物と幻獣が危険として闊歩する世界。
ここは九つの人族と数多の蛮族が争い合う世界、ガイア。
蛮族の侵攻が押し止められたことにより、大地は人族の地と蛮族の地で完全に隔てられてしまう。
それでも危険を顧みずにどんな場所にでも足を運ぶ者達がいた。それこそが冒険者だ。
只管に強さを求める者。財宝や権力を望む者。世界の謎を追求する者。冒険者になるものの理由はそれぞれ異なるが、彼らは皆蛮族と戦うと言うことに置いては共通する。
冒険者と名乗った時点で、彼らは蛮族と戦う力を得た人族なのだ。
これは、禁忌を犯した、六人の冒険者の物語。
かつて冒険者だった者達の物語。