7話 ママのこと
ママがね、風邪をひいたみたいなんだ。
いつもの「お散歩行こ」が聞こえてこなくて、ボクはママが寝坊したのかな?って思ったんだ。
大きな声で呼んでみたら、
「ごめんね、今行くよ」って返事があった。
ママはゆっくりお散歩のしたくをして、ボクのお部屋に来てくれたんだけど、リードをつけようとした手があちちで、ボクはびっくりしちゃった。
ママ、すごくつらそうだった。
だからボクは、リードをつけられないようにそっと隠れたんだ。
今日はお散歩に行かないって決めた。
そしたらママは、弱い声で微笑んで、
「モカ、ありがとね。ママのこと気にかけてくれたんだね」
そう言って、リードをしまってボクをなでてくれた。
その日ボクはお留守番をして、ママは病院に行って先生に診てもらったんだ。
帰ってきたママは、朝よりずっと元気になってたよ。
お薬が効いたみたいで、ボクをなでる手ももう“あちち”じゃなかった。
まだちょっとつらそうだけど、ママは優しく言ったんだ。
「もう大丈夫だよ、モカ。ごめんね、しばらくはお散歩あんまり行けないかもしれない」
風邪ひきさんだもん、仕方ないよね。
ボクはお外を見るだけでがまんできるよ。
それからママはゆっくり休んで、少しずつ元のママに戻っていった。
前みたいにお散歩にも行けるようになったけど、遠くまではまだ無理みたい。
長く歩くと、ママがすぐに疲れちゃうんだ。
ママがもう少し良くなったら、またピンクのお花がいっぱいの公園に行けるかなーって思ってたんだけど…
それからはママが病院に行く日がどんどん増えて、ボクはお留守番が多くなったんだ。
夜になるとパパさんがボクたちのお部屋に来て、ママとずっとお話ししてたよ。
むずかしい話だからボクにはぜんぜんわかんないけど、2人とも笑ってなかった。
それだけはわかったよ。




