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作者: 芋姫

校正作業をしている時であった。


「今日・・午後から半休にしたいんだけど、いいかな?」と、同僚が急に言ってきた。


「いいよ。」と答えると、彼は”ありがとう”言ってから、さらにつづけた。


「ありがとう。いやあ、入社以来、ずーっと働き通しで全く休んでいないからさぁ。ちょっとここらで、リフレッシュがしたくて。じゃあ、後はお願いしていいかい?」


「もちろん。最後は僕がやっておくから。うまくできるかな~。」


「大丈夫大丈夫。俺が難なくできてるんだから。じゃ、よろしく。」彼は手を振りながら退社していった。


「ごゆっくり~。」と返事をした後、僕は少々気が重たくなった。今、僕がしているのは出版前の本の”校正作業”というものである。いつも僕は前半部分を担当しているのだが、後半からラストにかけてはついさきほど早退した彼の担当範囲であった。


僕は、急きょ、初めての締切作業を担当する事になりやや緊張しだした。・・・正直、これに関しては彼がやった方がしっくりくるのではと思う。彼自身もみんなも慣れているしね。


でも彼が最近疲れ気味なのは事実であったし、このへんでちょっと休んでもらった方がいいだろう。

それに、僕にとっても今後を考えると良い経験になるかもしれない。


「よし。」僕は気を取り直して作業にとりかかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数時間が経過した頃。


ついに最後の一章まで読み進めた。・・・さあ、いよいよである。


『そして森の大王とくまさんは無事に和解し、ふたりは一緒に力を合わせてこの森を治めていくことになったのでした。(終)』


「・・・・・やった。」 


できたぞ。


無事に<終>の文字を目にしたとき、僕は初めての仕事を成功させたよろこびで胸がいっぱいになったのである。





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翌日の朝。


「昨日はありがとう~。おかげでよく休めたよ~。なんか、困った事とかなかった?」


「いや、ヒヤヒヤしたけどなんとか無事にやり終えたよ。」「わ、ホントだ。すげーじゃん。この次も”文末”は、お前にお願いしようかな。」


「えーもういいかなぁ。あはは。」


同僚である<完>の言葉に<終>は照れ臭そうに笑うのであった。






















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