フォート・ブリック
緑の無い大地。
昼も夜も無く、目を光らせ回る。
都会とは大違いのこの場所。
赤い土を舞う砂をかきわけて、
小さな岩に身を隠す。
何者も我々の生活を脅かしてはならない。
敵を迎え撃つ為に設置された機銃に、
正面からは陽動作戦をしかけ、
反り立つ壁しかない裏側から攻勢をかける。
この砦を落とせば、
我々が正しい事を少しは分からせられるだろう。
暑い気温に耐え、汗を拭い、その時を待つ。
一発の銃声が合図となり、一斉に行動を始める。
敵は慌てた様子で、こちらを探している。
遠くに巨大な雷雲が立ち込め、
少しずつ近づいている。
雷雨に晒される前に終わらせたい。
正面には岩陰に隠れながら応戦する兵士の姿。
裏側には幸い誰もおらず、
皆正面に向かったようだ。
正面での撃ち合いに乗じて、後ろから刺し殺す。
敵がこちらに気付いた時には全て終わっていた。
辺り一面には数十人の死体が転がる。
キツイ臭いが砦を覆う。
我々は勝った。
強制する者への反抗は成功した。
暗い道に明るい光を灯し、
これから更に血みどろの戦いを身を投じる。
そんな事を思いながら、今夜は酒を飲む。