初めての部活動(1)
僕たちは林先輩のあとをついて行きながら、部活は始まった。
まずは、アップという名のランニング を行ったのだが、新手中学のグランドは一周300mあり、それを3周した。
次にストレッチだ。
僕と柴川はストレッチもやったことがなかったから、林先輩に教えてもらいながらやっていた。
『坂井は身体が硬いな。』
林先輩は僕のストレッチを見ながら、そう呟いた。
そして、何か思いついて、
『小原、坂井のストレッチを手伝ってやれ。』
と言ったので、練習を見ていた小原先輩が僕のストレッチを手伝ってくれた。
『おもいっきり押すからね。私が強く押したら息を吐くのよ。』
僕は頷くと、小原先輩の合図でストレッチを始めた。
そんな光景を見て、一樹も動いた。
『林先輩、僕もストレッチがよく分からないので、誰か手伝ってもらえませんか。』
僕はそれを聞いて、一樹の魂胆が明白にわかった。
一樹は俺が小原先輩に手伝ってもらってるが羨ましくて、自分にもして欲しいと思い、お願いしたのだ。
だが、世の中そんなに甘くない。
『そうだな。
谷川、ちょいと柴川のストレッチを手伝ってやれ。』
林先輩がそう言うと、先程部室にいた顎の割れたぽっちゃりの先輩が一樹の手伝いにきた。
一樹はギョッとした顔で、谷川先輩を見ていたら、
『2年の谷川といいます。
よろしくね、フォフォフォ。』
と、不気味な笑い声をあげながら、ストレッチが始まった。
一樹は観念したのか、その後は何も言わず、ストレッチを行った。
ストレッチが終わり、次はラダーという練習が始まった。
このラダーは、言葉の通りロープでできた梯子を決まった動きでこなしていくものだった。
はじめは、両足を肩幅に広げて跳んでいく。
次は、グーパー、グーパーと足を動かして、跳んでいく。
あとは、何と言って良いかわからない動きをしていた。
僕は自分でも思うくらい不器用だった。
うまく身体を動かせないから、林先輩が丁寧に教えてくれていたが、それでもうまくできなかった。
ちなみに、そんな僕とは違って、一樹はすべて完璧にこなしていった。
ほんと一樹の器用さが羨ましくて仕方なかった。