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年末デートと異世界の記憶。

対談の企画は「今年の球界を振り返って」というものの一部だ。

メインの企画はメジャーリーグでの日本人選手の活躍、日本のプロ野球、WBCなどについての対談がある。


 そして「これからの日本野球へ」ということで女子野球W杯そしてインターコンチネル杯を代表として戦った俺と亜美が対談するのだ。正確には由香さんがインタビュアーとして会話を進行するので正確には鼎談(ていだん)というべきかもしれない。


 最後はがっちりと握手する写真を撮って終了した。結局、デートと言っても由香さんの仕事が終わるまでは動けないので、いつものまったりトークだけということに。


「いや、すごかったね。健の活躍。」

まあスタメンで出れたの3試合だけであとは代打かベンチで終わりだったよ。フル出場のアミティにはかないませんて。

「アミティいうな。」

いやなの?

「健に言われるのがいやなの。だって健がどんなにすごい選手になったって、対等の幼馴染でいたいもの。」


じゃあ彼女になってくれればいいじゃん。それならいつだって対等なのに。のどまででかかった言葉を飲み込んだ。

「私さ、最近へんな夢を見るんだよね。」

「夢占いなんて俺はできんぞ。」

「いやそうじゃなくてさ。あんたと知らない学校の生徒と、マイクロバスにのってヨーロッパみたいな外国の田舎をさ、旅行してんの。」

え、それ、異世界の記憶じゃね……とはつっこめず。

「そして気持ち悪い怪物とかがうじゃうじゃ出てくるとさ。バット持った男子たちが退治しに行くの。」

「なんかRPGの世界みたいじゃのぅ。」

「最近疲れてんのかな。」

異世界の亜美の記憶がこの世界の亜美に引き寄せられているのだろうか?


「俺、そういう夢の話は嫌いじゃないよ 。亜美のこと馬鹿にしたりなんかしないからさ、どんどん俺に内容を話してみてよ。口に出してみれば少しは気がはれるんじゃない。」

「うん。なんかいやに生々しくてさ。しかも内容が微妙にオタクっぽくていやだったんだだよね。だからこれまで誰にも話してなかったんだ。」


きっかけは不明だがW杯から帰ってきてあたりから見始めたのだという。内容も俺が体験してきた異世界の記憶(それ)と一致する。それを聞いているうちに由香さんの仕事が終わったようだ。


「お待たせ。少し手間取っちゃって。退屈じゃ……全然そんなことなかったみたいね。クリスマスも近いとこだし、早めにご飯食べてイルミネーションとか見て回ろうか。」


 俺は食事しながら窓に映る亜美の顔を見ていた。前世の時、俺は万年補欠の自分が嫌いで亜美に好きなんて言えなかった。異世界に転移して初めて恋人関係になった、でも、今目の目にいる亜美はその時の亜美じゃない。そして今の俺は魔法の助力もあって野球は比べるほどができないほど上達した。


 亜美は前世の時はリトル卒団とともに現役を退いていてこんなにシャープな感じではなかったし、身長も人並みだった。身長が175cmもあると何を着てもカッコよく見える。俺やっぱこの子のこと好きなんだなぁ、つくづくそう思っていると窓の中の亜美と目が合った。


「きれいだね。」

「うん。」

いつか俺は亜美のパートナーとして、またこうして二人で夜景を見る日が来るのだろうか。

「健くんはドラフトにかかったらプロ野球に行くの?」

由香さんが不意に尋ねる。


「いつかはメジャーに挑戦したいですね。」

俺の答えに彼女はつづけた。

「あなたは向いているかもね。英語も堪能だし、精神的にもタフだもの。今回のあなたのアメリカ留学の招待ね、陰でニューヨークが動いているわ。アメリカはヘッドハンティングとスカウトでおいしいとこだけもっていく社会だから大人の事情に振り回されずにしっかりとした自分のビジョンを持ちなさいね。」

つまりスポンサーにあのヤーナーズのおばちゃんがいる、ということか。


 そのあとイルミネーションをいくつか堪能し、亜美の門限に間に合う時間でお開きにした。俺は別れ際彼女に気になっていたことを聞く。

「亜美、例の夢に胆沢(イサ)は出てくるか?」

彼女は屈託もなく、そうそう、という感じで答える。

「うん。相変わらずキャプテン風ふかしてたよ。あの自意識過剰は笑えるよねぇ。」

うん、前世も現世も変わらんのはやつの傍若無人だけだからな。


「そっか……。じゃあ金はあるんだからちゃんとタクシー使えよ。」

「うん。今日はありがと。また、甲子園の前に会おうね。私も選抜あるし。」

「ああ。じゃな。ケガには気をつけろよ。」

こうして夜景デートは幕を閉じた。


 


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