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人喰いジェシー   作者: 未々山田
第一章 フローズン村~港町コーネル編 最強の騎士と独立軍
13/33

12. 同類


「ウェス、起きて、ウェス、起きて」


 ジェシーの声でウェスは目を覚ました。辺りは真っ暗でなにも見えない。コツコツと窓を叩く音で雨が降っているのだとウェスは気がついた。時計を見ると針は深夜二時を指していた。


「どうしたんだい、ジェシー? こんな夜中に」


「ウェスはなにも感じないの?」


 ウェスは眠たそうに目をこする。

「なにも感じないよ。ジェシーはなにか感じるのかい?」


「うん。感じるよ。ジェシーと同じような気配を感じるよ」

 ウェスの半分閉じていた目が大きく開く。


「それって!」

「うん。きっとジェシーと同じ魂だけの存在なんだな」

 ウェスは勢いよく起き上がる。


 ウェスが驚くのも無理はない。ジェシーと出会ってから3年、ウェスは1度もジェシー以外にジェシーみたいなものは見たことも聞いたこともなかった。それどころがコナタから話を伝説の武器、呪いの武器の話を聞くまではジェシーは唯一無二の存在だとさえ思っていた。


 謎が多いジェシーと同じ存在の登場。突如として降って沸いた新たなこの手掛かりをウェスは逃す気はなかった。


「場所はわかるよね?」

「わかるよ」


「どうするジェシー、会いに行ってみるかい?」

返答はわかりきっていたがそれでもウェスは一応問う。

「うん。行ってみよう」


 ウェスはジェシーをホルダーに入れて部屋を飛び出した。ジェシーに案内されホテルを出て雨の中の街を走り抜ける。その時、空がピカッと光った。そして、すぐにゴロゴロと大きな音が鳴り響く。


 近くで雷が落ちたとウェスはすぐに理解した。ジェシーの指示でウェスは大きな通りから街のものでも通らなさそうな細い道へと入る。


「近いよ。前方にいる」

 ジェシーに言われウェスに緊張が走る。


 ジェシーと同類がいるとわかって飛び出したウェスだが、実際に会って何を話せばよいのだろう? そもそも相手はまともに会話できるようなやつなのだろうか? 


 コナタがジェシーのような存在を呪いの武器と評したことを考えれば危険なやつなのではないだろうか? 


 本当に会って大丈夫なのか?


 いざジェシーの同類に会えるとなるとウェスには様々な不安がよぎった。


 ウェスはそれらの不安をかき消すように大きく首を振った。そして自分自身に言い聞かせる。初めて出会ったジェシーと同類のものをこの目で確認しないわけにはいかない、と。


 またどこかで雷光が走る。しかし、雷鳴は聞こえてこない。


「向こうも移動している。ウェス、ペースを上げて」


 ジェシーは何も恐れていない、ウェスにはそのことがわかった。だから、ウェスも恐れるのをやめた。


 ジェシーに言われとおり足を早めようとしたウェスの前方に人影が見えた。その影は地面に伏せていた。


「あの人は違う。あの人はただの人」

 ジェシーが呟く。

 ウェスにもなんとなくわかった。倒れている人物は追いかけている人物ではない、と。しかし、倒れている人間を放っておくわけにはいかない。


 ウェスは立ち止まり恨めしそうに前方を睨んでから地面に倒れている人に「大丈夫ですか?」と声をかけた。


 暗くてよく見えないが今日見かけた青の軍服を着た男であることはわかった。何も反応がなかったのでウェスはもう一度声をかけながら体を揺する。その時、ぬるっとした感触がウェスの手に伝わった。ウェスはその気持ち悪い感触の正体を突き止めようと己の手を見た。


 ウェスの手は赤く染まっていた。そして、ウェスはもう一度倒れている人間をしっかりと見た。地面に伏せる青色だと思った軍服は血と混じりどす黒い色になっていた。


「誰か、誰か来てください!」


 ウェスは叫んだ。何度も何度も大声で叫んだ。周囲の建物に明かりが灯りあちこちの窓から人が顔を出した。


「人が倒れているんです!」


 ウェスがそう叫ぶと何人もの人々がすぐに家から飛び出してきた。そして、あるものはウェスと協力し、拙い知識で応急処置をしようとした。またあるものは病院に電話をして救急隊を呼んだ。またあるものは兵舎に連絡して王国兵を呼んだ。


 やがて駆けつけた救急隊によって倒れていた兵は病院に運ばれた。そして第一発見者のウェスは駆けつけた憲兵団によって事情を聴くため兵舎へと連れていかれ、異国のものであるうえ、凶器となる包丁を所持していたため、そのまま王国兵殺しの容疑で逮捕された。


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