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人喰いジェシー   作者: 未々山田
第一章 フローズン村~港町コーネル編 最強の騎士と独立軍
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9. キーブクロイス王国騎士団8番隊隊員 カイムとマイム

 トラックがフローズン村を発って一時間。陽は昇り、外はすっかり明るくなっていた。道中、ウェスはカイムとマイムに自分はフライブル共和国から来た旅人でイーストタウンに入る許可を得るためオスティー・ティガーに会いたいと話した。もちろんジェシーのことや自分の記憶がないことなどは伏せたままだ。詮索されるとぼろが出るのでウェスは質問する側に回り話を進めた。結果、いろいろな情報が手に入った。


 まずはカイムとマイムは双子の兄弟であるということ。意外にもカイムが兄でマイムが妹である。


 次に騎士団とはなんなのか。キーブクロイス王国兵は三つの部隊に分けられる。ひとつは青の憲兵団。二つ目が黒の爆裂団。そして、最後に白の騎士団である。


 憲兵団は治安維持のために王国の各地に配属されている一般兵だ。戦争時には戦地に赴くこともある。キーブクロイス王国は常に戦争をしているため、現状兵たちの仕事は治安維持か戦争かの二択になる。兵の九割はこの憲兵団に所属する。


 爆裂団は侵略部隊とも呼ばれ常に戦場の最前線に立っている。


そして、騎士団。騎士団は仕事の内容は憲兵団と変わりないが騎士団と憲兵団は明確な上下関係にあり、騎士団が上に位置する。そのためエリート集団と評する人もいる。


また、騎士団は憲兵団と違って隊ごとに動く。騎士団は必要なとき必要な場所に応じて赴き任務をこなす。今カイムとマイムが所属する騎士団8番隊はコーネルで任務に就いている。この場合コーネル在中の憲兵団はあとから来た騎士団の指揮のもとで動くことになっている。

 

 現在コーネルに駐屯する騎士団8番隊は5年前に増設されたばかりの隊である。隊の長オスティー・ティガーは24歳と異例の若さで隊長に任命された。


オスティーは18歳で王国兵となり憲兵団に配属される。戦場で目を見張るほどの活躍をしたオスティーは20歳で騎士団3番隊に入団。23歳の時に東国との戦争を集結に直結したといわれるほどの働きが認められ自分の隊を持つこととなった。


気がつけば剣術は国内一と言われるようになり将来は騎士団団長になるとも云われている。


……とカイムとマイムは誇らしげにウェスに説明をしたのであった。


「それじゃあ騎士団はなにか特別な任務があるときに送り込まれるってことですよね? コーネルにはなんの任務で来たんですか」


「任務の内容は一般人に口外できないわ。……と、普通はなるところだけど今回は問題ないから話すわ。いえ、それどころが話す必要があるくらいね。


コーネルには王国から独立をしようと企む反乱軍があるのよ。反乱軍自体は五年も前からあるんだけど最近その勢力が大きくなって、活動も過激になってるのよ。いつ暴動が起きてもおかしくない状態なの」


「その暴動が起きた時にすぐに鎮圧できるように僕たちが来たってことさ」


「正しくは暴動が起きるのを防ぐためよ。じゃなきゃうちの隊を送り込まないわよ」

 マイムはそう言って深い溜息を吐いた。


「それじゃあ、この武器も暴動に備えてってことですか?」

 ウェスは後ろの小さな窓からトラックに大量に積まれた武器を眺めた。


「ええ。先日、武器庫が放火されてね」


「そうなんだよ。しかも、見張りの隊員二名も殺されちゃってね。もうあいつらには参ったよ」


「そんな大変な時に……なんか、すみません」


「いえ、いいのよ。むしろ、こっちが謝りたいくらいよ。こんな時にこの国を見て回ろうなんて。まあ、この国はいつでもこんなんなんだけどね。でも、南の方は比較的最近落ち着いていたのよ」


「そうそう。南の方はこの辺がだいたい30年前にキーブクロイスに統一されてからずっと平和だったの。まったくなにを今更独立なんて言い出すんだか」


「いろいろあるのよ。子供のあんたにはわからないかもしれないけど」


「言っておくが俺が兄貴だからな」

「五分早く生まれただけでしょ」


 カイムは運転しているにも関わらず首を回してウェスを挟んで横にいるマイムを睨んだ。

大きく息を吸ってからなにかを言おうとしたが、その前に


「あの、ごはんにしませんか?」


 と顔にパンが入った袋を突きつけられたのでカイムはなんとか踏みとどまった。そして、ウェスから渡されたパンにかぶりついた。「うまいっ」とこぼしたカイムの機嫌はすっかり戻った。その横でほっとしたウェスはまだ温かいコーンスープを口に入れた。


「ジェシーも食べたいんだな」

 ジェシーがカイムとマイムには届かない声で言った。


「コーネルに着いたらね」

「えー、つまんないの」


 ジェシーの呟きを無視してウェスはコーンスープを一気に飲み干す。その横で不思議そうな顔をしながらマイムが見ていることにウェスは気がついた。ウェスは少し考えてから、


「パンは向こうに着いてから食べます。乗り物酔いしやすいので」

「あら、そうなの。それじゃあ寝てても大丈夫よ。こいつさえ起きてればいいから」

 とマイムはカイムの頭をぽんぽんと叩いた。カイムはその手を払い除け


「朝早かっただろ。気にしないで寝てくれよ」

 と言った。


「というわけでわたしは寝ます。おやすみなさい」

 マイムは窓に顔を向けて寝る体勢に入った。


「それじゃあ僕もお言葉に甘えて」

 ウェスも目を閉じ眠る準備に入った。


「どううぞどうぞ」

 カイムの声が聞こえた。


「ジェシーは眠くないんだけどなー」

 ジェシーの声も聞こえたがウェスは眠ったふりをした。「ばれてるからねー」とジェシーが言ってもウェスは寝たふりを続けた。


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